髑髏城 (創元推理文庫 118-12)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118129

感想・レビュー・書評

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  • 勿体つけた言い回し、意味深な台詞、探偵たちの隠し事の多さ!
    読むのに意外にも時間がかかってしまった。

    ライン川の河畔に建つ髑髏城。
    稀代の魔術師メイルジャアが改築したが、彼はライン川に変死体となって浮かぶ。
    跡をついだ俳優、アリソンが火に包まれながら、城壁から転落し、探偵バンコランに真相解明の依頼がくる。

    久しぶりのこの世界観。
    明かりは蝋燭で揺れ、外は嵐で荒れる。
    人間関係は複雑に絡み合い、探偵たちは火花を散らす。
    ライン川のクルーズ。昼から泡を6インチも高く盛り上げたビール。裏山の散策。
    音楽を聴きながらのトランプゲーム。
    事件が絡んでなければ、優雅な時間。
    フォン・アルンハイムの仕組んだ晩餐会の怪しげなきらびやかさ。
    その描写にうっとりしつつ、終盤のジリジリと緊張感が漂う髑髏城。
    最後の切なさが読後に余韻を醸し出す。
    面白かった!

  • ディクスン・カーに虜になってしまってます。
    途中で止められないのが難。

  • バンコランもの。ドオネイというベルギーの富豪がバンコランに髑髏城でその城の前に別荘を持つアリソンが、炎に包まれて亡くなったので、捜査をしてほしいという依頼をする。その別荘で、バンコランとジェフは、ベルギー警察のアルンハイム男爵と再会し、二人はこの事件の捜査を始める――その先に行き着く真実とは。

     バンコランものを読み始めた理由の一つとして、バンコランものの名作と言われていたような気がした本作を読むためだったのだけど、期待を裏切らず面白かった。髑髏城と呼ばれる城と、場内の雰囲気、環境、殺人の謎などなどにカーの怪奇趣味が散らばり、またろうそくの影に映るバンコラン自身なども恐怖心を煽ってきます。
     作品の謎についても見事な論理で最後を飾ってくれました。もっとも、なぜバンコランが最後にこう動いたのかなんとも理解し難いところではあったのですが。最後のバンコランのような行動はないのかなあとか思ったのですが、未見当違いだったようです。
     カーらしくバンコランの雰囲気にあったとてもおもしろい作品でした。

  • 神秘的なミステリーだぬo(^o^)oアルンハイム男爵はかっこいい感じなんだけどバンコランの描写を見ると、どう想像してもレイトンシリーズの悪役ドン・ポールにしか思えない(笑)今まで名探偵=イケメンもしくはシブメンだっただけにある意味衝撃的だった。昔の本格としては面白いと思う。やや切ないね。

  • ライン河畔の古城・髑髏城の城主が不審な死を遂げた。
    探偵バンコランとそのライバルアルンハイム男爵は真相を巡って鎬を削る。

    雰囲気もの。
    捜査の描写が物足りないし、アルンハイムはバンコランのライバルとして荷が勝ち過ぎているしでミステリとしてはいまひとつ。
    犯人の動機とその後の行動は怖くて良かっただけに残念。

  • アンリ・バンコランシリーズです。
    今回はライン河畔にそびえる髑髏城が舞台です。
    その城主であった魔術師メイルジャアの謎の死から十数年後、現在の城主が火だるまになって城壁から墜落する事件が発生します。
    カーお得意の怪奇趣味の特徴が色濃いです。
    この謎にバンコランの宿命のライヴァルであるベルリン警察のアルンハイム男爵とバンコランが捜査に乗り出します。
    独仏二大探偵の捜査争いは見物です。
    本書のバンコランは珍しく最後に優しさを見せています。

  • バンコランのやさしさがある意味垣間見れる本でしょう。
    それでも前半部~終盤間近まではやはり
    バンコラン特有の鬼の面は目立ちます。
    なので苦手な人は終盤までその性格のきつさは
    辛抱しないといけないので
    気をつけてください。

    それでも犯人は
    割とカー作品を見ている人には
    わかりやすいかと思います。
    必然的に犯人が限られてきますし。

    内容としては面白かったです。

  • ライン河畔の「髑髏城」見た目が髑髏にそっくりなのでそう呼ばれる城で、城主が火だるまになって城壁から墜落。中世紀からの不気味な古城、隠し通路、20年近く前に謎の死を遂げた魔術師、とカーらしい怪奇趣味全開!舞台はドイツで、バンコランのライバル、ベルリン警察のフォン・アルンハイム男爵との推理対決もあって、ワクワクし通し。
    真相の処理の仕方とか、なんというか、私が前に読んだ『絞首台の謎』とか『夜歩く』とかよりバンコランが人間らしい感じになってた。見た目は常に悪魔呼ばわりだけど。

  • 魔術師の名前は”メイルジャア”になっている旧訳版。
    バンコランvsフォン・アルンハイム男爵との仏独探偵対決だが、バンコランのやり方はズルくないですか?

  • 確かに犯人は解らなかった。カー特有の怪奇趣味が横溢してもいる。秘密の通路も今回は多めに見よう。
    が、しかしそれら全てをもってしても、こちらの知的好奇心をそそらなかった。

    実際、昨今は本格ミステリを読んで世界が止まる感覚、いや驚愕を味わった記憶が無い。
    でも欲しているんだ、あの感触を再び。

    初期の作品だから円熟味は無いとは云え、メイルジャア失踪のトリックの真相は荒唐無稽すぎる。俳優は万能じゃないんだぜ。

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