半暮刻

著者 :
  • 双葉社
4.04
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本棚登録 : 1340
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246810

感想・レビュー・書評

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  • 月村さんの本はやっぱり面白い。
    1行目から一瞬でその世界へ引き込まれる。
    イッキ読み。

    社会の闇をこれでもかと浴びせられて心は疲弊し憤る。
    でも知れて良かったと、知っていなければとも思う自分と知らなければ良かったと思う自分もいる。

    「なんだアドルーマンて。くだらない」と憤ってしまうほど深く入り込んでしまえる。

  • 続きが気になり二日間で読み終わった。カタラはホストに似たようなもので、実際にこの物語のように”F”に落ちる女性は何人もいるのだろう。また、大手広告代理店のアドルーラーでの事件は約五年前の大手広告代理店の過労自殺を思い出した。社会派小説ということもあり日本の闇を見ているようだった。翔太と海斗、違う境遇であった2人はカタラで同じ行為を行ったが最終的には全く違う結末が待っていた。読後感が良い作品でもなく胸糞が悪いと思う場面もあるが、自分の知らない世界がこの本には待ってるはずだ。

  • 半グレが経営する会員制バー「カタラ」で働く児童養護施設。女性達を騙して借金まみれにし風俗に落としていく。摘発後、悔い改め懸命に生きていく翔太と過去を隠し大手広告代理店で手段を選ばす成果を出そうとする海斗の姿が対照的だ。

  • 一気読み。タイトルと主人公2人のつながりが腑に落ちました。

  • 灰こそが邪悪。この国のリアル。

  •  週刊大衆連載の悪漢小説。ヤクザ、半グレの抗争劇かと思ったけど、焦点がちょっと違って、主人公は向上心が強い大学生。ホストクラブの人気トップになり、女の子を借金漬けにして、風俗送りにし、のちに店が摘発されるもうまくすり抜け、業界トップの広告会社(電通がモデル)に就職する。そこでも出世のために、上にはゴマすり、下にはパワハラ、頭が切れるので半グレも利用して、若手の筆頭株に。しかし世の中そんなに甘くない。やがて転落。ヤクザにヤクザよりたちが悪いと呆れられる。結果的に法の裁きは受けないんだけど、こういう悪人、確かに増えてるわ、といたく納得するストーリー。

  • どこかで見たような、どこかで聞いたような、今もこれからも、同じようなことがどこかで起こっているのだろうなと思わせる物語。二人の主人公は対照的。育ちや学歴と人間性は相容れない。真の邪悪を体現するような人物は、育ちもよく学歴も高い。どこまでも自分の学びは独善的で自己愛を追求するのみ。しかし人間の本質とはまさにこれかもしれない。コンラッドの闇の奥、ルシア・ベルリンの掃除婦のための手引き書、読んでみよう。

  • まず、頭に浮かんだのは、電通、東京オリンピックだった。裏の世界はおおよそこんなもんじゃなかったのかなと思われる。作品としては、最後の部分がいまひとつ。もう一暴れして欲しかったなぁ。

  • なんだか後味の悪いラストだった。
    改心する日が来るのかね〜

    平成ならともかく令和の今、大企業であんなのはないと思いたい。

    主人公の2人とも嫌だ嫌だ。
    あっちもこっちも嫌だ。
    過去は変えられない。
    性格も本質は変わらない。
    きっと今は良くてもなんかあるはず。

    SNSって印象操作できるんだ。
    勉強になりました。

  • 現実社会でも問題視され、看過できない罪(ネグレクト、癒着、談合、過労死、パワハラ、男尊女卑、隠蔽、半グレ…)を織り交ぜ、フィクション化。翔太と海斗の眼を通し、狡猾な人間達が蔓延る腐った裏社会の絡繰に憤る。有紀と本に出逢えた翔太が、やっと《答え》に到達できたこと。それこそが『半暮刻』の唯一の救いに思えた。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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