- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396634865
感想・レビュー・書評
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各章で違う物語。それぞれの章で出てくる登場人物の掛け合いが面白い。東京の有名な地名の由来も紹介されていて、「あ、これがあそこか」という歴史の面白さを体験できるよさがある。良書。
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江戸を作った男たちの物語であります。
一面の荒野であった、関東において、まず利根川を東遷し(治水)、通貨(貨幣)を造り、流通させ(経済活動を活発化)、生活用水を安定的に確保し(利水と衛生状態の確保等)、更には、今も残る長大な石垣群や巨大な天守閣等を抱えた`お城`作りという様々なプロジェクト`X`が、同時に競うように行われた時代の物語であります。家康は、乱世の英雄(海内一の弓取り)であり、稀代の陰謀家であり(狸親父と呼ばれ)、かつ良質の行政官であったかも、と思わせる一冊であります。 -
タイトルは「家康、江戸を建てる」とありますが、歴史の中に埋もれた職人さんたちのお話です。利根川の東遷事業や貨幣鋳造のお話など、江戸時代初期の街づくりがどのように行われていったのかがわかります。
利根川東遷事業が行われていなければ2019年の台風被害でさらに甚大な被害が出ていたかも知れないと思うと、先人たちが苦労していたことに感謝しかありません。 -
国を作る、街を作る、ランドマークを建てる、インフラを整える。江戸という未開地を首都にするために、多くの異能人が働き場を得、家康は彼らを巧みに使った・・・という見立ての歴史小説。
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物語というよりは記録のような感じだが、今までにない面白さの作品だった。
江戸という寂れた田舎が、日本を動かす中心地になるまでのはじめの一歩を見ることができたような気持ち。
治水、貨幣、上水、石垣。とても興味深く読めました。 -
貧しく、見た目が悪く、街として整備が行き届いていなかった湿地帯だった場所に「江戸」という一大都市を創り上げる物語。
水を引く話、石垣を組む話、とにかくワクワクさせられた。いままで深く考えなかった東京の地名の由来に目からウロコが落ちたり、新たな土地勘がついたりした。
東京に住む誰もが新たな目線でこの都市を見るようになるとおもう。 -
湿地の江戸に新しい都市を築く。歴史物として、地理書として、小説として面白かった。利根川の流れの出口を江戸湾から千葉の太平洋に変える大治水。天下を支配するための貨幣作り。江戸へ上水を引くための精緻な治水。築城。いずれも長期に困難を極め、職人達が天分を発揮して完成した。▼家康はそれらを見通して江戸に都を築いたわけではないと思う。秀吉から迫られ、緊迫する短時間に、漠然とではあるが何らかの確信を持って江戸行きを決断したのだと思う。すごい判断力を持った大名だと感心する。▼史実に、あたかも自分で見てきたような物語が装飾されており、面白い。
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岡田斗司夫が文は下手だが面白いと言っていたのと、NHKドラマが結構良かったので原作も読んでみることにした。確かに短期間に当時世界一の大都市となる江戸を建設した話は面白かったし日本人にいかに優秀な人材がいたのかは分かったが、古地図や参考資料写真なども添付してほしかったし、史実の出典も明らかにしてもらいたかった。よって磯田道史にもう一度江戸の成り立ちを書いてもらおう。ローマは1日にして成らずだったが、江戸は20年程度でなったわけだが、ガウディのサグラダファミリアのごとく一生完成しそうもない街のようだ。
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6年前に関西から関東に来て、純粋に江戸のことが知りたくなった。もともとさびれた漁村と沼地だった江戸の地を一大都市に変貌させた家康。やることは山積みなのだが、なんだかんだ一気に読んでしまった。
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いま現在でさえ街づくりには多大な労力と時間がかかる。1590年、今から数えて400年以上も前のことならばなおさらである。
小田原征伐後、教科書では単に家康が関東に移封されたことしか学ばない。だが、そこには多大な苦労があり多くの人間が江戸の街づくりに関わり、長い時間をかけて、今の東京を築いてきたのだ。
ある程度発展していた小田原ではなく、未開発の江戸に本拠を定めた家康の慧眼も素晴らしいが、そこで0から多くのものを作っていた数多の人々の努力があるからこそ、今の東京があるとしみじみと実感できた。
特に「金を延べる」が面白かった。全ての歴史は経済的視点で見るとまた違って見える。
治水工事:伊奈家三代
貨幣鋳造:後藤庄三郎
飲料水確保:大久保藤五郎、六次郎、春日与右衛門
石垣工事:吾平、喜三太
天守建設:徳川秀忠