「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?
- イースト・プレス (2018年2月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781616384
作品紹介・あらすじ
選択肢が多様に広がったからこそ、生き方が定まらない。リアリティと現実のギャップに戸惑う人びとへ、新たな指針を示す人生論。「成熟のロールモデル」が見えなくなった現代において、「若者」を卒業し「大人」を実践するとはどういうことか?
感想・レビュー・書評
-
「大人である」「大人になる」その一文字の違いには、大きな隔たりがある。
「大人」になるということは、階段を上がるイメージであったが、いざ迎えてみると、緩やかな坂を登るように、気づいたらなっているものに近かった。それは、年齢で区分された大人であって、この本で語られる「大人」ではない。
著者は、『世代や立場が違う人に、その違い踏まえて対応すること(P38)』が「大人」の定義と冒頭で述べている。
そして、「大人になる」ということは、この本によると、人生の主役をやめて脇役に転じ、若者を育てていく側になることらしい。
このあたりが非常に難しい。なぜなら、いま周りにあるものがほとんど、人生の主役になるように促しているからだ。コマーシャルは、「あなたのよりよい生活を」というメッセージが込められていて、流行は常に追いかけるもののように喧伝し続ける。SNSは、まさに主役になれる為のツールとして機能している。
それらが決して悪いわけではない。がしかし、人生の主役、ステージから降りること(降りるという言葉のイメージですらも、ネガティブに感じてしまう)を、なんとか引き留めようとする。
そうして、遅れをとり続けて、気がつけば「年甲斐もなく」と後ろ指を刺される年齢となるのである。
情報化社会・多様性・考え方のアップデート。どれも、魅力的な言葉だ。
しかしながら、大人として成熟するには、全てを変えるのではなく、定期的なメンテナンスをする方にシフトし、主役の座を譲らなくてはならないのかもしれない。
考え方の一つとして、この本はたいへん為になったが、どうしても、主役を譲ることが、今の自分には難しく感じる。こういったところがまだまだ磨き足りないのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理解できる部分はあるものの自分が求めていたものとは少し違った。自分より少し上の世代向け。自分の大人像を整理するために活用する。
⭐︎読み始めたきっかけ
会社の中で年齢の割に組織内での振る舞いや考え方がイマイチ、と思う人を見るたび、こんな大人にはなりたくないと感じていた。理想の大人になるヒントがあればと思い手に取った。
⭐︎本を読んで
自分が求めていたのは、大人、老いたときにどうあるべきかではなくて、カッコいい大人であるには、若者として何をなすべきかという視点だった。
本書の内容
・好きなものも若い頃と同じ熱量で続けていくことはできない
・自分を育てることよりも後輩を育てることに意識が向いていく
・歳をとっていく中で徐々に志向をシフトさせていく必要がある
割と若々しくあろうとすることが無理をしているというようなネガティブな印象を持たせる表現がされていると感じた。
自分の中では精神的な成熟と見た目の若々しさを追求したいと思うが、若々しくあるべきと社会的にそう思い込まされてることかどうか判断がつかなかった。
自分の伸び代より下の年代の伸び代の方が大きいので育てる喜びがわかるようになるといったことが書かれており、同意はできるものの、他人の成長ありきではなく、自己研鑽は続けていくものではないかと思った。
自分の成長しか考えていない=良くないという主張でもあったので、
組織で言えばメンバーのマネジメントもできてこそ自身の成熟という意味に置き換えれると思った。
⭐︎私の思う「大人」
人を育てることに目が向けられるのも大事な要素ではあるものの、育てる以前に、まず他者と接する上でのその人の在り方が魅力的かどうか、が問われていると考える。
人と接する時に相手に安心感を与えたり、物事への動じなさ、適切な対応力、思考力など
育てるという上から下の関係性でなくても、他者に対して助けとなるような働きかけができる
