絶歌

著者 :
  • 太田出版
2.86
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本棚登録 : 1910
感想 : 229
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314507

感想・レビュー・書評

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  • この本に関しては存在自体、色々な意見があるとは思いますが個人的には著者のワードセンスというか、美しい文章を書かれるなと思いました。特に淳くんのご遺体を夜中に校門に持っていったという奇行の箇所ですが、当然全く賛同等の気持ちはございませんが、間違いなく著者の人生で最高の瞬間だったということが伝わるような文章でした。レビューして、良かったのかな…。

    よろしければ動画もご覧ください。
    https://youtu.be/X3YyTISBcas

  • 1年ほど前に中古で購入していたが
    長らく読む気になれずに手をつけていなかった。
    先日、たまたまYouTubeでレビュー動画を見て
    折角所持しているのだし、と読んでみることに。

    良心がない・他人に共感できない・
    平然と嘘をつく・自尊心に塗れ、
    自己中心的な典型的サイコパス…、
    彼はなるべくして犯罪者になったのでは、
    と思えるほどの異常人格ぶりが伺える手記。
    文章の至る所からナルシズムが溢れている…。

    どのような思考回路で何をしてしまったのか、は
    事細かく多彩な表現で記されているので
    深く知ることは出来る。
    が、是非読んでみて欲しい等とオススメはしない。
    厨二病を拗らせた文章が読んでいて煩わしい。

    そして、手記中に引用される有名作家達の一節。
    個人的には、かなり不快だった。
    彼らの作品や一節は、貴方には関係ないぞ、と。
    犯罪者である少年Aは、一般的なエッセイのように
    他人を引用出来ない…迷惑がかかるのでは、と
    自分自身で気付くことは出来なかったんだろうか。
    この文章に感化された、共感を覚えた、などは
    立場上、心の中に留めるべきだったように思う。

    第二部の大半は、蛇足に感じながら読んだが
    第一部ほどの厨二さは無かった。
    終盤の「どうして人を殺してはいけないのか?」
    という問いに対して「何故かは分からない、
    けれど絶対にしないでください。
    あなた自身が苦しむことになるから」と答える…、
    と書かれた部分に対しては特に違和感を覚えた。
    反省から滲み出た正直な回答なんだろうけども、
    この手記は遺族も読むことが出来るという点を
    彼は忘れてしまっていたのだろうか、
    遺族がその回答を目にしてどう感じるかまでは
    心が及ばなかったのだろうか。

    良くない良くないと分かっていながらも
    遺族に無断で手記を出版してしまった少年A。
    自身の欲望や衝動を抑えられないという点が
    恐ろしくはあるけれど、この先も再犯は起こさず、
    残りの人生を送って欲しいと思う…。

  • 発売当初からずっと読んでみたいと思っていた本。
    一気に読み進めたが、なんとも言えない読後感は終始私の思考回路をグルグルと回転させ続けた。

    第一章と第二章それぞれから受けるAの印象は全く違ったように感じた。
    第一章は、事件当時の描写がメイン。
    自分の話であるのにどこか自分を俯瞰して見ているような書き方で、小説のような美しい言葉でスルスルと話が進んでいく。
    本書の中に「自分が自分でなかった」旨の記載が多々あるが、まさにそれを自然と表しているかのようだった。

    第二章は社会で過ごす描写がメイン。
    一章とは真逆で、泥臭い人間らしさが溢れていた。

    様々な人との関わりや経験を通して、人として生きていくことの意味理解し、罪の重さに自分を苦しめながらも一生懸命生きて行きたい強い想いを感じた。

    とにかくこの本は一言では言い表せない。

  • 少年Aに印税が入ることを考えて、買うことを躊躇してが、買ってしまった。
    少年院、社会復帰を経験する中で、罪の重みに気付き、苦悩する様が描かれていた。
    表現力が優れていて、少年Aの頭の良さが伝わった。

    狂気殺人を犯す人は、複雑な家庭環境で育っていると思っていたが、少年Aはごく普通の家庭で育っていた。
    動物を殺していることに気付いていた周りの大人が止めてあげれば、このような事件は起きなかったかもしれない。

