【原文の思考の流れを乱すな】p20
①原文の思考の流れにできるだけ忠実に従うように工夫すべきである。そのためには
②原文の形式的な構造をなぞるのではなく、一度これを解体して、形式の背後にある思考の流れをよく読み取り、この流れを
③日本語本来の構造に移しかえて再構成しなければならない
名詞・代名詞の所有格、あるいはof+名詞という句の背後には、実はS+Vという文(節)の構造が潜在している。したがってこれらを翻訳する時には、まず形式上の句を内容的に文(節)に読みほどいてから、これを改めて日本語に再構成することが有効である。p37
【生成変形文法「核文」「変形」by E. A. ナイダ】p40
変形文法がもたらした最も意義深い洞察の一つは、全ての言語には6〜12ぐらいの基本構文があるだけであり、それらの基本構文(核文)に変形という操作を加える事によって、他のすべての複雑な文が作り出せる、ということである。これと逆の過程で、逆行変形とは、表面構造から、その底にある核文に還元してしまう分析の過程をいう
【代名詞は切れ】p75
①代名詞は、前後関係から見て、誤解を生んだり、曖昧さが生まれたりする惧れがない限り、訳文からはできるだけカットする。
②どうしても表に出さなくてはならぬ場合(つまり、さもなければ誤解の生じる余地のある場合)には、安易に「彼」とか「それ」とかとするのではなく、むしろ元の名詞を繰り返すほうがよい。
【関係代名詞を料理する方法】p98
①接続詞を補ってみる
②いったん切る
③分解、解体する
(時制に関して)毛利可信教授「英語は知覚に沿って言語化が行われるのに対して、日本語では知覚という動作が行われたという過去の報告を言語化する」p158
【受動態を訳すときの対応策】p192
①能動で訳す
1. 自動詞で置き換える
2. 主題提示の「は」を活用する
3. 「誰も」を入れる
4. 動作主を主語にする
②受け身のまま
③翻訳調を生かす
日本語の情況論理的な特性からして、間接話法を訳す場合、「直接話法を生かす」ことが有効である。p228