自分のアタマで考えよう

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478017036

感想・レビュー・書評

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  • 手に入れた知識を披露したり、天才の回答を借用するようなスノビズムに嘘臭さと嫌悪感を感じてきた。自らの言葉ではなく、知識量でバトルしてマウントを競う所作には、合目的的な意味がないからだ。「自分のアタマで考えよう」。なるほど、それだ。知識の借用や活用も当然アリだが、事象を自らの思考で捉え、自らの言葉で語ろう。

    著者は、データに対して「なぜ」と「だからなんなの」という視点を持てという。ファクトを並べ、そこから導かれる仮説を作れなければ、データに意味はない。しかも、データ自体が作為的に抽出されたもので、騙されている可能性すらある。手に入れた知識は、ある意味では論者に妥協して、盲目的に信じた結果とも言える。

    TVメディアの洗脳行為が悪目立ちしたため、インターネットの方が信じられるという層が存在する。あるいは世の中全てが陰謀に組み込まれたような疑心暗鬼の状態に陥る人も。だけれど、メディアの洗脳主体がインターネットにも侵食し、逆の心理操作をしている可能性は見抜けない。世の中の複雑さを、善悪、二元論で取捨選択する事は、自分のアタマで考えられていないのだ。ノイジーマイノリティに同調する前に、双方を否定的に見てみてはどうか。短期での同調は思考停止の故であり、ヒューリスティックを利用した洗脳の危険性がある。

    大衆操作の手法が複雑化してきている。ちきりん氏は上品なので、本著ではそこまでは書かれない。しかし、自分のアタマで考える力を取り戻さなければ、この先の、両極利害に揺さぶられ、社会的な分断に巻き込まれてしまうリスクがある。警鐘。これは、実に名著。

  • “知識”と“思考”の活用方法と“自分の頭で考える”本です。

    内容は知識と思考の違いからはじまり、考える必要性、考え方についての情報などが盛り込まれており、自分の頭で考えることが存分に盛り込まれています。

    読んでみて知識と思考の違いがわかり、私の昔の勉強や情報収集・処理はほとんど思考していなかったのでは、と気づかされました。情報や先人の知識から答えを得て課題を終わらせていただけ。本やネットから知識を知る・勉強する・覚えるだけでは意味がない。
    それを得てどうなるのか、自分はどうするのかを考えることこそ思考する、身につけることだと感じました。

    読んだあと頭がスッキリして考えよう!と思える本でした。

  • ちきりん流・思考の11のルール

    1.いったん「知識」を分離すること
    ・「知っている」と「考える」はまったく別モノ
    ・「知っていること」=「知識」≒「情報に基づく思考の結果」
    ・情報を見てよい面と悪い面の両方を列挙できるのが「知識にだまされていない純粋な思考」
    ・「知識」=もともとあったもの(過去)、「思考」⇒「結論」(未来)

    2.「意思決定のプロセス」を決めること
    ・十分すぎる情報があるのになにも決まらない理由:「誰も考えていないから」「情報を集めて分析する」作業に熱中しているから
    ・意思決定のためには「どうやって結論を出すべきなのか」を先に考えることが必要
    ・意思決定=「どの情報がどうであれば、わが社はこのビジネスに進出する。どの情報がどうであれば、進出すべきではない」
    ・例)この質、このタイプの服に関しては、1万円以下でないと私は買わない(思考プロセスに「洋服の値段」という情報を取り込み、決めている)

    3.「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
    ・数字を見たらまず考える2つの問い
    ・「なぜ?」=数字の背景(理由、前段階)を探る問い
    ・「だからなんなの?」=過去の結果がこの数字に表れているのだとしたら、次はなにが起こるのか?それにたいして自分はどうすべきなのか?」と、データの先(後段階)を考える問い(次に起こることを予想し、それに対応するために何をすべきか考える)
    ・情報と思考のバランス:ひとつの情報を見て、どれくらいの時間を「考えること」に使っているか:情報収集やそのグラフ化に1時間かかったら、少なくともそれと同じ1時間はそのデータをにらみながら考え抜くべき
    ※他人にそのままぶつけてもその人の「思い込み (perception)しかかえってこないので注意

    4.あらゆる可能性を探ること
    ・「能力」「人間性」「志」がリーダーに必要な資質であるとすれば「リーダーなら、こういうときにはこう振る舞うべきだ」という具体的な方法論を教えることが必要
    ・米国の大学院では教えている
    ・失敗=正しい方法論の学びの機会

