V字回復の経営: 2年で会社を変えられますか 実話をもとにした企業変革ドラマ
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2001年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532149345
感想・レビュー・書評
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あらたに経営者の立場になった方にはお薦め。著書の持論は企業再生をやってはじめて、経営者は育つ。というのも。実際に再生というのは、一回死んで行き帰るために途方もないエネルギーと経営資源が必要になるし、かつ生き残るためにあらゆる角度から、あらゆる機能、組織を見直す必要があるので、経営者としてはこれ以上勉強になることはないということだと思う。この本は、ケーススタディ的にそのプロセスを実感しつつ、鍵となるフレームワークやチェックリストが学べる実践的な本である。
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1003後半読了。
NRIの梶川さん?に聞いて読む。
志望理由にかんしてかなりえいきょうをうけた。
人のポテンシャル、というのは、この就活でばっちりフィットはしないかもしれないが、俺の根底に思う気持ちを発掘できたという点で非常にインパクトのある一冊だった。 -
B09029
今回が3回目。
内容のポイントについては、2回目のレビューでほとんど書いてしまったが、
今回は、読みながら少し前に参加した越純一郎さんの講演会のお話を
思い出す言葉がとても多かった。
やはり、再生も、創造も、成長も、経営の根幹は同じなんだなと感じた。
第6章は涙なしでは読めないよね。
<2回目>
三枝さんの変革3部作の中でもこれが一番だな。
今すぐ撤退するか、変革に取り組んでも2年以内に回復しなければ撤退という状態の事業部をいかに立て直していくか。
なぜ失敗をしたのかを徹底的に洗い出した上で、危機感を醸成し、原因をあぶりだす。
改革シナリオを描く。
抵抗者は排除する。
戦略を決定する。
現場へ徹底的に落とし込む。
改革を実行する。
成果を認知する。
商売の原点「顧客の立場に立つ」に返る。
バリューチェーンを短くする。
サイクルを早く回す。
肥大化した機能別組織の10の欠陥。
1.事業責任が分かりにくい
2.損益責任が曖昧
3.「創って、作って、売る」が融和していない
4.顧客への距離感が遠い
5.少人数で意思決定が出来ない
6.社内コミュニケーションが悪い
7.戦略が不明
8.新商品が育ちにくい
9.社内の競争意識が低い
10.経営者的人材の育成が遅れている
これを、以下の様に変革する
1.事業責任が明確な組織に
2.損益が見えやすい組織に
3.「創って、作って、売る」が融和して早く回る組織に
4.顧客への距離感が縮まる組織に
5.少人数で意思決定の出来る組織に
6.社内コミュニケーションが速い組織に
7.戦略を明確にしやすい組織に
8.新商品育成が促進される組織に
9.社内の競争意識が高まる組織に
10.経営者的人材の育成が早まる組織に
5つの連鎖を早くする
1.価値連鎖(バリューチェーン)
2.時間連鎖(バリューチェーンの距離を短くすることで)
3.情報連鎖(バリューチェーンの距離を短くすることで)
4.戦略連鎖(戦略を組織末端まで伝わる)
5.マインド連鎖(マインドを1つにする) -
最初読んでいて、まるでうちの会社のことか...と思った人は多いのではないだろうか。
指摘されていることで、自分の会社に当てはまる事ばかりだった。
創って、作って、売る のプロセス
から離れてしまう、分業組織。
まさに、その通りだと思う。
しかし、残念。話も佳境に入ってくると、「やっぱりこれは現実には難しいよ」、と思ってしまうことがしばいしば。最後はほとんど読み飛ばし。 -
経営改革は,スポンサー役(香川社長),力のリーダー(黒岩莞太),智のリーダー(五十嵐直樹),動のリーダー(川端祐二)の四人が揃わない限り,成功を収めることはできない.
「改革初年度の下期には単月ベースで黒字,二年後に完全に黒字.できなければ,私も退任します.」
症状14:やたらと出席者の多い大会議.出席者を減らすと,「自分は聞いていない」「関係ない」とごねる者が出てくる.リーダーシップの弱い組織の特徴だ.
