しにがみさん: らくごえほん 柳家小三治・落語「死神」より

  • 教育画劇
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774606132

作品紹介・あらすじ

死神は、金がなくて困っている若い父親を助ける。「医者をやれ、おまえは今日から死神が見える。アジャラカ・モクレン・キュウライス・テケレッツのパァ。このじゅもんをとなえて、手をたたけば、死神はいなくなる。」こどもから大人まで楽しめる恐ろしくも滑稽なはなし。野村たかあき入魂の木版画。

感想・レビュー・書評

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  • 野村たかあきさんの版画絵本4冊目。
    かの有名な古典落語「死神」の絵本化で、グリム童話にある「死神の名付け親」と非常によく似ている。
    この落語が成立したのが明治中期というから、あるいは聞きかじったグリムのお話からヒントを得て書かれたものかもしれない。怖さの点では落語が群を抜いている。
    こちら絵本の方は、版画絵に圧倒される。
    その熱量の凄さは、絵本でここまで可能なのかと思わせるほど。
    ちなみに、表紙絵の部分は終盤の見開きページにあらわれ、息をのむ迫力。
    くすっと笑う箇所もあるが、最後の最後まで気が抜けない。

    「死神」というと、よくあるのが黒い大きなマントに大きな鎌を持ったスタイル。こちらジャパニーズスタイルはちょっと凝っていて、「黒衣」によく似たいでたちだ。
    舞台で裏方役に徹する、黒装束に黒頭巾の、あの「くろご」。
    これが、独特の虚無感を漂わせた存在として描かれる。
    (黒子と書くとバスケかほくろになります。舞台上のは黒衣。)
    怖いだけではなく、人間との交渉に応じたりする心優しい部分もあるのだが、かたや人間の側は、浅はかで欲深。
    そのためラストの衝撃的な終わり方に繋がるのだが、ここまで持って行くのはかなり手練れの読み手でないと難しいだろう。私はすでに及び腰だが・・
    お話会で読もうと思われたらひと月先に本番を設定して、ぜひ毎日せっせと練習を。約11分。高学年から。見返しと裏見返しもストーリーになっているのでお見逃しなくね。

    ストーリーと相反して、文章は軽快でリズミカル。
    お話会など抜きでも、声に出して読むとより味わいが出る。
    落語としても非常によくできた噺に、野村さんの版画絵が付くことでより一層深みが増している。
    野村さんのお仕事の素晴らしさに拍手。

    (落語絵本というカテゴリーも作成してみました。)

  • 〝江戸の町の若夫婦に赤ん坊が生まれたが、食べ物を買うお金にも困ってしまった ...お金は出来たのかい?」「できない」「僅かばかりのお金も出来ないのかい?」「あっちこっち、廻ったんだよ」「お金が出来ないなら、豆腐の角に頭ぶつけて死んじまいな!」「・・・ほんとに死んじまいたいよ」 ...“おい、死ぬんじゃないよ“ ...「誰だい?」 ...“死神だよ” 〟・・・身投げ寸前に死神に助けられ、金儲けの裏技を教わった男が、自分の寿命を金と交換してしまうという、江戸落語の絵本版。

  • 5年生に読み聞かせ。
    人の寿命が見えて、しにがみを追い払えるようになった男は、ずるして大金をせしめるけど…。
    大量のろうそくがちくわに見えたらしくウケてた。最後は「…え!?」てな顔をしてくれてよかった。

  • とにかく子どもにウケがいい。
    大体の場合、読み聞かせをはじめる時点では興味なさそうに遥か後ろの端の方に陣取る子が何人かいますが、「しにがみさん」は、まず間違いなく、ラストは全員が食いついて前のめりになっています。実際にろうそくを灯してやると、最後は大盛り上がりですね。

    今、落語えほんはたくさんあって、おもしろいものもたくさんありますが、モノによってはオチを完全に理解して楽しむのに年齢を選ぶことがあります。
    でも「死神」はとてもわかりやすい。しかも子どもが大好きな、「楽しめる怖さ」があります。この「しにがみさん」は長さも噛み砕きも、絵の雰囲気も、本当にちょうどいい。

  • 貧乏で死のうと思ってた男のもとに突然死神が現れ、「医者をやれ」という。
     どんな名医でも治せなかった病気を治したとひょうばんになり、大金持ちになったが、
     調子に乗って破産した。お金を作ろうとまた医者をやったがいっこうにうまく行かない。
     そこで男がとった方法とは?

  • お金に目がくらんだんですな。くしゃみしてろうそく消えちゃった。

  • 死神の姿が影で描かれていて、聞き手の想像に任されているところが落語っぽくていいなと思いました。

  • 「死神は、金がなくて困っている若い父親を助ける。「医者をやれ、おまえは今日から死神が見える。アジャラカ・モクレン・キュウライス・テケレッツのパァ。このじゅもんをとなえて、手をたたけば、死神はいなくなる。」こどもから大人まで楽しめる恐ろしくも滑稽なはなし。野村たかあき入魂の木版画。」

  • 落語ですから、しにがみさんもユニークです。

  • 読了

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著者プロフィール

1949年群馬県前橋生まれ。1983年に木彫・木版工房「でくの房」を開く。
『ばあちゃんのえんがわ』で第五回講談社絵本新人賞を、『おじいちゃんのまち』で
第十三回絵本にっぽん賞を受賞。
絵本作品に『ないたあかおに』『あめふりうります』(以上、講談社)、
『かえるのどびん』『しにがみさん』『ねこのさら』『しばはま』『そこつ長屋』(教育画劇)、
「おばあちゃんといっしょに行事食をつくる絵本」シリーズ(佼成出版社)などがある。


「2022年 『せかいのくにで いただきます!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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