- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750518039
作品紹介・あらすじ
〈 迷い、悩み、疲れているあなたへ 〉
NHK「100分de名著」の人気指南役が贈る、目まぐるしい日々を生きるあなたに寄り添う言葉。
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〈 自分を支える言葉は、実は自分自身の中にすでにある 〉
生きていくうえで、何が大切なのか。どこを目指して進めば良いのか。
迷いのなかから再び立ち上がり、前を向いて歩き始めるために、「自分だけの一語」を探す心の旅の導きとなる一冊。
感想・レビュー・書評
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一語一語丁寧に紡がれた文章。
読む側も一語ずつ大切に味わいながら。
装丁が美しい。余白を大きくとった行間…言葉が胸に沈んでいくのを待ってくれているような、ゆったりした気持ちで読めました。
p44
「本当の祈りは、なかなか言葉にならない。祈りに限らない。私たちの「おもい」のほとんどは言葉にならないのではないだろうか。だが、不思議なことに人は、そうした言葉にならないものをそのままのかたちで受けとめられることがある。言葉というよりも、言葉に宿る無音の響きによって、遠くにいる人とつながっている、と実感することすらある。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ことばに関する本だと思っていたら、読んでいるうちにどこか宗教じみてきた。それもそのはず。もともと立正佼成会の機関紙「やくしん」に「ことばの深淵」として連載されていたものとか。
なかなか生きかたについての“ことば”がちりばめられている。
・愛されないから愛せない。私たちは誰かを愛することができなくても、自分んを愛することはできる。まずは自分を愛することから始めなければ・・。
・冬はたしかに寒さを引き連れてやってくる。同時に音もなく、姿のないかたちで。
・つまらないから あかるい陽のなかにたってなみだを ながしていた
・思い、想い、恋い、願い、惟い、念い、すべて「おもい」と読む。
・人間のその一番深い奥の方にある気持の動きは、ほんとうは言葉では表せない。言葉というものは、案外不完全である。
・「生きる」とは「活かされて在ること」だと感じる。
・人間が最も生きがいを感じるのは、自分がしたいと思うことと義務が一致したときだ。
・涙によって、悲しみと喜びは、深いところで、分かちがたくつながっているのでは・・・。
・幸運と幸福は必ずしも同じではないし、成功と幸福も同義ではない。
・「老い」という文字には「老いさびる、ふるい」のほかに「なれる、すぐれる」という意味がある。・・えっへん。
・仏教の「五眼」とは「肉眼」「天眼」「慧現」「法眼」「仏眼」である。
・死と向き合うとき、死が「貴い」のは、そこには、他の人に見えない勇気が必要である。逝く者は皆、勇者である。
・疲れたとき人は、美しいものを求める。
・「あたまの使い方」や「からだの使い方」は、学校や職場でも学ぶことができる。しかし、「いのち」とは何かを考えること、「いのちの使い方」を体得することはほとんどない。
「いのち」はたいせつにしなければ・・・・。 -
言葉との出会いはとても繊細。出会えるチャンスに僕の感性が鈍くすれ違ってしまった言葉はどれほどあるだろう。感性を高めた上で読みたい
#ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う
#若松英輔
23/9/22出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3EO5WpH -
たまたま本屋の棚に陳列されているのを見かけて、まずタイトルに一目惚れして思わず買ってしまいました。
自分が本を読んでいるときは、文章を頭の中で音声として再生する音量感みたいなものも無意識に設定しているのですが、若松さんの文章は「とても小さな声で大事な話をしてくれている」という印象を受けます。
ひとりで静かに浸るには最高の一冊です。
個人的に昨年のベストの一冊だった「文にあたる」の著者の牟田郁子さんが校正・校閲を手掛けられていることも、自分が心地よく読めた一因であると思います。 -
自分だけの言葉を探し求める営みは、なんて奥深くて貴いのだろう。自分と無言の対話をし、そのなかに眠る言葉と出会い直すとき、それまで見過ごしてきたありふれた言葉も、心の暗がりを照らす光となる。私だけの一語とは何だろうか。
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丁寧な言葉で綴られた文章と、1章ずつに詩が登場してくる。
昔の人が残した詩がとても綺麗なものに感じた。
今も昔も人が悲しい・寂しいと感じているのは一緒なのだと
言葉に心が救われたように感じた。
きれいな絵や写真を見た時に心に広がるような優しい気持ちが
この本の読んで、言葉からも同じようなものを感じられた。 -
本当に言わんとしていることを理解するためには私はまだまだ未熟で理解できないところも多かったけど、頭をフルに回転させて自分の生き方を見つめ直せる本だった。
この本のブックリストを元に良書に出逢っていきたい。
どんな人間でも、一ばん尊いのは、その人が真剣になったときの姿である。どんなら人間であろうと、ギリギリの真剣な姿には、一指も触れることのできない厳粛なものがある。
どんな相手でも私にとってはすべてが求道の師であり、私を高めてくれた菩薩であると、心底から思っている。 -
人の身体を作るのが食べ物なら、心を作るのは言葉。
そんな信念のもと、人生の糧や軸となるような言葉を探す随筆集。遠藤周作やサン=テグジュペリ、ミヒャエル・エンデなどの作品を引きながら、著者が感じたことや発見が綴られている。
心の奥底を表現する手段として、詩をすすめていたのが印象的だった。確かに詩は、説明的な文章よりも、厳選された端的な言葉で、生まれたばかりを思わせるリズムや温度がある。短歌や俳句もまた然りだろう。
誰かに伝える、というより、自分に伝える。そんな言葉の用い方を考えさせられる本だった。