- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480815736
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
『自然にまっとうに自分たちでできることを、できないって思い込めば思い込むほど、支配する者たちの力は強大になる。おまえらにはトイレ一つ直せないんだから、俺らに任せとけって勝手になんでもかんでも決めるようになる。そうやって権力は、俺らが、つまり人間が本来持っている力を削いでいくんだ』
という言葉がすごく心に響きました。
できないって思い込んでいることにすら私は気づいてないのかもしれないとさえ思いました。
-
こんな運動があったことを初めて知った。声をあげること、そしてそれを継続していく事は、大きなエネルギーが要る。生きるために抗う、戦う権利について考えさせられた。自己責任という言葉に誤魔化されてはいけない。
-
E15ロージズ、格好良い。
日本で、こういう感じないかもだけど、だんだん日本の女子もものが言えるようになっているかも。か、二極化かな。いろいろと。 -
この方の本は何冊か読んでてイギリスの現状も知ってるつもりでロックファンとしても共感する部分は多いのですが、シングルマザーとか貧困の連鎖とか身近にないし本質的な問題がどこにあるのか分からず今回はなかなか腹に落ちなくて自己嫌悪。「リスペクト」の本質って難しいです。政府の怠慢を棚に上げて「自己責任」とか「自助」とかが幅を利かせてる日本にもこんな時代が来るんですかね。と言うかもう来てるんですかね。それに人として正しく振る舞えるように、感性を磨いていたいけど。
-
「住」を奪われようとしたシングルマザーたちが自らの「尊厳」を取り戻すために闘った実話を元に書かれた作品。閉塞した社会状況で鬱々している私たちに勇気を与えてくれる物語だ。しかしロンドンオリンピックのシンボル「アルセロール・ミッタル・オービット」をネットで確認したけど、確かに不気味な建造物だ。大阪万博のマスコット「ミャクミャク」に通づるものがあるわ。
-
ジェントリフィケーションという言葉を初めて知りました。ブレイディみかこさんの作品を読むと、初めて目にする言葉が毎度あります。その後はよく耳にするようになる気がしますが、知らなかっただけで情報を受け取ることができていなかったのだと思います。
リアルな社会問題の描写も軽妙な語りなので、スルッと入ってきます。 -
2012年のロンドンオリンピック、緊縮政策の煽りを受け、2014年にロンドンで実際に起こった占拠事件をモデルにした小説。高級マンションに建て替えるために退去を迫られたシングルマザー達が立ち上がり、公営住宅を占拠し、空き家だらけで放置されている公営住宅があるのに、そこに住めずホームレスになるのはおかしいと訴える。
占拠拠点に多くの賛同者が集い、支援物資が集まって必要な人が自由に持ち帰り、できる人が無償で公営住宅の修繕をし、お金を介さない相互扶助、自治機能が働いたことに驚いた。多くの人に理不尽さの訴えを届けることで、自分たちの問題を自分たちで解決していく若いシングルマザー達が爽快で一気に読んだ。
ロンドンで起こった事件のことも、ジェントリフィケーションという言葉も知らなかった。都市の再開発や所得格差によって生じる問題について考えさせられた。高所得者しか住めない都市であっても、生活に密着した産業(小売、交通、育児・介護など)に従事する人は必ず必要で、概して低い給料で働いている人たちが居住できなければ都市機能が成り立たなくなってしまう。
自分をリスペクトできる行動をしていこう。始めは些細なことでも誰かの役に立って周りの世界を少しでもよい未来にできると信じて。