ネットいじめ (PHP新書 537)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569701141

作品紹介・あらすじ

インターネットはいじめの温床、匿名ゆえに陰湿な誹謗中傷の嵐。「子どもたちを守れ!」を合言葉に、ネットやケータイの使用規制が叫ばれる。はたしてこれで、いじめは減るのか?「学校裏サイト」を利用する子どもたちの生の声を分析すると、ネット空間は現実の人間関係の延長にあり、要は使う人間の質と環境が問題だとわかる。そしてそこには、空気を読まなければ叩かれる現代の若者事情が見え隠れする。学校でも、職場でも簡単に見えるようになった"陰口"。この息苦しさの正体が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 閉鎖的室内で、ヒエラルキーを持ったキャラとして振る舞うことを求める空気。複数の価値観やコミュニケーションが網状に広がる社会構造への変化。

    未成熟な子供に、安全な砂場、トレーニングの場所を確保しにくくなっているという現状。

  • ○批評家、ブロガーで社会問題に詳しい、荻上チキ氏の著作。
    ○中高生の間で、ネットを利用したいじめが問題とされているとの報道が多いが、本当にネットが原因なのか。それらの点を悪名高い「裏掲示板」とはなにか、昔と何が違っているのかについて、取材の上考察したもの。
    ○結局、ネットが悪者の様に言われているが、実際の「いじめ」の内容は、むかしから変わっていないのが実際のよう(無視とか物を隠すとか・・・)。単純にネットを規制すれば良いというものではないということが、改めて分かった。
    ○そもそも、大人だって、掲示板でのヒドイ罵詈雑言を書き込む人がたくさんいるんだから、これは子どもの問題だけではなさそう。
    ○ネットリテラシーが何よりも大事だ。

  • 13069

    大人たちから批判の槍玉にあげられる学校裏サイトを擁護し、ネットいじめの問題はスクールカーストなど現実の人間関係を反映しているにすぎず、その解決法を模索する。

  • 2008当時の状況がよくわかる。2013でもあまり進歩してないところがネットと規制をする世代の相性の悪さかなあ。

  • 読了。3章までのネットいじめと4章からのキャラ戦争の話題はリンクしそうでリンクしていない。本人の中では関係してるんだろうけど、後半は自分の得意なネタを持ってきた印象を受ける。

    本文に書かれているとおり、ネットいじめは教室のいじめがネットに反映されており、ネットによりいじめが可視化されているだけである。
    従来のいじめ対策の延長にネットいじめ対策もあるという主張は同感。

    ただ、学校の話題になると、必ずといっていいほど学校の指導力を問われるが、教科のエキスパートである教師が生活指導までしなければならないのかが分からない。
    子どもの教育は誰がどう責任を取るべきなのかを改めて考えた。

  • (「BOOK」データベースより)
    インターネットはいじめの温床、匿名ゆえに陰湿な誹謗中傷の嵐。「子どもたちを守れ!」を合言葉に、ネットやケータイの使用規制が叫ばれる。はたしてこれで、いじめは減るのか?「学校裏サイト」を利用する子どもたちの生の声を分析すると、ネット空間は現実の人間関係の延長にあり、要は使う人間の質と環境が問題だとわかる。そしてそこには、空気を読まなければ叩かれる現代の若者事情が見え隠れする。学校でも、職場でも簡単に見えるようになった“陰口”。この息苦しさの正体が明らかになる。

  •  インターネットが各家庭に普及を始めて、10年以上が経過をしました。それでなくとも、「iモード」がサービスを開始したのが1999年2月ですから、やっぱり既に10年以上、僕たちはウェブとともにあるわけです。広末涼子さんがドコモのCMをしていたころが懐かしい☆

     インターネットというメディアに対し、拒絶反応を示す時期はもう過ぎたのだと思います。しかし、その一方で旧体制を形成する人たちには相変わらず、「新たなメディア」であるインターネットを否定しようとする動きも見られるようで。本書の中でも下田博次さんや尾木直樹さんのそういった考えが批判の対象とされていますが、やはり時代はインターネットとともに、どう生きるかを考えるところに来ているようです。
     この本に書かれていることは、思春期のころからインターネットが身近にあった僕にとっては当たり前としか思えないことも多くあった。しかし、考えてみると、その「当たり前」とテレビを初めとする既存のメディアで語られるインターネット像には、大きからずとも乖離があったように思う。僕も、何の気なしにそれを受け入れていた。自分は中毒とも言えるほど、インターネットにどっぷりなのに、テレビを見ながら「うわー、インターネットって怖いなあ」と思ってしまう。でもそれって、ある意味では「ファンタジー」なインターネットを怖がっていたに過ぎなかったのだと気付かされましたな、この本によって。