⭐︎私が魅力的に感じない「大人」のポイント
・組織においてより良くするための働きかけをしない
・他人の立場に立って考えることなく、いつも自分の意見が正しいと思い込んでいる
「大人」ということばにこだわるよりも魅力的な人をロールモデルとして、真似したり、他者を反面教師に自己研鑽に励むしかないのかもしれない。 -
インターネットではシロクマ先生の名前でおなじみ。シロクマ先生のブログはよく読んでいるのですが、著作は初めて読みました。
一番印象に残った内容は、「大人とは『世代や立場が違う人に、その違いを踏まえて対応すること』ができる人である」という部分。
とくに都心部において、学歴の高度化や地域社会との接点のなさ、企業の高齢化に伴い、いわゆる大人との接点が減りつつあります。そのような背景から、大人になるタイミングを逃した若者が増えているが、一方で体力的・知力的な衰えから、40歳を過ぎると人は嫌でも大人にならざるを得ない、と作者は言います。
アイデンティティ(自分の仕事・自分の趣味・自分の家族・自分の考え)が確立されていなければ、何者にもなれなかった大人になってしまうが、アイデンティティの確立は、一方で自分がなりえる存在を狭めてしまう。仕事の選択・趣味の選択を狭めることとなる。だからこそ、若者を延長したい人が多いとのこと。
なので、「確立されたアイデンティティ」と「拡張するアイデンティティ」を同居させるという考え方もある。たとえば、仕事において50歳になっても最先端にいる人は、仕事以外の新しいチャレンジはあきらめている、など。
私はこの文章を書いている時点で31歳ですが、もう年齢的にはだいぶ大人だと思う一方で、精神的な成熟はまだまだ足りていないと感じています。いつかくる「大人」にならざる得ないタイミングまでに、いかに成熟できるかを考えていく必要があると、感じました。 -
周りにいる年長者たちに敬意を持ち話を聞き、自分が現在できるベストのことを積み上げて行く。自分の生き方を認めてあげられるような大人に、世代間の違いを認められる大人になれればそれは立派な大人。
-
タイトルに惹かれて読書。
テーマや導入部はとても興味深かったけれど、
「大人」を始める方法はあまりなく、
なぜ「大人」になれないのか、
どういう態度が「大人」なのか、といったことが中心。
ゲームサブカルに通じた精神科医という筆者の体験談も多いけれど、共感する部分も少ない。
導入部が全てで、あとは期待してた分、尻すぼみ感が否めない感じでした。
そのなかでも印象的だったもの
・若者であり続けることには限界がある。歳をとるにつれて、最新のコンテンツを空気を吸うように取り込めなくなる
・大人とは「世代や立場画違う人に、その違いを踏まえて対応すること」
・若者が終わって大人が始まると、幸福とは何か人生の価値とは何かといった、土台がひっくり返ってしまう
・アイデンティティが確立してない人ほど否定に打たれ弱い。社会が流動的な現代はアイデンティティが確立しずらい。何か1つにアイデンティティを頼るのは危険。確立すると、安定するけど、フットワークの軽さがなくなり、若者感はなくなる。 -
「大人」とは
世代や立場が違う人にその立場を踏まえた上で対応すること。
恋愛そのものに年齢制限は無いが、若者ならではの恋愛にははっきりとした制限時間があって、今の年齢で経験できる恋愛は今しか経験できない
誰だってこれまでの諸事情や背景、歴史を背負って今日を精一杯生きてるのだから、生きてるだけで立派で素晴らしい
読んでよかったなぁ
22歳記録。 -
この本を読んでまだ自分は若者であると思った。
アイデンティティがまだ確立できていないし、恋に恋しているし…将来自分がなりたくない大人像にならないために読んでおいてよかった。多くの気づきを得られる良書でした。 -
大人とは、世代や立場が違う人に、その違いを踏まえて対応すること。長く人生を生きてきた人は、それだけで結構すごいということ。
-
大人になるとは、自分を含めた半径nメートルの人間をいかに楽しくするかを、どれだけ知っているかということだと思っている。
歳を取り人の面倒を見る立場になるという、社会システムの中では必然の現象に合わせてどれだけ自分自身の楽しみをシフトできるか、というようなことが書いてあると思った。