- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488024949
感想・レビュー・書評
-
正直、最初は何の話?という感じで、戸惑うところもあったが、話が進み、物語の視点と関係性がわかってきてからはどんどん引き込まれていった。
あとがきに書かれている振り落とされないように読んでいく感覚がわかった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本のミヒャエルエンデといっても過言じゃないな。伊坂幸太郎、、、と、思うほどにネバーエンディングストーリーを彷彿とさせるようなファンタジー。
なんとも言えない世界がどうやって幕を閉じるのがものすごく気になります。
最後の浮気をされた不甲斐ない僕の立ち位置が見事。
なんとも言えない抜け感のある猫と、僕、そして、国王と裏切り苛立ち色々あるのに、主役である猫?がフッと脱力してくるところに、シリアスな場面がほとんど出なかったように感じるほど、泣かせるでもなく、ハラハラドキドキしそうでさせない、この技。これ、伊坂幸太郎。
そして、ハラハラドキドキしないし、緊張感ないのにどーしても先が気になる。
これ、伊坂幸太郎。
ほんと、どうしてなんだろう。 -
面白かったんだけど、なんだかよくわからないもんにゃりとした。
この社会もどこかわからない国同士も、猫と鼠の関係も、突き詰めればみんなおんなじということか。
腑に落ちないことは多々あるとはいえ。それをどう上手く、決着つけるか。まだそれは、いづれも途上にあるけれど、まぁそれはそれでいいのでは? -
鉄国の支配を受け続けている国のクーパー兵士の物語。
猫とネズミとの関係と繋がっている。
小説の世界観から置いていかれないように読み進めるのに苦
労した。 -
「夜の国のクーパー」
クーパーを倒しに行く物語。
動けない僕の上にちょこんと乗っている猫が言う。僕の話を聞いて欲しいと。
もしかしたらトムの言葉を僕が理解出来ているのかも知れないが、どうやら鉄の国がトムの暮らす小さな国を支配しようと戦争をしかけてきているらしい。僕はこの不思議な状況を聞きながら考える。それは大変だ。でも僕は動けないんだ。
ファンタジー溢れる世界観からオーデュボンの祈りやSOSの猿のような感覚を受ける。でも、鉄の国と言う呼名や住民、兵士の風貌、名前からどこか中世のようにも思えるし、クーパーと言う謎の怪物からは冒険ストーリーにも思えるから、上記二つよりは作品の幅は広く思える。
個人的には、僕の役割が良かった。最後美味しい所を持っていくのも好きだが、猫と鼠の話を自分と妻に置き換えて関係修復を考える所や自分の弱さに自信なさげだけど「トムに助けると言っちゃった手間頑張るか」と最後決める辺りは、現実の世界での僕の生活や振る舞いを思い浮かべる事が出来る。
猫の中では、ギャロが良い。トムはしっかり者だが、ギャロはお調子者。しかし、このギャロは最後にいい事しちゃいます。やるね、ギャロ。
しかしながら、トムもギャロも人間の生活には興味を示さない。戦争をする人間には同情するが、だからと言って助けようと積極的に動くわけでは無い。彼らが動くのは、自分達まで襲われる可能性が出てきたからだ。ある時点までは、彼らは完全に野次馬なのだ。
ここら辺がファンタジーぽくない。私はファンタジーに対して、善悪が分かれているイメージを持っていた。
攻めて来る鉄の国やトムの暮らす国を支配するダメな王は悪で、クーパーを倒しにいった透明な戦士が善。そして、トムやギャロも気持ちは善で、攻め込まれる人々に心から同情し、何かしてやろうとするもんだと思っていた。
しかし、そんな簡単に善悪があるもんじゃない。猫達も鼠達も人間と同じように善悪の中間に立ち得るのだ。そこに妙な苦々しい共感(現実)を感じた。
ファンタジーならファンタジーにして下さいよ、伊坂さんw -
とある小さな国の外にある杉林にいるクーパーという生き物。それを倒すために毎年クーパーを倒す兵士が選ばれる。兵士たちは帰ってこられないが国が窮地に陥った時、透明の兵士になって救うという…。始めの方は説明が多くて進まなかったが後半は一気に読めた。クーパーの兵士と攻めてきた敵国の兵士、小さな国の秘密とか、そういうことだったのか〜と思いながら読み進められました。
-
猫好きにぜひおすすめしたい本。
読むと頭のなかに毛繕いしている猫が浮かびます。 -
正月休みのお供に久々にハードカバーを借りてみました。
猫の語り部、ということでちょっと海辺のカフカを思い出しましたがお話は全然違います(当たり前だ)。
なんだかふわふわと話が終わってしまったと言うような結局町の人たちは踊らされていただけで何もしないで終わったねえ、というような感想です。が、そう言えば主役はトム君、猫だから良いのかな?多分。
面白くないわけでは無いのですがだから?と言われるとう~んと考えてしまう。そんな感想です。 -
複眼隊長とか医々雄とか酸人や冠人。名前が難しい、、、
あと猫とねずみ。 -
猫目線という珍しいスタイル
猫と鼠の“平和協定”のくだりがきっと物語の重要なメタファーなんだろうなとは予想をつけていたが、終盤にその伏線が巧みに回収されていて読むのが気持ち良かった。
とびきりユーモラスなキャラクターが登場するわけではないが、それでも何というか、やっぱり伊坂さんはキャラクターの描き方が上手いなあとしみじみ。