    5.縦と横に並べて比較してみること
    ・二種類の比較
    ・①自・他の比較:自分と他者、自国と他国
    ・②時系列の比較:過去と現在(歴史)、過去と現在と未来(予測)、現在と未来のあるべき姿(目標)
    ・企業分析の基本は二種類の比較。財務データはまず競合他社と比較すること。その次に、過去と現在を時系列に比較すること。まずはそれだけでいい
    ・縦の比較=時系列比較=歴史的な観点でものごとを見ること
    ・横の比較=他者比較=国際的な視点でものごとを見ること

    6.判断基準の取捨選択をすること
    ・選ぶことができない最大の原因は選択肢の過不足ではなく、選択基準が多すぎること(×採用担当者のジレンマ、○婚活)
    ・選ぶ条件をひとつかふたつに絞り込む(e.g.日本の大企業:「我慢する力」「空気を読む力」の「高い」「低い」でタテヨコ2分割のマトリクス⇒「大企業や公務員で成功する人」「起業家・フリーランス」「ワーキングプア」「二ート」、婚活「相性」「経済力」
    ・判断基準は「目標の姿」から導かれる:
     e.g.国の政策議論:限られた予算をどの政策に振り向けるべきかという優先順位付け
    ・「その目標の生活を実現するためには、何が一番大事なのか」を考え尽くす
    ・政治家も政党も個別政策ではなく「日本は今後、どんな国を目指すのか」という「目標の姿」を掲げて政権を争うべき
    ・その中からひとつの「目標の姿」が選挙を通して国民に選ばれれば、次に「その姿を実現するために、私たちがよりどころにすべき判断基準」が明確化され、最後に個別の政策がその基準にそって取捨選択される
    ・判断基準をもたないまま、目の前に出てきた政策をひとつずつ、「この政策は大事か?必要か?」と個別検討していたら、すべての政策が「大事だ!」「必要だ!」という結論になってしまうのは当然。
    ・判断基準を絞ることで「もっとも大事なことはなんなのか?」という本質が浮かび上がる
    ・細部の省略に抵抗感のある人も多いが、細部にこだわりすぎてなにも決まらない、なにもはじまらない状態になってしまった国や組織を私たちは望ましい状態だと思えるか?
    ・「重要な判断基準を選ぶ」→「選んだ基準において、ものごとを白黒に明確に分ける」

    7.レベルをごっちゃにしないこと
    ・日本は「小さな政府」を望ましいと思う人が多数を占める国ではないにもかかわらず、公務員バッシングが長きにわたって続くのは、国民の中に「政府が国民の方を向いていない」という根深い不信感があるから
    ・e.g.消費者庁だけが「だれのための省庁か」という視点で名前がつけられている

    8.自分独自の「フィルター」を見つけること
    ・就活:「企業の情報」より「自分のフィルター」を探す
    ・ちきりん流「仕事の4分類」:①成長の仕事(伸び盛りのベンチャー)、②支援の仕事(コンサルタント)、③運営の仕事(オペレーション担当)、④再生の仕事(事業の立て直し)
    ・同じ職種の仕事(人事、営業等)であっても、上記4分野によって、求められるスピードや働き方、現場での判断基準はまったく異なる
    ・日本企業は与えられたフィルターの中で一番に選ばれるための商品を開発することはとても優れている
    ・ただし「今までになかった新たなフィルターを(消費者に)提示する」=「ゲームのルールを変える」ことは必ずしも得意ではない
    ・e.g.家電:「価格」と「機能」→「デザイン」、「機能の多さ」→「機能の少なさ(シンプルさ)」

    9.データはトコトン追いかけること
    ・要約(サマリー)だけをみる危険

    10.視覚化で思考を深化させること
    ・効率よく考えるためのグラフ化の手法
    ・円グラフ:○シンプルでわかりやすく、ひとつの数字の内訳を表すには最適 ×ふたつ以上の数字の内訳を比較するには適していない
    ・棒グラフ
    ・階段グラフ(滝グラフ):○意味をもった内訳を視覚化できる、小計を示す階段グラフが添えられていると棒グラフだけの場合よりわかりやすい
    ・細部まで突き詰めて考えていないと、思考を図にすることはできない
    ・言語で考えていたときには抜け落ちていた思考部分について(=抜け落ちていたことにさえ気がつかなかった部分について)、絵にするためには明確にする必要がでてくるから
    ・「不明瞭なまま残されていた思考部分」について、図や絵でもキレイに表現できるまで突き詰めて考えれば、最初に頭の中に「なんとなく浮かんでいたアイディア」は一気に具体化する
    ・思考の過程において、自分の考えを「まずは言語化」し、「次に視覚化」するというふたつのステップで検証することにより、自分の考えの甘かった部分が見つかり、思考をより深めることができる

