ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
- 東洋経済新報社 (2010年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492532706
感想・レビュー・書評
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第1章 戦略は「ストーリー」
全ての企業に汎用できる成功の法則なんてものはないが、成功するための論理はある。戦略はサイエンスよりアートに近い。会社のその文脈に埋め込まれた特殊解として戦略を構想する。変わりゆく世界において、変わらない何かとして論理が大切になる。
戦略の本質「違いをつくって、つなげる」
・つなげる
①大きな事象を構成要素に分解し、別個に吟味
②戦略の神髄は綜合んびあり、分析の発送と相容れない
③成果との因果関係が強力に確保
第2章 競争戦略の基本論理
企業が追求すべきゴールは利益
・利益の源泉
1.業界の競争構造
圧力
①業界内部の対抗度
②新規参入の脅威
③代替品の脅威
④供給業者の交渉力
⑤買い手の交渉力
2.戦略
新しい技術は競争構造をより利益がでにくい方向へと駆動する。戦略とは、「どうやって儲けるか」。
戦略の第一の本質は「他社との違いを作ること」
違い①ポジショニング(SP)
うまいこと稼げる市場に身を置く,無競争
他社と違ったことを「する」
違い②組織能力(OC)
他社と違ったものを「もつ」,独自の強み
ルーティンとしてのOCは模倣できない
→トヨタのカンバン、なぜとか
意思決定の時点ですぐに手に入る経営資源はOCになりえない。SPは静的で、OCは動的。
SP-OCマトリクスの右上が最強。日本はOCに寄りがち。
第3章 静止画から動画へ
ストーリーは後付けではない。
本章は戦略ストーリーの5Cのうちの3つを紹介。
競争優位、構成要素、一貫性
競争優位は「結」、構成要素は「承」
残りの二つのC、「コンセプト」と「クリティカルコア」については本章で触れないが、コンセプトが「起」でクリティカルコアが「転」。
第4章 始まりはコンセプト
「競争優位」がシュートだとすると、「コンセプト」は軸足に相当する。コンセプトとは、本質的な顧客価値の定義であり、本当のところ誰に何を売っているのかおいう問いに答えること。≒誰に嫌われるか、ということ。
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10か条」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
さすが名著。もはや古典。
経営学の基礎も丁寧に教えてくれて初心者でも読みやすい。 -
凄いボリューム。
物事を伝える際もストーリーが大事、飲み会のネタもストーリーが大事。企業経営も、やはりストーリーが大事。 -
マブチモーター、デル、サウスウエスト航空、アマゾン、アスクル、スタバを例として話が展開される。何度も読みたい戦略本。
骨法10ヶ条
1. エンディングから考える
2. 「普通の人々」の本性を直視する
3. 悲観主義で論理を詰める
4. 物事が起こる順序にこだわる
5. 過去から未来を想像する
6. 失敗を避けようとしない
7. 「賢者の盲点」をつく
8. 競合他社に対してオープンに構える
9. 抽象化で本質をつかむ
10. 思わず人に話したくなる話をする -
事業戦略や競争優位性の継続として、ストーリーになっている戦略を立てることの重要性を事例を多く交えて解説してくれる本。部分の不合理やOCなどの考え方は参考になるが、大きな企業の戦略立案に関わる人以外には活用方法は少ないか。投資で企業を分析するときにこのストーリーに沿っているかチェックするのはいいかも。
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面白かった。最終章の骨法10か条にポイントはまとまっている。ただ、ベストプラクティスや流行ってるメソッド的な事を知ること、学ぶことは重要だが、その先に自分が置かれてる業界、顧客、社内を考えないと上手くいかない。また、そのストーリーの筋がいい、面白いと1番感じて貰うのは同じ会社のスタッフなんだと思う。お客様さんはそのストーリーラインを人間の本能的な部分でなぞってしまうだけ、その仕組みを具現化するための同僚や協力者におもしろいと思われなければ実現しないんだとつくづく思いました。
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個人的に好きな方で、ブックオフで偶然的に発見し即購入。本書は、戦略にはストーリーが大事だという独自の切口で説明している。主には、2点ポイントがあり。1. 時間軸を意識した進め方。2. 人間の本性に受け入れられる事が大事だと言及しており、その事例の一つとして私が買ったブックオフの戦略ストーリーも本書で解説されている。気になる方は、是非ご一読をオススメします。約500ページに渡る超大作であるが、楽しく読む事が出来ました。また、時間を空けて読み返したい。
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ずっと読んでみたかった名著をようやく読破。
著者の楠木さんは「好きなようにしてください」でファンになった。
優れた戦略の原理原則が具体と抽象、そして例えを用いながら解説される。
スターバックスの成功例は一番分かりやすく面白い!
【優れた戦略の骨法抜粋】
コンセプト
部分非合理と全体合理(賢者の盲点、キラーパス)
長期持続的利益(ゴールを先に決める)
面白く長い話であること
【例え話Top4】
地方都市のコギャル
子供のサッカー
サッカー(戦略と戦術)
シェフのレシピと厨房の中(SPとOC)
【面白かったストーリー競争戦略Top3】
スターバックス(第三の場所)
サウスウエスト航空(空飛ぶバス)
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良いストーリーというのは、打ち手の一つ一つが関連し合い、動きを持って企業の成長を語れるもの。他社のベストプラクティスを全て持ってきて組み合わせても部分最適であるかもしれないが全体最適とはならずに、良い戦略ストーリーとはならない。また良い戦略は一見すると一部に悪い打ち手が入っているように見えるが、これが競合他社には真似すべきでは無い悪手に見えるかもしれないが、実はストーリーを作る上でキーファクターであれば、それは他社に真似をされないので、長期的に競争優位性を保つことが出来る。
流れる戦略とは聞いていてワクワクするものとのこと。
実務レベルで戦略を作る際にもこの手の教科書的な論理を理解した上で進めた方がブレが無さそう。