粘菌 その驚くべき知性 (PHPサイエンス・ワールド新書 19)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569777863

作品紹介・あらすじ

「知性とは発達した大脳皮質をもつ生きものだけが持てるものである」。この常識に日本人研究者が「待った!」をかけた。脳はおろか、細胞同士をつなぐ神経系もない、単細胞でアメーバ状生物の粘菌が迷路で最短ルートを示し、時間の記憶を持ち、ハムレット的逡巡を見せた後、ある判断をする。立派に知性を持つといえるのではないか!この驚きの結果は、いま世界中で注目の的。知性とはなにか、意識とはなにか、身体とはなんなのか、大きな波紋を投げかけている。

感想・レビュー・書評

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  • すてき!!
    こういう科学の本質的な楽しさとか美しさを大切にしとる研究者っていいなぁ(^u^)

    入戸野先生:粘菌が心理学に登場→というよりは、今まで心理学の中にあったものが、本当は物体の物理的な本質だったという風に、とらえなおされている。ということらしい。学際領域・・・

  • 以前「粘菌が迷路を解く」等と言ってちょっと話題になった粘菌の話しです。
    単細胞生物に判断能力、記憶力はあるのか?さらに「逡巡」することがあるのか?
    そのような動作は「知性」と呼べるのか? 等々、とても興味深いです。
    粘菌の動きを数値モデル化して考えるくだりなんかはけっこう感動的です。面白いです。
    本の内容はかなり独特で、しかも高度なものですが、文章は平易で、非常にわかりやすい。
    とても楽しく読めました。(^_^)/

  • 理図書 460.4||F82 11899019

  • 粘菌にどうやって迷路を解かせたのか分かった。
    粘菌恐るべし!

    知性とは何か?意識は?

    考えさせられました。

  • 誰もがその名前を知りながら、生態については殆ど知識を持ち合わせない「粘菌」を題材に取り、「知性」を機能として捉え直しながらその意味論にまで踏み込んで行く。新書というメディアはこの遠大なテーマを扱うには尺が短過ぎるとみえ、終章はかなりの猛ダッシュを余儀なくされる。粘菌に関する一通りの知識を得たいだけなら一読の価値は有るかも知れないが、著者の提示する問題を真に追いたいなら別の科学哲学の啓蒙書を読む必要ありと思う。

  • 記憶は共振で説明できる!?
    免疫と次元が違う?

  • 粘菌といえば南方熊楠、ばかりではない。北大などを中心に粘菌の研究は続けられている。本書ではこの10年くらいで分かってきた新しい話題が紹介されている。実際にビデオなどで観る方がわかりやすいのだろうけれど、実験の雰囲気が伝わってくる。粘菌がえさ場までどうやって最短距離で向かっていくのか。迷路などを使って実験している。また、JRの主要都市を結ぶ路線と、粘菌の動きの対比も興味深い。さらに、粘菌にリズムを記憶する能力があるという。一定の時間間隔である刺激を与える。刺激があると粘菌は歩みを止める。そこで、刺激があるべき時間になっても刺激を与えないでおく。すると、粘菌は何の刺激もないのに、その時間になると歩みを止めた。おもしろい。数学的にいろいろなモデルが提案されているようだけれど、そこについていくのはちょっときつかった。数学的な記述をうまくかわしていけば、おもしろい話題が満載であった。ところで、この粘菌、単細胞のはずだけれど、かなりの大きさになっている(変形体という)。しかも、核が分裂して、1つの細胞内にいくつもの核ができている。ちょっとそのあたりがイメージしづらい。ちなみに、著者はイグ・ノーベル賞を受賞。「爆笑問題のニッポンの教養」にも出演されました。それから、本書の中で蔵本由紀著「非線形科学」は名著だからぜひ読むようにとすすめられていましたが、私は最後まで読み通すことができませんでした。

  • ゾウリムシに知性はあるのか?カテゴリーの新書。知性として認識されるもののメカニズムは意外と単純なものの中にあるということを、粘菌を通して探っていく。最短経路の算出を行う実験、このネットワーキングがどのようなアルゴリズムによって行われるのか?分散処理の総体としての知性の表れ。後半は、学習、逡巡といったさらにチャレンジングな課題に挑んでいく。たぶん現在進行形の研究も多いため、特に後半部分は考え方のアイディアレベルの紹介が多いがとても楽しめる。刺激による周波数の選択と位相の揃い加減。まあ世の中が波しかないとしたらそこだよね。

  • 粘菌の魅力に取り憑かれる。恐ろしいくらいに自分はちっぽけだと自覚する日々。

  • 粘菌が迷路を解く仕組みと脳の仕組みの、抽象的なメカニズムレベルでの類似。使用による強化と、使用されない経路の消失。

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著者プロフィール

中垣俊之 中垣俊之(なかがきとしゆき)北海道大学電子科学研究所 教授。1963年愛知県生まれ。北海道大学薬学部卒、名古屋大学人間情報学研究科博士課程修了(学術博士)。2008年、2010年、イグノーベル賞、2010年爆笑問題の日本の教養「爆ノーベル賞」、2010年函館市長賞。

「2015年 『かしこい単細胞 粘菌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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