    11.知識は「思考の棚」に整理すること
    ・e.g.テレビ局(NHK、BBC、CNN)と事件の発生した都市(NY、ロンドン、東京)のマトリクス:3つのテレビ局の放送スタイルの違いに関する情報
    ・思考の棚に格納することにより、「自分が探している情報はなにか?」(表で抜けている部分はなにか?)ということを意識しておくことができ、実際にそれらの情報に触れたときに、すぐにそれが自分の探していた情報であると思いだせる→「情報感度」を大きく高めることができる
    ・「地域の棚」
    ・「思考の棚」に合わせて事前に考えておく:①手に入る可能性のある情報と②その情報が手に入ればわかること、言えるようになること
    ・「頭の回転が速い」=「思考の棚」により「思考自体がすでに完了していた」
    ・「情報の価値」=「その情報によってわかることの価値」:「思考の棚」で①手に入る可能性のある情報(の費用、時間)と②その情報が手に入ればわかること、言えるようになることを明確にして、③「妥当な情報入手コスト」も明確にする
    ・貴重な予算や時間を投入する前に「この情報が手に入ればわかること」を事前に考えておく癖をつける→本当の意味での「考える時間」に回す余裕も出てくる
    ・「知識」と「思考」の理想的なカンケイ
     -「一度じっくり考えたこと」(思考)は知識より忘れにくい
     -新たな情報が手に入ったときは「この情報を納めるのに適した思考の棚はどんな棚だろうか?」と考える(シンプルな二次元(縦軸×横軸)の表でいい)
      ①知識は思考の棚の中に整理する
      ②空いている棚に入るべき、まだ手に入っていない知識を常に意識すること
      ③それらの知識が手に入れば言えるようになることを、事前に考えておく

  • 最近気をつけていることに「常識は疑え」がある。特にFacebookやTwitterで流れてくるキャッチーな言葉の多くが「思考停止ワード」だったりするので気が抜けない。
     この本は、筆者自身の記憶に頼る勉強法に対する気づきと、情報の読み解き方の提案である。
     前者は「国立大学法学部」「MBA」という学歴の重要なスキルである記憶によるテストでの高得点取得はしていたが考えてはいなかったという自身の気づきである。自分に振り返ると解法を記憶して考えずに解くというのは現在の入試・資格試験では必須のスキルであり、それを適切なタイミングで学んでいない自分に腹が立つ。まして、この考えるというところに思い至るところが流石だと思った。
     後者は編集された情報には裏があるということに気づき、それをある程度読み解くにはどうすれば良いのかについて、主に政治に関係する内容だが実例を交えて紹介しているものである。一度この本の内容を押さえた上で、自身の関心分野で置き換えて考えると良いと思う。

  • ・なにかを選ぶとき、選択肢が多いと悩みますよね。どこのマンションに住むべきか、どこの学校に子供を進ませるべきか、どんな職業を目指すべきか。こういうとき、私たちは「選択肢が多すぎる!」と思います。「選択肢が多いから、迷ってしまって決められない」と感じるのです。けれどじつはそれは間違いです。
    決められないのは選択肢が多すぎるからではありません。決められないのは、「判断基準が多すぎるから」なんです。
    > /> 確かに。判断基準と選択肢をまず分けないと。

    ・ちきりんの独断と偏見で決めつければ、日本の大組織で成功するために重要な条件はずばり、「我慢する力」と「空気を読む力」でしょう。大企業は最初から正直にそうぶっちゃけ、このふたつの条件で学生を採用すればいいのです。
    > /> ぶっちゃけた!本書では「我慢する力」×「空気を読む力」それぞれ「有る」、「無い」で四象限作って分析までするから、徹底している(笑

    ・たとえば最近、消費市場としてアフリカ大陸の可能性を高く評価する意見を聞くようになりました。そしてその中でよく「アフリカには9億人以上の市場がある」という言い方がされています。
    この9億人とはアフリカ全土の合計人口のことです。けれどなぜアフリカだけ「大陸全体の合計人口」が取りざたされるのでしょう?
    アフリカについて「9億人の市場だ!巨大だ!有望だ!」というのなら、アジアなんて35億人以上の市場です。インドには一国で11億人以上の人口がいるのです。
    > /> アフリカ9億、鵜呑みしてました。。

