つむじ風食堂と僕 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.84
  • (99)
  • (152)
  • (121)
  • (15)
  • (4)
本棚登録 : 1714
感想 : 172
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480689023

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 月舟町3部作の番外編。
    トロワのリツくんが、つむじ風食堂で大人たちと交流しながら仕事について考える。
    様々な意見にいい歳した自分も考えさせられた。

    ちくまプリマー新書の「子供たちに、ひとつだけ伝えるとしたら、あなたは何を伝えますか」というコンセプトがいいですね。

  • 吉田篤の「月舟町3部作」番外編。
    最初「なんだか中途半端な番外編だなぁ」と思ってしまった。過去2作(つむじ風食堂の夜・それからはスープのことばかり考えて暮らした)の記憶が薄れていたのもあって、「なんでこの番外編?」と違和感を感じてしまったのは事実。

    腑に落ちたのは、あとがきを読んだから。なるほど、ちくまプリマー文庫200冊目の節目の本で、ちくまプリマー文庫の装丁はすべでクラフトエディング協会が手掛けていて、この文庫の生い立ちが「子供たちに1つだけ伝えたい重要なことは?」というテーマだったのだから。

    この本の主人公リツ君が、職業について、社会について考え、いろいろな意見や経験を踏まえて、自分で考え成長していく。その姿を描くというのはすごく理にかなったことだったのだ。

  • 「つむじ風食堂の夜」のスピンオフ。

    サンドイッチ屋の息子、少年リツ君が、お仕事について考えます。

    優しい言葉で、働くとはどうゆうことかが語られます。

    読書感想文にいいかも…
    メッセージがわかりやすく、道徳的で、感想文を書きやすそう。


    あとがきには、
    ちくまプリマー新書のいきさつとか、装丁がすべてクラフトエヴィング商會だとか、書かれてあり、
    こちらも楽しく読みました。


    自分が、言葉や単語に遊び心のある文章が好きなんだと、今回改めて感じました。
    だから、推理小説みたいなのにあまり惹かれないんだとおもう。

    この小説にしたって、
    「物語はいつも途中から始まる。」
    とゆう冒頭だけで、もう、
    満足。

    なんでそんな言葉が出てくるのかな!
    物語がいつも途中から始まるのは事実だし、知っていたはずなのに、
    その活字のなんて魅力的なこと!!

    実は「つむじ風食堂の夜」は未読なので、早く読みたい。

  • いろんな人・・・特に家族以外の人、世代の違う人と話すことって、子供にとってとても大切なことなのかもしれません。

  • 「将来」のことを考えると、あれこれ迷ってしまう、サンドイッチ屋「トロア」の息子のリツくん。そんなリツくんが、最近ひとりで電車に乗って、隣町の食堂に行くようになった。
     名前もない食堂で、大人にまじって食事しながら、リツくんは、様々な職業や自分の将来について思いをめぐらせる。

     吉田さんお初かなぁ?と思っていたら、なんと聞き覚えのあるパン屋さんが……。そうかぁ~、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』のあの街かぁ!と驚かされる。なつかしい人に偶然会ったような、そんなほっこりした気持ちで読みました。
     将来について真剣に悩むリツくんと、様々な職業観をもった大人たち。小6~中1くらいに読んでほしいな。

  • 大好きな「つむじ風食堂の夜」「それからはスープのことばかり考えて暮らした」の番外編。 「それから…」のサンドイッチ屋さんの息子さん・リツくんが電車に乗ってつむじ風食堂に通ってくるという設定が楽しいです。

    .
    吉田篤弘さんの文章は、いつも穏やかに語りかけてくる優しい詩情が大好きです。

    12歳のリツくんは、ちょっと風変わりな男の子。
    一番の特徴は、ものごとをゆっくりと自分の頭で考えているところ、かな。(#^.^#)

    大人のひとたちからは、
    「リツくん、そんなことは、もっと年を取ってから考えればいいんだよ」と言われるけど、
    たとえば
    「むかし」についても、

    僕にだって「むかし」はあるし、生きていくことは、毎日、少しずつ、「むかし」をつくってゆくことなんだと思う。

    そして、
    僕の「むかし」と、世界の「むかし」はまったく別のものだけど、共通点は、やり直しができないところだ。

    なんて。

    つむじ風食堂の常連さんたちは、そんなリツくんの話をきちんと受け止めてくれて、

    「たしかになぁ」
    「いや、そんなこともないだろう」
    「身につまされるわね」
    「何度だって、やり直せるよ」

    と、それぞれの経験から気持ちを語ってくれるのが嬉しい。

    リツくんは、一人で食堂にいるとあれこれ大人から質問されてしまうものだから、
    どんな仕事をしているのかを先に尋ねることにしている。

    で、それに対する答えがいいんだよね。(#^.^#)
    みんな改めて問われると、日頃の自分のなりわいについて考え始めるところがあり、
    それぞれ、働くことの楽しさや苦さなど、きちんとリツくんに伝えてくれるのは、
    大人の役割を果たしているなぁ、と。

