空白小説

  • ワニブックス
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本棚登録 : 349
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847071416

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計50万部突破!
『54字の物語』の著者が贈る
5分で読める49話

『空白小説』は、書き出しと結びの文だけがはじめから決まっているショートショート集です。
その間の空白をどう埋めるかで、物語は予想できない方向へと展開し、書き出しと結びのもつ意味は大きく変わります。
あなたは「空白」の展開を予想できますか?

〇吾輩は猫である  →  名前はまだない
〇犯人はこの中にいる  →  私がやりました
〇昔々あるところにおばあさんがいました  →  いつまでも幸せに暮らしました
など

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(本文より)

〇吾輩は猫である→名前はまだない

 吾輩は猫である。誰よりも自由な猫である。
家の塀にひょいと飛び乗り、ふわぁとあくびをする。そこへひとりの少女がやってきた。少しだけ撫でさせてやろうと「にゃあ」と声をかける。しかし少女は「ひっ」と悲鳴をあげ、どこかへ逃げていった。
 しばらくすると怪訝な顔をした人間の大人たちが集まってきた。あっという間に屈強な男たちに取り押さえられ、吾輩は眠らされてしまった。
 目を覚ますと、吾輩は薬品の匂いのする部屋にいた。周りで白衣を着た男たちが首をかしげている。
「自分を猫だと思い込んでいるようです」
「見た目は中年の男だぞ」
「ですが実際に尻尾まで生えてきています」
「海外でも最近似たような症例が増えているとか」
「病名は?」
「発見されたばかりの病気だ。名前はまだない」
(『自由』より要約)

感想・レビュー・書評

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  • 書き出しと、結びの文だけがはじめから、決まっているショートショート集。

    例えば
    (第1章)我輩は猫である。の書き出しから、
    名前はまだない。の結びまでの
    まんなかの 空白部分
    (ここが、ショートショート部分)です。

    ここををどう埋めるかで、物語は予想もできない方向へと展開し書き出しと結びの持つ意味は大きく変わって来るという、7作品を楽しめるという、内容でした。

    第7章それぞれの決まった書き出しと結びについて
    各章ごとに7作品を読む構成ということです。

    珍しい感じの本だなぁと…惹かれて読んでみました…

    でも、残念ながら好みの作品は少なかったです。





  • めちゃくちゃ面白かった!
    SF的な作品も多く、ミステリっぽさもありつつ。
    たくさんの有名な名言や作品の1文、挨拶まで色んなパターンのお話があり、どれも面白いシチュエーションで唸りました。

  • ほんタメでヨビノリのたくみさんが紹介されていて読みました。発想は面白いですが、内容はうーん…といったところです。

  • 書き出しと結びが決まっているショートショート集。
    おすすめ作品
    3章第3話『田中地球』
    5章第5話『遠距離』
    7章第3話『睡眠労働』

  • 最初と最後の一文が予め決められているショートショート集。最初と最後が全く同じでも、これだけいろんなタイプのお話が生まれるんだなぁ、と改めて作家さんの凄さを感じました。文中の言葉の捉え方もそれぞれで面白かった。

  •  読了時間、約80分。
     書き出しと結びの文章だけが決まっており、その間の空白をどう埋めて、どのようなストーリーが出来上がるかという短編小説。
     いずれもストレートではなく、大喜利などで上手い解答を見た時に近いような爽快感が味わえた。中にはそれアリなの!?というアウトローな手法を用いたものも。
     書き出しと結びのパターンが7つあり、そのパターンで各7つずつのものがたり、合計49の物語がつづられているが、どれも数ページほどでサクッと読めるものである。中には正直「うーん」と思ったものもあったが、総じて面白いアイディアが心地よかった。多種多様なパターンがあるので、納得しづらい作品もあれば、好みの作品も出てくるのではないだろうか。
     個人的には「遠出」と「ふたり」がお気に入り。
     あと表紙のつくりがちょっとオシャレ。

  • サクッと読んで、サクッと終わりました。

  • やっぱりホラーなオチのが多いな…

  • 最初と最後が決まっている物語というのに惹かれて購入しました。
    最後に予想したラストと違っていい意味で裏切られたり、最初からそっちにいくかあと驚かされて最後まで楽しく読めました。
    「犯人はこの中にいる-私がやりました」の章がとても好きです。自分で作ってみても面白そうだなと感じました。

  • 個人的に凄いなと思ったのは本の内容より先に、テーマ毎に挿し絵の輪郭が決まっていて( 猫とかロケットとか )、その制限された中でお話に沿う的確なイラストが描かれている事でした。

    短編自体も面白く、そんなのアリ?という様な話も幾つか有りましたが、全体的にもっと読んでみたいと思いました。
    春巻きのお話が大変素敵でイチオシです。( どの短編を誰が書いているのかどこにも名前が書いてないので、春巻きのお話を書いた方が誰なのか分からず残念です…… )

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著者プロフィール

平成元年、愛知県生まれ。企画作家。株式会社考え中代表。著書に、1話54文字の超短編集「54字の物語」シリーズ(PHP研究所)、世界最短の怪談集「10文字ホラー」シリーズ(星海社)、当たり前のことを詩的な文体で綴った『あたりまえポエム』(講談社)、迷惑行為をキャラクター化した『カサうしろに振るやつ絶滅しろ!』(小学館)など。「ツッコミかるた」や「ブレストカード」など、ゲームの企画も手がける。CHOCOLATE Inc.にプランナーとして所属。

「2023年 『意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語X』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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