半暮刻

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 116
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246810

感想・レビュー・書評

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  • 月村了衛さん、二冊目。
    やっぱり好きだ〜。
    なので評価も甘め。

    面白くて、グロさが無いところがお気に入り。

  • これが完全なフィクションなら面白かったと素直に思えるのだが「欺す衆生」の様に実際にあった事件をモチーフにしているだけあって、読んでいてかなり胸糞悪さを感じる場面もあった。
    東京オリンピック、電通過労死事件も実際これに近いことがあったんだろうな。
    こういう事件があった事を忘れてはいけないと言われている気がします。

    でもさすが月村了衛さん、話に引き込まれ一気読みしました。

  • 初めての作家さん。

    久々に社会派小説を読んだ。
    大満足!

    施設育ちの翔太と有名私立大学生で裕福な海斗、
    真逆な環境でありながら、出会った二人。
    犯罪に手を染めても、海斗は守られ、翔太は刑務所に。

    「罪」を償い、徐々に生活を変えようとしても、
    ヤクザは元ヤクザにしかなれない、
    なかったことにはなれない。
    それでも、懸命に立ち直ろうとする姿が感動する。

    けれど、海斗の意識や行動の、現実での問題の多い政治家や企業トップそのもの。
    読んでいて、気分が悪くなった。

    「悪」を自覚して行う事より、
    「悪」を認識しない事を、「邪悪」とあるが、
    まさにその通りだと思う。
    その「邪悪」に、群がるヤクザや半グレ・・・
    ドロドロな暗黒の世界、恐ろしい。

  • 月村了衛の筆によって紡がれるこの小説、読者を異世界へと誘います。独自の文学スタイルと魅力的なキャラクターたちが、物語の中で織り成す不思議な冒険に、心を奪われることでしょう。

    『半暮刻』は、幻想的な要素が満載の物語で、タグとしてはファンタジー、月村了衛、文学、ミステリー、サスペンス、現代文学などが該当します。

    読者からの多くのレビューでも、月村了衛の小説がその独特の魅力と深い感銘を与えており、この作品も例外ではありません。未読の方、再度楽しみたい方、この小説を手にして、心躍る冒険に出発しましょう。『半暮刻』は、文学の新たな扉を開ける一歩かもしれません。

  • 堅気とヤクザの中間であるグレーな存在「半グレ」は、堅気の世界で悪行をしても法律で取り締まることができない分、邪悪な存在であると語る本書。

    裏と表の世界で暗躍する半グレの存在を、ホスト、電通、東京オリンピックなど、時事ネタを絡めながら、浮き彫りにしていく。

    ノンフィクションと見紛うほど迫力があった。ボリュームはあるが、大変読みやすく、ガッツリハマって予想外に一気読みしてしまった。

  • 月村了衛の半暮刻を読みました。
    主人公孤児院出身の翔太と恵まれた家庭で育ち有名大学生の海斗はカタラグループに属していて、若い女の子をナンパして金を使わせて風俗に落とします。
    二人で組んでベストテンに入るまでになります。
    海斗が就職活動があることもあり、手を引いて直ぐ摘発が入りました。
    その後の二人に大きな違いが。
    面白かったです。
    映画かドラマになりそうですね(^-^)

  • 女性を騙して風俗へ送り込む半グレの仕事をしていた若い二人。手を組んだ二人はそのグループでトップに上り詰めるが、警察の摘発により、それぞれ別の未来に進んでゆく。
    学びや気づきを強調する自己啓発本、政治家の説明、巨大企業の利権と経済至上主義、現代社会のうさん臭さを大げさなくらい表現している。
    「なにもかもがバカバカしく、何もかもがくだらない」この独白は、もやもや思っていたことを言語化してくれたようで強く印象に残った。
    その中で、後半の翔太の無邪気さみたいなものががいいアクセントとなっていた。

  • 格差というのは、学歴や経済や社会的地位だけではなく、心にもあるのだ。

    ヤクザ、半グレ、エリートサラリーマン。黒と灰と白。三つ重なる場所にあるのは極め付きの悪。
    そんな巨大な悪と、戦えるのか、いや、むりだろう、という諦めを抱きつつ読んでいく。
    施設育ち、定時制高校中退、前科持ち、の元ヤクザ。ギリギリのところで生きる翔太の再生の物語。
    罪と向き合えるかどうか、罪を罪として引き受けることができるかどうかが、人としての命の意味を決めるのだろう。それができるかどうか、それが心の格差なのだろう。

  • 小説という形のノンフィクションと言えそう。

    あまり(絶対)関わりたくない世界だけど現実に起きていること。

    特に後半は、実際報道等で知っていることと重なり、どんどん読めました。

    SNSはもちろん、報道も操作できる権力に、改めて脅威と怒りも感じました。

    最後の翔太に対する海斗の態度にイラッとしてしまったので星を減らしましたが、読んでよかった本でした。

  • 初めましての月村了衛さん。
    全く共感できないものの、クズっぷりが見事に描かれていて凄い世界でした。
    灰色から黒へ、そこから真っ白とは行かないけれど真っ当に生き直してくれた人がいてよかった。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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