    実はこの一冊、「子どもたちに何か一つだけ伝える]ことを目的としたいわゆる“新書”なので、
    職業というものに対する小・中学生向けの副読本、みたいな位置づけともなるのだろうけど、

    「つむじ風…」や「それから…」の登場人物たちが物語から穏やかに飛び出して自分語りをするという趣向はとても好ましく、“お話”として楽しめた。

    リツくんのお父さんの語る“サンドイッチについて”の話もよかったなぁ。
    普段、自分の訊いたことに対してはぐらかされているように感じていたリツくんなのに、
    その時はちゃんとあれこれ答えてくれるんだよね、お父さん。

    もうすぐ「レインコートを着た犬」という本が出るそうで、これを前の二作と合わせて

    月舟町三部作とします、と後書きにありました。

    (#^.^#)(#^.^#)
    どんなお話なのか、リツくんも含めてまたお馴染みのメンバーが登場するんだろうけど
    とても楽しみです。


    掲載日

    • そよかぜさん
      これはこれは、うれしい本のご紹介!
      「つむじ風食堂の夜」「それからはスープのことばかり考えて暮らした」どちらもとても良かったので、是非読ん...
      これはこれは、うれしい本のご紹介!
      「つむじ風食堂の夜」「それからはスープのことばかり考えて暮らした」どちらもとても良かったので、是非読んでみたいです。
      「レインコートを着た犬」も要チェックですね。
      2013/10/07
    • じゅんさん
      >そよかぜ様(#^.^#)
      コメント、ありがとうございます。
      お元気ですか。
      新潟にはもう白鳥が飛来しました。
      とはいえ、昨日なんて暑くて扇...
      >そよかぜ様(#^.^#)
      コメント、ありがとうございます。
      お元気ですか。
      新潟にはもう白鳥が飛来しました。
      とはいえ、昨日なんて暑くて扇風機をかけましたが。

      私、小説でも漫画でも番外編って好きなんですよ。ストーリーから離れたところで登場人物たちがあれこれ自分を語りだす、っていいですよね。
      うんうん。「レインコート…」、どんなお話なんでしょうか。月舟町の物語、としかわからないんだけど、長靴を履いた犬、なんて思い出したりして。
      (#^.^#) きっと優しい風の吹くお話なんでしょうね。
      2013/10/08
  • あの『つむじ風食堂の夜』が帰ってきた。今度は隣町のサンドイッチ屋「トロワ」の息子、リツ君が主役だ。
    分かる人には分かる符号。
    そうです。
    吉田さん曰く<月舟町三部作>
    (現在、三部めは連載中とのこと)
    今作はそのスピンオフである。

    先行きの長い人生を思い、自分は何をするべきか。
    12歳のリツ君は、オーリィさんに連れられて訪れたことがきっかけで、時折つむじ風食堂へひとり、夕食を食べに出かけるようになった。
    そこで出会う大人たちに子ども扱いされ「何処から来た?」と詮索されることを防ぐため
    「何のお仕事をしていますか?」
    そう訪ねることにしたリツ君。
    彼と出会う大人たちは、己の仕事について話し始める。

    私は思う。
    もし今の私がリツ君に出会ったら、自分の仕事についてつむじ風食堂にいる大人たち同様に語れるかしら、私の役割はこれよ、と胸を張れるかしら、と。

  • 「月舟町三部作」の番外編。

    著者、吉田篤弘さんの描く文章、世界観はなぜかほっとする。
    目まぐるしく過ぎていく日々に沈んでいった、生きるのに必要ない無駄な思考、空想を拾い上げてくれるからかもしれない。

    番外編である本作は、三部作とは少しテイストが違い「仕事」が1つのテーマになっていて、ティーン向けなのも頷ける。

  • 「それからはスープのことばかり考えて暮らした」のリツくんが主人公。
    自分は既に大人だと思っていて、「むかし」のことなんかを考えながら、一人で食堂で食事を取るリツくん。クールだなぁ。町の人たちが次々に自分の仕事について語り、それについてリツくんが考えるところが好き。最後のお父さんの場面では、なるほどそう来るのかと嬉しくなった。

  • この人の本はいつも雰囲気が良くて、出てくる人たちが厳しくも温かで、読み終わったあとなんとも言えない心地よさになごむ。とんでもない事件が起こるわけではないから何ヵ月かすると街のことと出てくる人の事以外は忘れてたりするんだけど、それがまたよくて、何回読み返しても楽しい。

全172件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉田篤弘の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
有川 浩
梨木 香歩
三浦 しをん
梨木 香歩
クラフト・エヴィ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×