生きた自然を探求する:躍動する生命と宇宙 (小林道憲〈生命の哲学〉コレクション)
- ミネルヴァ書房 (2016年9月10日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623077267
作品紹介・あらすじ
今日の生物学や物理学など、大きく変貌する自然科学から材料を得ながら、現代の生命論や宇宙論を哲学的に解釈し、自然を〈生きた自然〉としてとらえる生命論的世界観の提示。再び、ロマン主義的自然観を復権させ、二十一世紀のパラダイムを構築する。宇宙、物質、生命、すべては無限の生産力をもった秩序形成力であり、自己形成力である。
感想・レビュー・書評
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『生命と宇宙 21世紀のパラダイム』(ミネルヴァ書房、1996年)を加筆訂正した本です。
著者は、機械論にもとづく自然科学的な立場では、生命現象に見いだされる目的や意味、さらには自由といったものをとらえることはできないといい、システム論など現代の生命論の成果を参照しながら、新しい時代におけるロマン主義的な自然観を語っています。さらに、現代の物理学における場の理論などにも言及しながら、生成する生命という発想が従来の機械論的な宇宙像を乗り越えた新たな地平と共鳴するような思想的内容をもっていることが論じられています。
本書では、イリヤ・プリゴジンの散逸構造論やデイヴィッド・ボームの内臓秩序論などが参照されているのですが、それぞれの内容にくわしく立ち入ることはなく、おおむね機械論に対するロマン主義的な自然観のおおまかなイメージを提出することに終始しています。ただ、そうしたイメージのみが先行して、実証的な側面についても哲学的な意義についても、突っ込んだ議論はなされていないように思えます。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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