粘菌 その驚くべき知性 (PHPサイエンス・ワールド新書 19)
- PHP研究所 (2010年4月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569777863
感想・レビュー・書評
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2010年のイグ・ノーベル賞を受賞した研究者本人による、最新の粘菌研究に関する新書。粘菌研究と言っても、生態学的な領域に止まるものではなく、粘菌の細胞のダイナミクスをシミュレーションモデルに落とし込み、簡単な原理から複雑な情報処理能力が導かれることを明らかにしている点が、非常に興味深い。そして何より、著者の粘菌愛がすさまじい。
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所在:展示架
資料ID:11000185
請求記号:478.3||N32||019 -
ナウシカには「この菌には意思があるのか!」という台詞がある(らしい)が、「粘菌の知性」をテーマに生物学と情報科学の両輪からのアプローチで研究を進める中垣俊之氏の著書。粘菌に迷路を解かせるという生態を観察する一方で、計算機上にシミュレーションモデルを作り、その原理を検証しているところがすごい。
同氏はイグノーベル賞を2度も受賞していることでも有名だ。粘菌が迷路を解く(2008)、粘菌がJRの路線ネットワークを解く(2010)。本書では両方の研究についても解説されている。
IPネットワークのルーティングも粘菌に解いてもらいましょうw -
二度のイグ・ノーベル賞受賞で、粘菌の迷路問題やカーナビへの応用という話は、テレビニュースでさえ何度も取り上げられていたが・・・
本書では、当然のことながら、それぞれの実験について、丁寧に説明されていた。
ある程度素地のある人でないと、すっと理解できる話ではないと思う。
ど文系の私には、自律分散方式の組織の柔軟な問題解決力に希望が見出せるくらい・・・だろうか。 -
粘菌の知性を紹介する過程で、組合せ最適化、ネットワーク、動的最適化、認識論、複雑系の適応現象、創発現象、自己組織化など色々な示唆がされていて非常に興味深く読める。
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2008年にイグノーベル賞を受賞した著者による粘菌の読み物。
語り口がとびきり面白いということはないが新書として十分読むに価すると思う。
装丁も良い。 -
「intelligence知性」とは何かという問いへのひとつの答えにいたる思考。
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「粘菌 その驚くべき知性」
粘菌とは脳はおろか、細胞同士をつなぐ神経系も無い、単細胞でアメーバ状生物である。しかし、その粘菌が迷路で最短ルートを示し、時間の記憶を持ち、ハムレット的逡巡を見せた後、ある判断をする。これは立派に知性を持つと言えるのではないだろうか!
粘菌とは面白い生き物です。この本ではその粘菌の凄さ、不思議さ、そして可能性を議論しています。
例えば、粘菌は何でも栄養とすると思いますが、実はアーモンドや醤油を餌とするとそれらにはよってきません。恐らく油や塩分を避けていると思われます。また、粘菌の餌を獲りにいく経路は駅の路線と酷似することは有名ですし、実は匂いも結構良い匂い(柑橘系?)だったりします。
そして、私が一番面白いと思った所は著者も言っていますが、この単細胞でアメーバ状の生物がイグノーベル賞(認知科学賞)で認知生物対象と認められたことです。
粘菌には当然脳も無いし、神経系も無いので、例えば栄養摂取には何も考えも無くただ栄養の所へ延びていっていると思われ続けていました。しかしその考えていない行動が餌を認知した上での行動と認められるなんて・・・。まぁ面白い! -
一番面白いのは粘菌でも研究内容でもない。いい大人なのにこういう研究を思いつき、大真面目で分析しちゃう、大人こどもの科学者たちだ。世の中捨てたもんじゃないぞ。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、3階 請求記号473.3/N32