ほんものの魔法使 (ちくま文庫 き 12-2)

  • 筑摩書房
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421845

感想・レビュー・書評

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  • 手品師の街に、ほんものの魔法使いがやってくる話。
    夢溢れるファンタジー、でもちょっとだけ苦い読後感。
    5月下旬に宝塚で舞台化されるので、観劇予習に。
    すでにだいぶ図書館に予約が入っていてびっくりした。
    検索に出てこなかったので文庫版で登録してますが、読んだのはハードカバー版。活版印刷が良い味出してます。公演を見越してか、5月10日に文庫版が復刊されるようです。
    どう舞台化するのか、キャストはどうなるのか、想像しながら読んで楽しかった。チケットが取れるかどうかはさておき…。
    順番待っているヅカオタの人(多分)がいるので、急ぎ返却。

  • 魔法モノのファンタジーは苦手だけど、
    ギャリコ氏なら、多分なにかを魔法使い(や周り)
    に投影しているのでは、と思って読んでみる。

    魔術(手品)が街と人を支配して、
    本物のバラさえない世界に現れた本物の魔法使い。
    魔術の街の人々が自分たちの枠組みを超えた存在に対して
    とった行動は、あまりにも魔術を創造、創造する人々とは
    思えない現実に囚われた狭量さ。
    「できる」「やってみせる」「あたりまえの魔法」
    自然や世界の不思議(魔法)と小さな箱に詰まった無限。

  • ただの魔法

  •  あらすじに惹かれて読んで、読んでよかったけど、子どもの内に読みたかった話かもしれない。子どものときにこの本を読んでいたらどう感じたか、とっても気になる作品でした。
     唯一ニニアンへのアダムのお節介は本人のためになってないんじゃないかなーと思ったんですが、成功したようでよかったよかった。
     作中はっきりと胸の内まで描かれていたアダムが、最後には伝説となり本当に存在していたのかも不確かな気分になったのが印象的でした。最後のアレはジェインの夢であってもおかしくはない。でもこの作品からすると、やっぱりジェインは魔法で二人に会えたんだろうな。
     本当の魔法使いには敵わないと怯えてアダムを排斥しようとした手品師たちを、勘違いに気づいた後もアダムは尊敬し続けたのは、手品(魔術)で一番大切なのは客を楽しませることだからだろう。種があろうとなかろうと、客を驚かせて楽しませれば、それは立派な魔法なのだ。

  • 魔術師達(手品師)が住む隔離された町に、本物の魔法使いが現れて、そのトリックを暴こうとする町の魔術師達。彼が本物だと判明したため追放しようとするが…。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ギャリコの作品は、どれも優しさに満ちていますが、それだけじゃないところが好き。
      ギャリコの作品は、どれも優しさに満ちていますが、それだけじゃないところが好き。
      2012/10/17
  • 魔術師が集まる街に現れた旅人が魔術師組合に加入するための審査会に参加する。そこでマジックを披露するが、タネがどうなってるか分からない。その事が人々に波紋を呼び起こす・・。

    魔術師たちといっても本物の魔法使いではない。手品で人々の関心を集め、街を統治しているといったところだ。そこに本物かもしれない魔術師が来た事で利用しようとするもの、自分たちの地位や生活が脅かされるかもしれないから排除しようとするもの、単に秘密を知りたいだけのもの、などいろいろな反応があるものだ。

    だが、旅人の使う魔法は本物の魔法というわけではない。確かにマジックは使うが、基本は自然の原理を利用したものなのだろう。
    「無」から何も生まれないという事を考えれば、生物の成長や人が生み出す想像や作り出す物体などは全て「魔法」なのかもだろう。魔法は特別なものではなく皆がそれぞれ持っているんだけど、使うためのカギを開けられるかは本人次第だというのが、この小説の一番のポイントなのかなって思う。

    魔法というファンタジーの中に伝えたい事がしっかりと見えている作品ではないだろうか。

  •  いま読んでいるところですけど、評価は★★★★付けちゃいます。
     ポール・ギャリコさんの小説としては、重苦しいところが無く、
    痛快な物語です。
     ドラマの冒頭から、何故か既に圧倒的な能力を持つ主人公が登場!
     その主人公に魅了されていく人、立場を脅かされて嫉妬する人、
    TBSテレビの日曜劇場「JIN -仁-」の仁先生も、そんな主人公でしたね。
     その主人公が持っている他を寄せ付けない圧倒的な能力。主人公が
    その能力を身につけるに至った背景をどのように説明するかが、
    この手の物語の面白さを左右するポイントのような気がしますが、
    3/5まで読んだ時点では、まだまだこれからのようです・・・
     読み終わりました!
     これを読んで思い浮かんだこと・・・それは、裸の王様です。
     そうです。ほんものの魔法使は、まさに、大人のための童話ですね。
     ポール・ギャリコさんの作品に一貫して流れるもの・・・それは、強い
    信仰心だと思います。この強い信仰心に共感できるかどうかが、
    ポール・ギャリコさんの世界を受け入れ、感動し、自分の人生の糧に
    出来るかどうかの分かれ道です。
     私は、何らかの神様を信じる行為と言うのは、私たちが生まれてきた
    奇跡に感謝し、奇跡に身を任せ、私たちが生きる意味について自ら
    誓いを立てることだと思います。
     与えられた運命の中で、自分の命を最大限に活かし、命を活かすことで
    自分自身も満たされていく・・・そんな人生を送りたい。
     この作品も含めて、ポール・ギャリコさんの作品は、そんな気持ちに
    させてくれる名作たちで、まさに古典の領域に達していると思います。

  • 少し暗くて切ない感じがします。大人なファンタジー。

著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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