アンソロジーしずおか戦国の城

  • 静岡新聞社
3.82
  • (2)
  • (5)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783811213

作品紹介・あらすじ

戦国時代、静岡の地は遠江・駿河・伊豆の三国に分かれ、名だたる武将たちがしのぎを削っていた。要衝には、敵の侵攻に備えて山城、平城、海城などが数多く築かれ、遺構は今もひっそりと各所に名残をとどめている。歴史小説界に新風を吹き込もうと創設された「操觚(そうこ)の会」のメンバー10人が今回、その県内の城にスポットを当てた。いずれも徳川、今川、北条、武田の軍勢が武門の意地と誇りを懸けて激突した舞台。各作家が1つずつ選んで、ユニークな人間模様を紡ぎ出した――。全編書き下ろしの異色アンソロジー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 息をもつかせずの一気読み。
    城を巡り、作者と視点が変わる事で見えてくるものがある。
    そして、読み終えた時に物語の中で生きている、かつて、歴史の中で生きていた人が愛しく思える。
    あー、楽しかった。

  • 群雄割拠の戦国時代、静岡は駿河・遠江・伊豆の三国に分かれ、徳川・武田・今川・北条が要衝を築き覇権を争いました。静岡に限ったことではないと思いますが、実は教科書に載らない物語に、面白いものがたくさんあるのです。
    戦国時代の静岡といえば、今川義元という織田信長の踏み台にされてしまったで一躍有名。いつだか、職場の山梨出身の後輩が「武田信玄が有名ですが、三英傑には敵わない」と嘆いていたので「今川義元よりはいいのでは」と答えたところ「確かに」と大きくうなづかれた記憶があります。
    酷い話だ。地元愛もあったものではない。

    そんなパブリックイメージは置いといて、戦国時代の静岡の城10ヶ所10編のアンソロジーです。徳川・武田・今川・北条の最前線となった土地柄、戦場になることが多く、敗戦の物語が多いです。
    中では「紅椿」が好きでした。お田鶴の方という曳馬城の女城主。予備知識のない物語は新鮮な喜びがあるし、女丈夫は大好きです。
    長編するには情報が足りなくても、アンソロジーのような短編で読むことができるというのは嬉しい。これ、誰が言っていたのだったか。幕末にロシア通訳になったという人物の小説を読んだ時だったか。歴史小説ベストに収録されたどれかだったと思う。贅沢をいえば、各都道府県で同じようなアンソロジーを読みたいものです。北海道は無理か、各都府県でお願いします。

  • 静岡の10城を舞台にしたアンロソジー。
    今や堀跡など遺構しか残っていない草生したような場所でも、かつてこんなドラマが繰り広げられていたかも、と思いを馳せながら訪れればまた楽しいかも、と思わせてくれる。
    折しも大河ドラマでタイムリーな時代だけれど、ドラマでは描かれない、表には出てこないような人たちも必死に生きていたのだと胸が熱くなった。
    ・・・
    けど!!!
    なんで馬場美濃守を鉄砲隊に撃たれて死んだことにしたかなー???(諏訪原城)
    馬場は設楽原の戦いの後、勝頼退却を見届けた後取って返して追ってに自ら首を与えたのです。
    武将にとって死に様は己の名誉に関わるほど大事なことだと思う。
    山県は撃たれて片手が使えなくなっても軍配を口に咥えて突撃を重ねて銃弾に倒れた。それもまた死に様。
    でも馬場のそれは違う。
    物語の流れ的にはそうするのが簡単だったのかもしれないけど、安易に変えていいものではなかった。
    末裔の1人として非常に悔しく、残念だった。
    そこだけが残念。

  • タイトルの通り、静岡県にある戦国時代の城のアンソロジー。そうそうたるメンバーが執筆。
    どの城にも、歴史あり。高天神城以外行ったことがないので、また足を運んで、当時に思いを馳せたい。
    地元のお城にも興味が湧いた。来年、行ってみよう!

  • 『紅椿』と『井川の血』が面白かった。今川、徳川、武田、豊臣そして織田。色んな視点から静岡の地に起こった戦をなぞれてよかったけど、親兄弟で名前が似すぎてごっちゃになったりしたので登場人物一覧が欲しいっちゃ欲しかった。
    薄化粧とか公家大名とか、ああ、信長に負けた…とか言われがちな今川の株がぎゅんと上がりました。とくに氏真ね!そして家康はなんかやっぱりちょっとやだ
    最近静岡駅に今川義元像ができたらしいのでがんばってほしいです。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芦辺拓の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
冲方 丁
永井 紗耶子
劉 慈欣
川越 宗一
ミヒャエル・エン...
秋山香乃
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×