    この本に記されたことが本心で、2度と同じ過ちを犯さないことを願いたい。

  • 23年ということで。
    まず内容はともかくとして、読み物として稚拙。
    「ちょっと贔屓の作家がいる学生が自分も本を書いてみたくなって書いてみました」と言った印象を受ける。
    これが手記だと言われると、疑問に思う。
    不必要な場面で饒舌で、必要な場面で曖昧。
    一体どの層に向けて書いたものなのか?何のために書いたのか?と思ったが、「自分の為」と言われれば納得できる。

  • 何が彼を駆り立てたのか?
    なぜそうなったのか?
    とらえどころのない、恐ろしさが残る。
    両親の気持ちを考えると辛いなぁ。

    この手の本は感想が難しいし、罪を償って生きてくれとも、簡単には言えない。

  • 出版されてすぐ購入しました。
    文才がある。頭が良い。
    まず、憲法が存在する限り、本著は賛否両論。

    切なくなった苦しくなった。
    正直、本著を読んで、少年法の意義を見出してしまった。これが少年法が存在する意味なのかも知れない、と。今まで自分は何も知らなかったのだな、と。

    少年法廃止を望む人の中には、少年法をよく知った上、強い意志で廃止を掲げる人もいるだろうが(そうあって欲しい)、中には、もしかしたらよく知らない人もいるのでは、とも思った。そうであれば、読んで欲しい。

    もっと言えば、私は様々な人に読んで欲しいと思った。
    そして多くの人に、少年法についてよく知って欲しい。意見がどっちになろうとも、とにかく知って欲しい。様々な状況を、現実を知り、様々な視点から見て欲しい。無知が一番恐ろしい。

  • 私は今まで人を殺さなかっただけで、それ以外の点ではAより劣っているのではないか、と思った。
    すごく賢い人なんだろう。言葉の一つ一つが小説的で小難しい言葉をわざわざ使っているようで、A本人の意思でなのか編集者の意図が組み込まれているのか分からないが、あまり好ましくはなかった。
    ガンジーやゲバラの分析は、ちょっと認めたくないけど、面白かった。
    Aが犯罪を犯してからの周りの人々はいい人ばかりで、それはいい人しかかかれていないのかもしれないけど、なぜ犯罪者の周りにそんな人たちがという憤りもあるが、本当は犯罪を犯す前にそういう人たちに囲まれて育つのが一番よかったんだよな。Aに関しては、A自身が親を悪く言わないせいもあるが、Aの犯行がすべて親のせいだとは思えず、もちろんちょっとぐらいは親にも責任があると思うけど、現代的な閉鎖的な家族という空間ではなく、”保護監察官のような”他人、”里親のような”他人とともに子育てができれば、少年時代に限らず大人になってからの犯罪者も減らすことができるのではないだろうか。
    ただ、元々弟たちやその友人等に過度な暴力を加えていた事実があったのだから、周りの大人がもう少し注意することはできたのではないだろうか。

  •  内容はともかく、出版自体は、言論表現の自由、犯罪者の社会更生の観点から、ギリギリOKなのかなと感じている。

  • 2015.7.17

    考えさせられる…
    確かに、少年犯罪の代名詞のようになってしまっているサカキバラセイトだけど、人の感情が欠如してもう更生なんて絶対無理だと思っていたけど、どうなんだろう。
    最後の弟たちへの謝罪のところで、弟たちの無条件な兄への思いが凄すぎると言うか、憎んでないのに驚いた。

    この本が全てではないと思うけど、書けないことはかなりあったんだろうけど、被害者に対しての命日の手紙やら、弟たちへの謝罪の気持ちやらはちょっと泣けた。

    汚点は決して消えないし、自分は陽の当たる所に出てはいけないという気持ち、被害者に対する償いは絶対無くして欲しくないと思うし、生きているだけで幸せということを肝に命じて、この先真面目に生きていって欲しいと思った。
    それが出来るんじゃないだろうかと思った。

    でも、この本が本心じゃなくて上辺だけで、本当の心は隠してるんだったら、恐ろしいけど…
    と、こんな風に思われてしまうのは常だろうけど、耐えて償いと更生の人生を全うしてほしい。

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