     インターネットに関する様々な言説が見られる本書は間違いなく「良書」と呼ばれる類のものであり、その一つ一つの言説を取り上げることはここではしないが、そのどれもがナルホドと思わせるものだった! もちろん、本書にだって異論が向けられることはあるのでしょうが、「賛」も「否」もある状態でインターネットについて議論するのって大切なことだ。


    【目次】
    はじめに
    第1章 つくられた「学校裏サイト」不安
    第2章 学校勝手サイトの真実
    第3章 見えるようになった陰口―「ネットいじめ」はなぜ起きるのか?
    第4章 ネットいじめの時代と終わりなきキャラ戦争
    第5章 ウェブ・コミュニケーションの未来
    おわりに

  • [ 内容 ]
    インターネットはいじめの温床、匿名ゆえに陰湿な誹謗中傷の嵐。
    「子どもたちを守れ!」を合言葉に、ネットやケータイの使用規制が叫ばれる。
    はたしてこれで、いじめは減るのか?
    「学校裏サイト」を利用する子どもたちの生の声を分析すると、ネット空間は現実の人間関係の延長にあり、要は使う人間の質と環境が問題だとわかる。
    そしてそこには、空気を読まなければ叩かれる現代の若者事情が見え隠れする。
    学校でも、職場でも簡単に見えるようになった“陰口”。
    この息苦しさの正体が明らかになる。

    [ 目次 ]
    第1章 つくられた「学校裏サイト」不安(「みんなのもの」になったネットとケータイ 「みんな」のなかに入った子どもたち ほか)
    第2章 学校勝手サイトの真実(「学校裏サイト」ではなく「学校勝手サイト」 牧歌的な書き込みが占める日常風景 ほか)
    第3章 見えるようになった陰口―「ネットいじめ」はなぜ起きるのか?(「ネットいじめ」はネットのせいなのか ネットによって可視化される陰口 ほか)
    第4章 ネットいじめ時代と終わりなきキャラ戦争(学校文化とウェブ社会の遭遇 ケータイは自分を着飾るためのファッション ほか)
    第5章 ウェブ・コミュニケーションの未来(「ウェブ社会」のほんとうの意味 物理的なゾーニングとは何か ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • たぶん実勢の一側面をよく解析し上手に説明しているんだと、思います。たぶん。
    よく知らないから「たぶん」としか言えないですが。

    上手に状況説明しているだけに、読後感が「で?どうしろと?」になってしまうのは、欲張りというものでしょうね。
    ツカミよければOK、の250ページの新書ですものねえ。
    子供らの勝手サイトを知りたい向きには、導入本として。

  • 読了メモ。荻上チキ『ネットいじめ ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』。非難の対象となった学校勝手サイトを切り口にし、十代が生きる社会と、技術と使用を混在し理解出来ず非難する大人を描く。道具や場には規範やマナーがある。対象の否定ではなく、理解と成熟によって関係を生み出す。

  • ツールと世代に関係なく、いじめの芽は昔から偏在している。
    必死で「キャラ」を着せ替えながら世渡りをしていくしんどさはピンとこないが、
    「自分」を持ってる方が珍しいのかしらね。
    以前読んだ『キャラ化するニッポン』という能天気な本よりも
    ずっと深刻な処世術。
    http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-1427.html

  • ネットでのいじめの実態を各種データを用いて検討したもの。
    最終的にはメディアリテラシーの話が結論として用いられる。

    感情的な議論になりがちで実態を見失いがちな世論に待ったをかける意味で良い本と感じた。
    しかしながら,メディアリテラシーの題材として取り上げられた感が若干否めず。
    どうせここまでやるのであれば,全編通してネットのいじめを問題として欲しかった,というのが個人的な感想。