    ・よくある失敗例のひとつは「勉強が好きだから」という理由で研究者への道(博士課程への進学)を選ぶパターンです。ちきりんの知人にも、そう考えていったんは研究者を目指したものの、途中で「やっぱりこの仕事は自分には向いていない」と気がつき進路変更をした人がたくさんいます。
    彼らが口々に言うのは、「狭い分野をひたすらに深く掘り下げる仕事より、幅広く世の中の事象を見たり聞いたりする仕事の方が好きだとわかった」ということです。また「自分には、1人で思索を続ける仕事より、大勢で話し合いながら進める仕事の方が合っていた」という人もいます。
    > /> ありがち。仕事の進行の仕方についてのフィルターが仕事の内容以上に社会人生活に重要になってくるそう。著者は仕事の結果が出るスパンが数ヶ月である事がモチベーションにとって大事で、デイリーに判断を重ねる(デイトレとか)や文筆でも詳細な調査を10年かけて作る超大作とかはやる気が続かないと分かったそう。ふむふむ。

    ・「収入以外のものを職業から得たい」と考える先進国の若者にとって、仕事選びは、数時間の会社説明会や数回の先輩訪問などで決められるほど簡単なものではないのです。複数の企業や組織で実際の職業経験を積むことにより、ようやく学生は「自分に向いた職業は、こういった条件でフィルタリングされたものだ」と理解することができるのです。
    > /> 平均か、平均以上の待遇とかコストパフォーマンス?を求める人も多そうですが。ブラックじゃなければ、仕事ならちゃんとやるよ?みたいな。遣り甲斐のある仕事を求めるような、やる気のある人はむしろ考えるべきかもしれません。

  • 知識ではなく、考えるとは?

    →知識とは過去の事実の積み重ねであり、思考とは未来に通用する論理の到達点、つまり情報と結論をつなぐのが思考
    意思決定プロセスは情報収集をはじめる前にすべき
    目標の姿を決めた上で、判断基準に優先順位をつけることで決断しやすくなる
    比較の基本は縦と横
    新たな情報は、
    1.知識は思考の棚の中に整理
    2.まだ入っていない知識を意識
    3.不足している知識が手にはいれば言えることを事前に考えておく

  • ちきりん流に書いたロジカルシンキングの本。
     
    中盤以降のロジックツリーの箇所や視覚化などの考える際のテクニックは特に目新しい内容ではないのだが、
    なぜ自分で考えることがムズカシイのか。知識と洞察はどう違うのか。
    といった、自ら考える事の重要性を説いている部分はなかなか面白い。

    社長直轄プロジェクトで分厚い知識・情報を集めたレポートが溜まっていくが、実は物事は何も決まっていない事例の話とか、
    うちの会社でも全く同じ話がありそうでうすら寒くなる。

    本書の言うとおり、
    答えばかり先に読むのではなく、自分で考える癖をつけて、
    「知識」と「思考」の分離を進めていきたい。

  • 普通。
    著者の「未来の働き方を考えよう」がおもしろくて一気に読み,著者のブログを愛読するようになってからこの本を手にした。
    が,途中で投げ出したくなった。ぶ厚すぎて。
    褒めるだけがレビューじゃないと思うので書きますと,前に読んだ方は面白かったのに今作は詰め込みすぎて冗長に見えたのだと思います。

  • 情報化が進みに進み、あらゆる「知識」が容易に手に入る現代社会において、改めて「考えること」の本質と大切さを記した本書。最近、頭を使ってないことを懸念していたわたしにとって戒めとも言える一冊となりました。

    特に第一章はそもそも「考えること」とは何かがテーマであり、この辺がわたしにとって本書の全てでした。

  • 大学生なら普通にやってること。
    でも大人になるとやらなくなるので思い出すのにいいかも。

    インプットはアウトプットするためにある、ってのはいろんなとこで言われるんだけど、いざやるとなかなかできないものですね。大学生の頃は論文やレポートという明確なアウトプットがあったので、簡単にできたのですが…。

著者プロフィール

ちきりん

関西出身。バブル最盛期に証券会社で働いた後、米国の大学院留学を経て外資系
企業に転職。2005年に書き始めた社会派ブログ「Chikirinの日記」は日本有数の人
気ブログとなり、ツイッターのフォロワーは30万人を数える。2011年からは独立
し、文筆活動に専念。デビュー作となった本書のほか、『自分のアタマで考えよ
う』(ダイヤモンド社)、『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう』(大和書房)、
『未来の働き方を考えよう』(文藝春秋)などの著作がある。

ブログ    https://chikirin.hatenablog.com/
ツイッター  https://twitter.com/InsideCHIKIRIN

「2013年 『ゆるく考えよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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