- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569769899
作品紹介・あらすじ
いま大人気の女性時代作家がそろい踏み! 江戸の料理や菓子をテーマに、人情に溢れ、味わい深い名作短編を収録したアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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友人から、いただきました、女性作家時代小説アンソロジー、料理編。数種類のアンソロジーが出版されているようです。時代小説書かれる方女性作家さん、充実してきましたね。
お江戸の、和菓子、鮎料理、煮豆、稲荷寿司と庶民派料理が、並びます。
「餡子は甘いか」畠中恵
しゃばけシリーズから、長崎屋若旦那の幼馴染の菓子職人が主人公。若旦那もちょっと出てきます。
「鮎売り」坂井希久子
居酒屋ぜんやシリーズから、美人で気風が良い女将の活躍です。鮎が美味しそう。
「料理茶屋の女」青木裕子
なんとこれは経費で落ちませんの青木さんです。
これが、煮豆売りの男が殺されて、その隠された真実を、江戸人情ぽく上手くまとめた短編。
「桜餅は芝居小屋で」中島久枝
フードライターさんで、食べ物題材に時代小説書かれているそうです。初読み作家さんでした。
「清正の人参」梶よう子
小石川御薬園同心水上草介シリーズから、セロリを題材にした短編。
「お勢殺し」宮部みゆき
なんでも書きます宮部さん。時代物でミステリーになってて、お稲荷さんが美味しそうという「初ものがたり」の一編とのこと。
女性作家さん達が、頑張っていて嬉しくなる一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
六人の女性時代小説作家による、アンソロジーシリーズ。
同じ料理もコースの中に置かれると違う味に感じるように、既読の作品もあらためて楽しめた。
六篇の最後に置かれたのは、宮部みゆきさんの『〈完本〉初ものがたり』の最初の物語。うむむ、何度も読んでいるのに、やっぱり何とも、上手いなぁ。
稲荷寿司も、赤出汁も、ダントツに美味しそう。
未読の作家さんでは、「鮎売り」坂井希久子さんの、居酒屋「ぜんや」が良かった。シリーズも読んでみたい。
『あやかし』『なぞとき』『なさけ』と三冊刊行後、第二弾としてまた三冊刊行のうちの初刊とのこと、これはどれも読まなくちゃ。 -
市井の暮らしや食べ物が出てくる時代小説好きな私
お料理やお菓子の丁寧な描写
取り巻く人たちの細やかな心情
アンソロジーならではの手軽さ
満足のいく1冊 -
坂井先生、畠中先生、宮部先生はすでに読んでいる作品の再読でしたが、ほかの皆さんの話も面白かったですねぇ。
ミステリー風味の『料理茶屋の女』
『和菓子のあん』や『お勝手のあん』を思させる『桜餅は芝居小屋で』が特に面白かったです。
おいしいは正義。おいしい小説に外れなしですね。
ごちそうさまでした。 -
2020年1月PHP文芸文庫刊。文庫オリジナル。女性作家時代小説傑作選シリーズ4作目。料理が登場するアンソロジー。畠中恵:餡子は甘いか、坂井希久子:鮎売り、青木祐子:料理茶屋の女、中島久枝:桜餅は芝居小屋で、梶よう子:清正の人参、宮部みゆき:お勢殺し、の6篇。まんぷくというキーワードはあまり関係がないように思う。梶さんと、宮部さんは既読。他の方は、初読み作家でしたが、好みではありませんでした。残念。
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時代小説が好き。特に市井の人々がメインに出てくるものが。アンソロジーは意外な作家さんとの出会いもあって嬉しい。「傑作選」なので人気シリーズからのチョイスだけど知らない人気シリーズもある訳で。中島久枝の「桜餅は芝居小屋で」が良かった。「日本橋牡丹堂菓子ばなし」シリーズらしいけど知らなかった。16歳の小萩、和菓子屋に奉公している、不器用だけど和菓子が作れるようになりたいと自分で思って、つてを辿って。おかみさん、ご主人、職人さん、みんないろいろな過去や思いがあって集まった人々。その人々が自分で未来を描いて前を向いて歩くよう背中を押す言葉をかけてくれる。この時代に女の子には難しいことだろう、でも、生きていく上で重要で必要な事だよと。作者がドラマでも人気の「これは経費でおちません」の人だったとは!意外。
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このシリーズはどれも読みたくなるので逆に迷う。畠中さんのはしゃばけシリーズ。坂井希久子、青木祐子、中島久枝は初読だったけれど良かった。特に青木氏の『料理茶屋の女』は探偵ものみたいな雰囲気が好み。梶よう子『清正のにんじん』は現在の朝ドラの植物学者をついつい思い出させる時代背景と環境設定で読みやすく、読後はタイトルの意味が切なくも微笑ましく感じた。
ラストは宮部みゆき『お勢ごろし』やだ、茂七親分じゃん!久しぶり!ってなった。
なんかやっぱりもう圧巻。
主題じゃないけれど描写として、江戸の夜の暗闇の中、橋のたもとで明かりをぽつり灯している屋台。その設定。
う~ん浸った。 -
時代小説傑作集、お題は料理です。
畠中恵・坂井希久子・青木祐子・中島久枝・梶よう子そして宮部みゆきと女性陣によるアンソロジーです。
知っている作家さんも、初めての作家さんも料理にまつわるお話、おいしい中にも人情も織り交ぜて、まことに結構でした。
坂井希久子は初めての作家さんでしたが、若干23歳の若手で料理小説で、高田郁賞(これを見ただけでもどんな作風か大体わかります)を受賞しているなど活躍めざましい作家さんです。
こんな若い人が、江戸の市井のありようを鮮やかに描き、料理の描写も見事なもので、なんだかお宝を掘り当てたみたいで大変うれしいです。今後も大いに期待したいところです。
こういう短編集は、普段手に取らない作家さんに触れるいい機会ですね。
満腹でございます、ごちそうさまでした。 -
食べ物にまつわるミステリ。
解説を読むと、シリーズ1作目というのがいくつかあって、「桜餅は芝居小屋で」は続きも読んでみたくなった。
「鮎売り」もよかった。
畠中さん、しゃばけから栄吉が主役の一編。
菓子作りが好きなのに餡子が作れないって、どれほどの悩みかと思うと、あの一生懸命さをひたすら応援したくなる。
最後の宮部さんはさすがの一言。
江戸時代を舞台にアリバイ崩し。
短編だけど、しっかり読ませてくれる。 -
姫も殿もでないけど、6 つのどの作品にも、「そうだよね、うん、わかる、わかる」と共感出来たり、人の優しさに触れられます。そして、食べ物を食べたり作ったりが、文章で映像が伝わってくるのは、さすがです、最後のページを読み終えて、心がまんぷくになってました