  • 「学校裏サイト」に関する報道には,やや疑問を感じていた。さらに,携帯禁止の議論にも,本質を見失う危険を感じていた。本書は,それらに対して,順序立てた説明を加えてくれる。
    著者自身がネットを活用する人であり,ネット擁護にかたよっているのではないかという見方もある。しかし,冷静に世の中の議論を聞けば,その疑いも消えるだろう。
    ネットによるいじめは,ネットを規制すれば減るだろう。でも,それでいじめがなくなるのか。携帯サイトは出会い系という発想はあまりに幼稚だ。知らないものはこわいものという,無知をさらけ出した議論はもういらない。新しいメディアが生まれるたびに繰り返されてきた危険論。その歴史を振り返ってみることも大切だろう。
    また,いまのマスコミは,新しいメディアである「ネット」の台頭を脅威に感じているはず。そのようなマスコミの言説にこそ,偏見があると疑うことも必要だろう。
    ただ,いまのネットの問題を無視しているわけではない。問題点を冷静に見つめて,きちんとした解決をはかることこそ,いま求められていることなのだろう。特に,いじめの問題をネットの問題にすり替えた議論は,本質的な問題の解決を遠ざけてしまう危険がある。

  • 最近の学生間でのイジメがどんなもんかと思って読んで見たんですが。
    主に「学校裏サイト」でのイジメの実態・発生件数等について語っているが、数字的な意味ではそれほど精密ではない。
    筆者の観察した範囲の感覚で件数等は語られている。
    (とはいえ数百件は観察されているけど)
    世間の論調は「子供にネットをさせるな」「インターネットから子供を守れ」というものだが、筆者は違う。
    ネット上での交流がかならずしも「陰口」や「いじめ」に繋がるとは限らないというもの。
    情報を共有したり何気ない雑談で交流をさらに深める可能性のあるものを断つのはいかがなものか。という論旨。

    ネット上で悪口を書かれる人の種類は下記のとおり。
    ?良くも悪くも目立つ人32%
    ?嫌われている人・陰キャラ27%
    ?だれでも14%
    ?おとなしい人4%
    ?ふつうの子2%
    ?不良・ヤンキー系2%
    ?先生2%
    ?ギャル系1%
    ?自分1%
    ?その他15%
    学校裏サイトでの調査であるため、加害者側は「同級生・先輩」が98.4%と圧倒的。
    結果から見ると学校でのヒエラルキーとほぼリンクしている様子。
    不良やヤンキー、手を出したら現実世界で制裁されそうなところには陰口はあまり叩かない。
    先生の悪口とかもっと言いそうな気がするんだけどずいぶん低いんだな。

    イジメやネットについての考察はよくあるものだったけど、「キャラクター作りの重要性」というのはなるほどなぁと思った。
    「イジメ」ではなく「イジラレル」。
    ”●●は面白キャラ”とか言われつつもそれは、馬鹿にすると面白いとか。蹴ったり水かけたりしてからかうと面白いとか。
    イジメではないのだけれど(それが楽しい。芸人でもないのにオイシイと思い込んでいる)、イジラレル側は結構キツイ。
    「コイツはからかうと面白いヘタレキャラだ」とかクラスの中で一度決まってしまうと、空気を読んでソレを演じて乗り切るしかない。
    拒絶すれば”つまらないヤツ”になるし、キャラ作りに失敗すれば失望させるんじゃないかというプレッシャーも出る。
    「イジメの原因は本人にある」なんていう人もいるけど。
    個人的には”周りの雰囲気でイジメに繋がるかどうかが決定される”と思う。
    どんなに寒いキャラでも、それを面白がってそういうキャラだと思って接するか、くだらない人間だと見下して苛めるか。
    本人のキャラは同じでも、それを見る周囲の人間の反応によって状況が異なると思う。

    ネットでのイジメをなくすことは正直難しい。
    こういっては何だけど、正直無理だと思う。
    子供だけではなく、昨今の事件では「国立大職員の男(45)」「千葉県松戸市の男(35)」でさえネット上の情報を信じていたとはいえリンチ的言動を行ったりしているわけで。
    人格形成の未熟な子供だけがネット上で暴走するわけではないのだし。
    むしろ、この本で紹介されている10代の学生の方がネットの扱い方について達観しているとも思える。
    そもそも、ネットが存在するからイジメが発生するのではなく、イジメのなかの一つのツールとしてネットが存在するだけで、ネットを排除すればイジメもなくなるわけではない。
    実際のイジメ等をなくすことが不可能であるように、ネット上でのソレをなくすことも難しいだろう。
    風邪をひかないようにするために風邪菌を絶滅させよう!というのではなく、風邪をひかないようにしっかり予防しよう!そういう環境を作ろう!というのが有効な考え方だ、とのこと。
    ネットの盛んな現在に学生じゃなくってよかったな。ってちょっと思います。

