海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること
- 山と渓谷社 (2021年7月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635062954
感想・レビュー・書評
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最近の学者先生は文章の上手い人が多い。
まことにありがたい限りである。
「キリン解剖記」は抜群に面白かったが、このクジラ、アザラシ、オットセイの先生も文章が上手い。
素人にわかるように、かつ、魅力的に感じるように説明してくれる。
リアル「へんなものみっけ」の先生だ。
オットセイの剥製を作る苦労話なんか読むと、次に科博に行ったときには剥製を見る目が変わるような気がする。
そうだよねぇ。
みんな、誰かが苦労して作っているんだもんねぇ。
ということも、言われないと気がつかないもんだなぁ、ということにようやく気がついたのであった。
司書は読んどいたほうがいいよ。図鑑見るときの目が変わるから。
2021/08/05 更新詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こちら、すごく面白かった!!
イルカ、クジラ、アザラシ、アシカ、セイウチ、ジュゴン…などなど、海の哺乳類のことがいっぱい知れました。
知識欲も満たされて、読み終えてからも楽しい余韻でドキドキ♪
海の哺乳類の生態、進化、海洋生物のストランディングと死因について。人間との共通点。遺伝子解析から見えてくる事実。標本ができるまで。環境汚染問題。
ストランディングの原因でもある海洋プラスチック問題は想像以上に深刻。
楽しいことも、そうでないことも、とにかく興味をひくことばかり。
読んだ内容が記憶からこぼれ落ちていくのがもったいないのと面白いのとで、読み終えてすぐもう一度読みたくなりました。
水族館にも博物館にも行きたい!! -
最後の環境問題について言及しているところが心に刺さった。
普段日常では感じることのない、マイクロプラスチックの問題(ニュースで見る程度)、研究されている方は日常的に危機感を感じてるのだなと。
かたい本ではなく、海獣についての生態など書いていてさらーっと読めた。
今まで、海獣について考えたことがなかったので、普通におもしろく読むことができた。
国立博物館に行きたい。 -
海の哺乳類のクジラやイルカなどのストランディグ、生態について分かりやすく書かれている。
解剖作業は、ガテン系さながらの重労働+血まみれ作業なのに驚きました。そして、ストランディングにより標本や今後のことに役立てられていることを知り、研究者の方々には頭が下がる思いとなりました。。
巻末と海洋プラスチックのことも、水道の先には海が繋がっていると意識して日々生活していこうと思いました。 -
子どものころ、昔の話として近くの町の海にクジラがあがった話は聞いたことがあったけれど、こんなに多くストランディングがあるとは知らなかった。海獣ってかわいいなあ。。
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全く知らないクジラ研究者の世界の話であるが、とても読みやすく引き込まれる内容でした。
多感なうちに子供にもぜひ読ませたいと思いました。 -
淀川河口にクジラが漂着したニュースはしばらく流れていたが、今はどこへやら。
鯨類研究者ってどういうことをするのか?調査してわかることとは?いろいろ興味深いことばかり。
大型哺乳類の調査は、規模が本当に土木工事並みであれこれ大変だということは噂できいていたが、これを読んで本当に骨の折れることなんだと実感した。しかしながら、その先にある調査や標本など様々な活用と、将来に残すべき保存という技術もあるということを深く理解した。海に沈めれば済むという話ではない。 -
海岸に打ち上げられたクジラやイルカなど海の哺乳類の調査研究をされている国立科学博物館の研究員さんが書かれた本ですが、初めて知ることも多く、とても面白かったです。
最終章の海洋汚染の話は、便利な社会がもたらした弊害なのですが、人間にも影響が出ないことではないので、もっと人々が深刻に予防に取り組まないといけないと思いました。
さて文芸小説では、「クジラ」がタイトルに入っている作品が、数は少ないですが、有名なものがあります。
「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこさん)、「晴天の迷いクジラ」(窪美澄さん)、「凍りのくじら」(辻村深月さん)です。
本書の中では、それらの作品タイトルのモチーフになった実在する52ヘルツのクジラの話や、鹿児島で生きたまま打ち上げられたクジラの話、流氷に閉じ込められたシャチの話も書かれています。 -
国立科学博物館の研究者がクジラを語る。海岸に漂着してしまったクジラ類をどうやって解剖し、標本にしていくか。その過程で未知の海獣たちの死因や生態を探っていく。博物館という組織に標本が重要なことがわかる。