- Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838714278
作品紹介・あらすじ
弟は隣家から聞こえてくるユーモレスクが好きだった。六年前に行方不明になった弟・真哉。鏡合わせに一棟を分けた隣家は、それ以来「近くて遠い」場所となった…。不在の人の記憶が紡ぎ出す切ない物語。
感想・レビュー・書評
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余韻の素晴らしい作品。
失踪した弟を待つ主人公家族と、その隣家の関わりを遠回りして見ているような作品。
ユーモレスクは雨の日をイメージするけれど、それに似た感覚を覚える。狭い部屋の中で部屋を眺めながら、外の雨の世界を思い描くような。
服飾品店の店員らしい主人公の観察もその印象を強めている。
答えはない。
姉は嫌い。好きに幸せを手に入れて、最後に気持ちまで軽くする自分勝手さが嫌い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校生以来に再読
当時読み終わっても物語からなかなか抜け出せず色々と想像したのを覚えていて、手に取ってみたけど、読み終わり予想よりさっぱり爽やかに感じるのは歳を重ねたということなのかな、としみじみしてます -
4-8387-1427-0 155p 2003.2.20 1刷
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とても密やかで、切ないお話でした。服飾に関するところも、長野さんの美意識が感じられて好きでした。比和と真哉と和、性別をあまり考えさせられませんでした。和はまだ学生だったので、学校生活の中では男子として暮らさないといけないのが面倒そうでしたが。人に惹かれるのって、性別は関係ないな、と長野さんの作品を読んでいると改めて思います。素敵なものは素敵。こちらにいろいろと想像させる、余白のあるところも好きな作品でした。真哉はやっぱり帰ってこないのかな。三の宮が気になる存在です。
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初読みの作家さん。
これまでには読んだことのない筋書きと表現と空気感。
案外好きかもしれない。
お話としては、多少現実味が感じられない気もするけど、男同士の恋愛も半透明な中性的な雰囲気があった。
百貨店の紳士服が詳しく描かれ、へーそうなんだぁ、って感心することが多く、そこも面白かった。
『ユーモレスク』大好きな曲、おなじみのバイオリン曲になっちゃうけど、頭の中でずっと流れてる。 -
突然いなくなった弟を、いつ帰ってきてもいいように服・食器・布団・部屋を整えて、待ち続けている家族。
いなくなった時何があったのか、弟がその時思っていたことが浮かんでくる。
ネクタイの選び方って、そうなのよね~。 -
貯水湖に沈んだ弟、6年がたっても帰ってくるのではないかという期待を抱く家族、隣人、主人公の職場で万引きをした少年。それぞれが6年前の事にかかわっている、やがて明かされる事実。
デパートの描写が凄く面白いと思った。
長野さん自身、百貨店に勤めてた経験があってか裏が見れて。
同僚の萌や先輩の三の宮が濃いいはずなのにいい味出してたな -
やや冗長気味。
行方不明になった弟真哉のことが主軸となる、女性周子が主人公の物語。
途中、弟の存在を若干忘れるような影の薄さはありました。
タイトルは隣の家から聞こえてくるユーモレスクを弟が好きだった、という理由より。
でも別にユーモレスクをタイトルに据えるほどでもなかったような気もしています。
ネクタイを選ぶという仕事はなんだか素敵に思えますけど、
どこかいろいろな事を遠くから眺めているような、主人公と登場人物の間に壁を感じましたね。
何はともあれ驚きのホモ率であった上に無理やり感が強くあんまりこれは面白い!とは感じませんでした。 -
美しいです、やはり。
流れるような包み込むような、心地よい文章。
服飾品に関する描写はとくに素敵。
和くんが可哀想だけど、かわいらしい。
周子さんには幸せになってほしい、ぜったい。
紳士服店に興味が湧いてきました。どうしましょう。 -
長野まゆみさん作品における、『女の語り手』は、未婚の姉率が高い気がするけども気のせいか?
男同士の恋愛がさらっとかかれており、好感が持てた一方、『男らしさとは何か?』と考えさせられた。