V字回復の経営: 2年で会社を変えられますか 実話をもとにした企業変革ドラマ
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2001年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532149345
感想・レビュー・書評
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ある企業のV字回復に至る過程を追ったノンフィクションストーリー。
・改革の8つのステップ
1.成り行きのシナリオを描く
2.切迫感を抱く
3.原因を分析する
4.改革のシナリオを作る
5.戦略の意思決定をする
6.現場へ落とし込む
7.改革を実行する
8.成果を認知する
・改革のコンセプト1:商売の基本サイクル(事業の原点)
創る(開発)→作る(生産)→売る(販売)
・改革のコンセプト2:勝ち組の循環(戦略の連鎖)
<勝負の戦場は明確か?>→<伸びる市場に参入>→<そのセグメントに競合より先に参入>→<そのセグメントでNo.1になる(勝つまで集中的に勝負)>→<製品陳腐化・市場成熟化による相対的後退>→<伸びる・・・(以下繰り返し)>→・・・
・改革のコンセプト3:事業変革 3つの原動力
1.「戦略」を見直す
2.「ビジネスプロセス(商売の基本サイクル)」が迅速に回る組織を設計する
3.上の2つを見直すことによって「マインド・行動」をひとつにする
・5つの連鎖
価値連鎖、時間連鎖、情報連鎖、戦略連鎖、マインド連鎖
↑「スモールイズ・ビューティフル」を実現することで改善される詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三枝三部作
何回読み直しても発見がある。 -
プロジェクトリーダーのあるべき姿が理解できた。リーダー必読の一冊だった。
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【読者】 改革を志向する経営者・社員、会社が不振だがどうしていいかわからないサラリーマン
【目的】 短期間での経営改革におけるステップ・要諦をストーリー仕立てで説く
【一押】 実在の企業の例をもとにしており、説得力がある。個人の仕事の仕方に通じる部分があり、心を動かされる
【概要】 本書は経営改革に関して、大きく以下3つのテーマについて、ストーリー仕立てで解説している。
1.改革を必要とする不振事業では、どのような症状が表れているか
2.改革においては、どのような人材を改革推進者に据えるべきか
3.改革推進者は、どのようなステップを踏んで改革を進めるべきか
1では、50の項目が挙げられている。例えば、赤字が出ていても危機感がない、組織に政治性がはびこっている、戦略が組織レベルで骨抜きにされ個人で徹底されないといったことである。
2では、まず4人のリーダー像が必要だとしている。すなわち、改革を後支えするスポンサー役、改革の方向性を定め全体責任者となる力のリーダー、改革手法や具体的な作業手順を主導する智のリーダー、実務的な押さえを担う動のリーダーである。そして、タスクフォースなどに選抜するべき人材は、気骨と論理性を持ち、社内政治を改革にを持ち込まないものである。
3では、8つのステップを紹介している。①成り行きのシナリオを描く、②切迫感を抱く、③原因を分析する、④改革のシナリオを作る、⑤戦略の意思決定をする、⑥現場へ落とし込む、⑦改革を実行する、⑧成果を認知する。これらのステップにはそれぞれ改革を停滞させる「壁」があるため、注意する必要がある。
【感想】 ビジネス書であるが、不振事業の再建を託された主人公を中心とするストーリーも面白く、読みやすい。自分が働く企業が不振企業にあてはまるならばより共感できるだろう。個人的にも、本書で改革コンセプトとして使われる「創って、作って、売る」のサイクルを、自分が組織の中で意識することがないため、危機感を覚えた。さらに印象に残った点として、大企業に見られる「社員の幼児性」、「拗ねと甘え」というものがある。こうした人材が往々にして改革を殺すとあるが、これも自分に当てはまる部分があり、ショックを受けた。人がすぐに変わることは難しいと本書にもあるが、改革の8つのシナリオを自身の仕事に適用して自らを変革したい。 -
おもしろいです。巷で流通する経営学の本は「経営学学」であるとの揶揄もありますが、対して三枝さんの本は生の企業を注意深く観察することで得た知見をフルにいかしたまさに「経営学」の本だと個人的には思っています。
社会に出てからも長く付き合っていける本です。今後も何回も読み直そう。
経営学を学び始めの方でも楽しく読めるだろうし、研究者や実務家の方にとっても有益なのではないかと思いますが、いわゆる「ミドル」「ロワー」の方にこそ是非読んで欲しい本です。 -
2004年 就活動中に読んだ。
組織のマネジメント、方向性を示す姿勢、その信念が素晴らしいと思った。
一気通貫
気骨の人事
創る、作る、売る -
単純におもしろかった しかしこんな気骨のある人いるんかね?日本の国自体もこういう改革できたらいいのにな
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スモール・イズ・ビューティフル
カンバン方式は製作者がダイレクトに消費者の意見を聴きたいと思えることで創造性を掻き立てる。
見えない問題はすべて洗い出して見る。
分類できるかどっかはコンセプトの共有が鍵。
怒りを持てるほどの意思を持った人物は周りにいるか?