それにしても「物語」って怖い
物語は人心掌握にも利用されうるなと。 -
猫視点で描かれる、とある小さな国の物語。
初っ端、猫の言葉がわかり会話できるという状況についていけず、入り込むまでに時間がかかりました。慣れてしまえば問題なく、寓話っぽい雰囲気もありながら伊坂さんらしい調子でどんどん進んでいきます。
伏線もあり最終的に回収されますが、複雑なものではなく結果的に予想通りというかんじ。まぁ最初に某旅行記を連想しちゃったってのもありますが。デジカメの件については違和感が。どうも納得いかない。
これ、実写化されないかなぁ。映像化して面白いかは置いといて、猫がたくさん出る猫好きにはたまらんものになること請け合い。 -
壁に囲まれた小さな国の危機とその真実を、町に住む猫の視点で見つめた物語。
初めに見えていた世界の形がお話が進むにつれどんどん変わっていくのが楽しかったです。お互いがほんの少し歩み寄る努力をすると、世の中はまるで変わって見えるという。
タイトルにもなっている謎の生物「クーパー」の正体(?)には笑っちゃいました。なんという異文化交流。
舞台となる国が戦争に負けて民衆の前で支配者が殺される、という重い雰囲気から始まりますが、視点役が自由な猫なので読みやすかったです。
猫かわいい。
あと兵長渋い。 -
城壁に守られた小さな国は毎年、クーパーと呼ばれる化け物を退治に男たちを送りだす。戻ってきた者は1人だけ。そんな慣習も10年前に終わり、国民は細々と暮らしている。そこへ昔から戦争をしていた大国に負けたとの情報が入り、国を明け渡すようにと兵がやってきた。国王は殺され、その後継ぎは頼りない。民はうろたえ、猫はあくびをする。
いつもなら、日常に不思議な空間が忍び寄る伊坂ワールドだが、今回は不思議な世界に日常(こっち側の人間)が入り込んでしまう話。
賢い猫に礼儀正しいネズミ、暴力的な権力者にひ弱な民と「昔、昔、あるところに」と始めたくなるおとぎ話のよう。
伊坂版ガリバー旅行記といったところかな。医師じゃなく公務員だけど。 -
喋る猫そしてネズミ。
なんだかオーデュボンの祈りに似ている。
なかなか入り辛い世界観ではありましたが、読みごたえのある作品でした。近年の伊坂作品の中ではなんだか以前の作風を思い起こさせるところが多くて良かったです。
ネズミのキャラづけが素敵でした。 -
伊坂幸太郎さんが好きなヒトは無論、そうでなくても猫好きな方は、見逃せない小説です。傑作でした。
伊坂幸太郎さんってすごいですねー。
個人的にはいまひとつ?な小説も中にはあるんですけど、
やっぱりこう、40歳の僕としては、普通に小さな本屋でも売っている小説家さんの本で、「これは何か、見たことをないものを見せてくれる」と思える小説家さんって、村上春樹さん以来ですねー。
「夜の国のクーパー」。ジャンル分け不要なんですが、これから読むかも知れないヒト向けに書くつもりで。
あえて言えばSF小説ですね。
ハックスリーとかオーウェルとか、僕はあまり読んでいませんが恐らく大江健三郎さんとか、そういう系統なんでしょう。
オーソドックスな小説ではありません。
読者からすると、謎の国。謎の街。小さな、壁に囲まれた国。
そこに、大国から軍隊がやってくる。
国王が殺される。支配が始まる。
そして、語り手は、猫。
吾輩は猫である、に並ぶ、猫一人称小説のベストニャン。
その街には伝説がある。
壁の向こう、遠くにクーパーという巨大な化け物がいる。
10年前まで、毎年、クーパーと戦うために若者が選抜されて街を出て行った。
帰ってきた者はひとりも、いない。
いや、ひとりだけ、半死半生で帰ってきたも若者がいた。
彼が死ぬ前に語り残したことは・・・。
そして、オーソドックスな僕たちの世界、仙台の街から、
妻に浮気されてやけくそになった平凡な地方公務員が、
その謎の世界に紛れ込む・・・。
軍隊の支配、征服者の欲望、市民の恐怖、疑心暗鬼。
力の論理。猫とネズミの和平工作。全員のための生贄。
国家の政治の都合、権力者は情報を独占し、嘘を語る。
過去と現在、人間と動物、SF世界と現実世界。
さまざまな話法と時制と視点が錯綜して、虚実が入り乱れた混乱が、
最後に一点に集結。何のとりえもない仙台の公務員が、全ての転換点を握る。。。
寓意と慧眼、小説ならではの遊びに満ちたユーモア。
脱帽ですね。
読書としては、前半ちょっと、説明が煩雑で読み進む情熱が一瞬薄れかけるところもあります。エンターテインメントのためだけの本ではないので。
それが後半終盤、我慢した甲斐があるカタルシスがあります。
これは、編集者や出版社やテレビ化映画化のために意図されたものではないですね。
誰かが、こういう物語を書きたい、というたった独りの意思と情熱で書いたものです。
素敵な読書体験でした。 -
「立場が変われば考え方が変わる」それが実感できる1冊。
でも、決して押しつけがましくなく、説教臭くもなく。
猫のトム君や、妻に浮気された情けない主人公の目を通して、町の個性的な、でもどこにでも居そうな人々や、どこにでもありそうな為政者、礼儀正しい話し方の鼠たち。
いろいろなことが描かれています。
ラストは、なるほど。そう来ましたか!といった感じ。
それはもう、ほんとに愉快痛快な1冊です。なのに深くておもしろい。 -
図書館にて20130217
猫が主人公。
オチが読めたけれど、好きな世界観だった。伊坂さんらしい、ちょっとした会話表現は、ツボにはまります。