- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575516593
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「サバイバーズギルド」になってしまった千春。
辛いのはいつの時代もいる、関係ない人達からの批判の無責任な書込み。
本人の辛さはもちろん、千春の母の、どう対処していくかわからなくなっている感じや、担任だった先生が、千春のためには何かしてあげたいと思いながらも本音の感情も出てきてきまったり、その揺れ動く感じが書かれている。
自分が、本人だつたら、母だったら、遺族の家族たったら…。
マスコミはこういう時、煩わしいものでしかないと思っていたが、新聞記者、小泉の書き方で、いかようにもなるんだなぁと思った。 -
自分だけが生き残ってしまった生還者の罪悪感を「サバイバーズ・ギルド」と言うのですね。事故の唯一の生存者である千春は助かった命に前向きに向き合う事が出来ず、笑うことも生きることにも罪悪感を感じ心を閉ざしてしまう。千春を取り巻く人達の心の機微が丁寧に書かれており、最後は前向きに進もうとする明るい未来が見えて、生きる事への前進に喜びを感じる。じっくり沁みる1冊でした。
-
演劇部の合宿に向かったある日、千春の乗っていたワゴン車が東京の高校バレー部員を乗せたバスと衝突した。
車が崖を落ちるほどの大事故で、助かったのは千春1人だった。
そこから、千春の孤独な日々が始まる。
「どうして私だけ助かったの…」
家族、担任教師、亡くなった同級生の親たち、新聞記者、町のケーキ屋の店主…千春を取り巻く人達からの視点で語られる、それからの日々。
人の気持ちに寄り添うことの難しさを改めて感じる作品。
2019.11.27 -
ふつうによかった
-
その日その瞬間、果てしない悲しみは私の頭上から青空を取り除いていった。最も大事なものは、その重さとは無関係にあまりにも呆気なく、だから許せなくて虚しくてマーブル状の想いは空を切るだけだった。良かったね...元気になったんだね…その一言がどれほど苦しいか、言葉は使い方を間違えると痛みを与え雨を降らせてしまう。噛み砕いても噛み砕いても甘味も苦味もあの土の味でさえもう感じない。解決など無い、だから悲しいのだ。それでも人は同じ場所にずっと留まり続けるわけじゃない。一つ許すことを決めたら甘い物が欲しくなったり、ケーキを見たら笑顔がこぼれたり、そうやって小さな一歩一歩で進んでいくのだろうと思う。
-
内容(「BOOK」データベースより)
どうして私だけ生き残ってしまったの。たったひとり、少女はバス事故で助かった。深い心の痛みを抱えて過ごす日々の先に―。とりまく人々の心模様を絡めて描いた、優しい強さが沁みわたる「再出発」の物語。
事故で生き残った人はどうやってその後の生活に戻って行けるのだろうと考えさせられる本です。日航機墜落で生き残った方達も、励ましの言葉も呪いの言葉に思えたでしょう。今のようにネットでなんでも発信できる今、一般の人の心ない一言のダメージは計り知れない物があります。
この本はそんな人間の二面性、強さと優しさ、それを上回るどす黒さがなんともやりきれない。しかもみんな悪気無いんですね、へたすると裏サイトに書きこんでいる生徒ですら正義気取りなのですから。でもこれ日常的に現実あることなんでしょうね・・・。 -
起こってしまった事件の、関係者のお話。
記者さんとケーキ屋さんの話がぐっと来た。
ケーキ屋さん継ぎたい。-
穂高明さんは良い本を書かれていますが、読まれる方は少ないようです。『カナリア』『月のうた』も良いです。穂高明さんは良い本を書かれていますが、読まれる方は少ないようです。『カナリア』『月のうた』も良いです。2016/09/22
-
ことぶきジローさん
コメントありがとうございます。
こちらの本は図書館で偶然出会って読みました。
「カナリア」と「月のうた」も読ん...ことぶきジローさん
コメントありがとうございます。
こちらの本は図書館で偶然出会って読みました。
「カナリア」と「月のうた」も読んでみます。
お勧めくださりありがとうございます。2016/09/23
-
-
気持ちが沈む作品でした!
高校の演劇部に所属し、元気に過ごしていた千春さんは、バスの事故で顧問の先生と部活の仲間を全員亡くし一人生き残る。千春さんは生き残ってしまったことに罪悪感をだき、1人で苦しむ。
寄り添おうとする弟の存在が助けです。
励ましの言葉の無力さも感じます