事業展開のスピードが落ちないようにするには.答えは,「一つ上の組織階層にいる共通の上司が,早め早めに積極的に動くことしかない」・元気な成長企業では,一つ上の階層の上司は,いつも配下のタテヨコの矛盾を「自分で」嗅ぎ回り,問題を「自分で」吸い上げます.組織内の綱引きに「自分から」先手を打ちます.そして,明確な方針を「自分で」示します.下の者が妥協的な案を固めてしまう前の,多少まだ生煮えという段階で,積極的に下に入り込んで,本来とるべき戦略や思想をインプットしてやらなければなりません.この行動こそが,経営におけるリーダーシップの本質ではないでしょうか.
「今,開発中の新商品の顧客メリットを説明してくれるかい」.「私が聞いているのは,性能じゃない.お客様がどのようなメリットを得るのかだよ」.症状31:開発人が「顧客メリットの構造」「顧客の購買ロジック」を完全に把握していない.それでよく開発ができるものだ.
「人選のカギは,気骨と論理性.それさえあれば,あとはメチャメチャど突いて鍛えればいい.すぐに光ってくるさ.」
太平洋戦争中に,日本は英語を敵性語だと言って使用を禁じた.逆に米国は盛んに日本研究を行い,日本軍の暗号解析に努めた.敵を学ぶことが勝利につながると信じられていた.
日本企業で経営者が育たないのは,優秀な人材を機能別効率化の世界に放り込んだまま,晩年になるまで「創って,作って,売る」の全体経営責任を経験させないからである.
ネガティブな要素に耐えながら改革を何年も続けられるほど人間の緊張は続かない.だから改革は一気呵成にやらなければならない. -
おもしろい。一気読み。
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実話をもとにした企業変革小説。三部作の三作目だが、最もリアル感があった。
今回は、経営分析ツールやテクニックの紹介は陰をひそめ、不退転の覚悟で社内変革に挑む人間たちの姿を、内面まで掘り下げて描いているので迫力が違う。
そのリアリティは、表面をなでただけのよくある組織改革論とは一線を画する。特に、改革に対する抵抗勢力やわずかに残っている潜在的な改革リーダーなど、社員の「意識」のひだに焦点をあて、いかに意識を変えるのが難しいかを痛感する。
残念なことに、多くの日本の会社で、ここに描かれているような組織力の低下が起こっているのではないか、と危惧するが、組織のぬるま湯加減に「おかしい」と感じている人すべてに読んでもらいたい本。
・「仮説検証」の手法は、その後の分析やシナリオ作りの作業の時間を大幅に短縮することができることがメリット。「気楽さ」が売り。
・カードセッションで、いくらカードが出てまとめようとしても、メンバーの「コンセプト」がバラバラのままでは、まとまらない。 -
◆人間も組織も「カオスの縁」に立たされたときに、新しい変化への適応が最も早くすすむ。
◆リーダーは、初めからある程度「最悪のシナリオ」を計算しておく。
◆経営行動は、厳しい「現実直視」と問題を「自分で扱える大きさ」に分解するところから始まる。
◆「強烈な反省論」は「改革のシナリオ」の出発点。
◆前向きに進もうとしている人を守るのは、改革リーダー最大の責任。
◆計画を組む者と、それを実行する者は同じでなければならない。
◆改革先導者は覚悟を決め、それを人生の貴重なチャンスととらえ、ひたすら足を前に出す。
◆いったん改革を始めたら、改革者は徹底的に意思を貫徹する。
◆危ない橋の中央で迫ってくる不安には、「打つべき手はすべて打った」と腹をくくって自分を支える。
◆日本の現場改善手法が、日本人の手によってでなく、米国人の手によって強烈な「戦略コンセプト」に変貌を遂げた。
◆1年、2年で変わることのできない組織は、5年、10年やっても変わりっこない。
◆組織はすべて、発展することをやめた途端に腐り始める。 -
他社の目で読み始めていると、
いつのまにか、巻き込まれ、自分もその会社の中にいて
熱くなれる一冊。
起業再生の巻き込み力の重要性を思い知りました。 -
ビジネス書というとお堅くて読みにくいイメージがあるかもしれませんが、
こちらは小説仕立てでとても読みやすいです。(『ザ・ゴール』みたいな感じ)
経営や戦略/戦術の変革を、主に組織・人の視点から描いています。
死に体の不振事業部を2年で再生させるという著者の実体験に基づくストーリーは、
巷の学者が書いたノウハウ本とは異なり、非常に泥臭くリアリティに富んでいます。
今回ご紹介したのは新書版で、中古書店なら数百円で買うことができます。
新品が好きなら文庫版もありますよ。(←文庫版が出るくらいのベストセラー書籍ってことです)