    学校裏サイトって、テレビで言うほど酷い場所じゃないのかなぁ?と思いつつ。
    この本だと、ネットでのコミュニケーションが有意義であることを強調しているのでニュートラルな視点とは思えないなぁ。
    なんとなく、苛められる方の視点ではない。
    クラスの中でのチームリーダーだったり、盛り上げ役であったり。
    比較的、勝ち組の「ネットって楽しいよ!ネットって悪いことばかりじゃないよ!」っていう意見のような気がする。
    そもそも自分の管理するコミュニティ内でイジメをやっているなんてインタビュー受けて正直に言うかな?
    匿名だったとしてもそうぺらぺら「イジメ?やってますwww」なんて言わないような気がするんだけど。
    穿ち過ぎか。

  • 2008/12
    ネットによるいじめが社会問題の一つとされている。確かに舞台はネット上だが、これはネットだけの問題なんだろうか。インターネット社会の特性とそこから個人感になにか変容があるのか、ネットいじめのメカニズムから現代社会が抱えていることから、この問題の原因を探っている。

  • i-mmにする。

    メディア報道が大人がこうであってほしいという原因論でネットを悪者にしているという論法の裏をはるので、
    逆にメディアと同じように視点の偏りを感じさせるけれど、
    そこは本を読む人が両方の論理を見て自分で決めること。
    あたまから一つの本で解決した気になろうという読み方をしては情報はいけません。

    いくつか言葉の書き方や、
    ネット化=顕在化・アーカイブ化・つながり過ぎ化など、上手い言い方だなと思うところあり。

    こうして記録を残していていいのだろうか?
    日々ブログに書いていることの本質を大人の方がむしろ分かっていない。
    ネットリテラシーはどうしたら高められるのか?疑問が残る。




  • 学校裏サイトの実態を示すのだが中盤まで裏サイトを肯定しすぎてる感じが否めなかったので多少疑問を感じた。例えば「死ね」と書き込みがあっても「ネタ」である可能性があるから裏サイトを否定してはいけない、と言ったものである。個人的には「死ね」は「ネタ」ではないと思っている。mixiの日記で他人を「死ね」とか書かないわけだし…。まぁ、終盤にかけては実態が明らかになっていた感じがして安心できた。メディアリテラシーでも「親世代」より習熟した子どもがたくさんいる事実(一種のデジタルデバイドですね)、裏サイト自体は実生活のネットワークとは乖離できないetcは認めたいと思う。個人的にはそれを踏まえた上でも匿名でコメントができるという「システム」はいじめを誘発する考えている。個人的には4章がもう一度読み直したいぐらい良かった。ミクロ社会学の浅野先生も取り上げられていたし。気になる内容は「キャラ」について。mixiの日記は以前はパソコンのみだったので不特定多数に見られるのをユーザーは覚悟していたのについにmixiもケータイユーザーが増えて「不特定多数」からいつか会うべき「未特定少数」へ向けてプリクラをのせたり未成年なのに喫煙、飲酒を日記に平気で書いたりと意識のの変革が起こっているとか、アニメのプリキュアで主人公がケータイを使って変身するから子どもがケータイを持つようになった、少女雑誌でケータイが取り上げられたからetcが内容である。mixiは考察することいっぱいありそうだと思った。

    ☆この著で気になった単語
    「第三者効果」→メディアなどの影響は自分よりも他者のほうが大きいと認知する事で行動を変化させること」
    例)現在のネットを使っている高校生でも未来の小中学生には悪影響が出るから使って欲しくないetc

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著者プロフィール

1981年生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。ラジオ番組『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)メインパーソナリティー。同番組にて2015年度、2016年度ギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティー賞およびラジオ部門大賞)。

「2019年 『ネットと差別扇動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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