その怒りに対して「じゃあこれならどうだ!!」と思える反撃をしているか?
危機感を持つこと。
それも全体で共有するように仕事をする。
現実直視不足が一番怖い。。。 -
会社への不満は誰でも言えるが、実際に会社を変革させるのってもの凄く難しい。ロジックも大事だけど、その会社の内部まで入り込んで、根本的に課題を把握する事はもっと大事。
戦略を実行するのは人であり、その人の気持ち、集団の連帯がいかに大事か痛感させられる。
「商品別損益がボトムラインで語られていない。担当者レベルの『赤字に鈍感』の集合体が組織全体の危機感不足を構成している。」
「開発者がマーケティングや市場での勝ち負けに鈍感になっている。何が『良い商品』なのかの定義が社内でずれている事に気づいていない。どの答えが正しいかは顧客が知っている。」
「顧客メリットの構造、顧客の購買ロジック」
「分類手法が大事なのではなく、皆が参照すべきコンセプト、認識の共通基盤が必要。そうしなければ集団として現実を整理する事はできない。」
「社員のものの見方がバラバラだから混沌とする。」
「経営者はコンセプトを提示しろと言われたって、簡単ではない。モグラたたきをする以外にどうして良いか分からない。この混沌を整理し、ストーリかしないと見えてこない。」
「開発、生産、販売のサイクルを早める。」
「カンバン方式は単なる在庫減らしの手法ではない。時間の価値と言う新しい戦略要素を追求する手法である。企業は時間の戦略を追い求める事によって、新たな競争優位を構築する事ができる。」
「『経営の面白さ』『経営の創意工夫』に生き甲斐を見いだすべき日本のエリートの多くが、分業の機能別組織に閉じこもり、椅子の足だけ作っているパーツ職人になっているのではないか。」
「小さなビジネスユニットなら、今よりも、みんなが顧客を近くに感じるようになる。それで皆の切迫感が高まる。自分で商売の基本サイクルを早くまわそうとするだろう。」
「戦略のストーリーが組織末端まで伝わっていない。戦略連鎖が崩れている。ビジネスユニットの中で戦略連鎖がつながれば、全体戦略、開発戦略、営業戦略、営業活動などが矛盾や切れ目無く繋がり始める。」
「経営風土を変える為に『風土改革をしよう』とか、意識を変える為に『意識改革をしよう』などとそれ自体を目的化したところで、業績向上に巡りつく事は難しい。」
「社員のマインド・行動を束にするには、1.明確な戦略が示される事、2.社員が迷い無く走れるようにシンプルなビジネスプロセスがくまれていること、この2つがカギだ。」
「問題を生み出しているメカニズムが見えてきたら、それをなるべく単純化して、『原因ロジック』を描く。よけいな要素をそぎ落とし、悪さを生み出している根本原因を絞り込むのである。原因ロジックが単純であれば改革のシナリオも単純になる。」
「ユーザーの経済メリットは、さまざまな要素が複雑に作用している。正確に論じる為には、ユーザーの仕事内容を裏側まで良く知っていなければならない。」
「戦略ストーリーを具体的な実行管理ツールに落とし込み、現場末端の活動にまでフォロー体制が連動するように工夫する。」