サイレンと犀 (新鋭短歌シリーズ16)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851665

感想・レビュー・書評

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  • 解説で東直子さんも述べているように、帯にも載ってる代表作「もういやだ死にたい、そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい」とか、「母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように」とか、まさに本音の祈りを飾らない言葉で表現した作品が印象的。

    また、「忘れたくないものを短歌にしている」とあとがきで書かれているが、その瞬間の何とも言えない気持ちとか、表情とか、空気とか、そういうのを一首読むことで思い出せるのが岡野さんの短歌。その時の風、気温、空気が読み手に伝わってくる。

    あと、岡野さんの短歌に興味を持つきっかけにもなった、装画、挿絵がすばらしい。もっともっと載せて欲しいくらい。

  • 岡野大嗣 短歌 マーブルの水ヨーヨーが地を叩く世界が消えるときは一瞬 くもりのちあめのちくもりくちべにをひく母さんのてつきはきらい 雨やみに遊具からの血の香りしてほんものの血のにおいに混じる 先生と弁当食べる校庭のレジャーシートの海はまぶしい 象印マホービンから美しい世界の果ての波のさざめき 豆腐屋の湯気がここまでやってきて狛犬ちょっといい顔している 抜けるほど青い空って絶望と希望を足して2で割った色? 返歌 目覚むほど橙色は願望と羨望掛けて平方根出す

  • 食器と食パンから。
    何度も読んでしまう。朝起きたらいつも適当なページを開いて読んでいる。寝る前に覚えたものを繰り返し唱えてしまうくらい好き。
    日常に潜む些細なことや、日常の中の非日常がまるで現実に起こったかのような不思議な錯覚に陥ってしまう短歌ばかり。

  • 2016年2月15日読了。
    言葉選びが鋭くて、でも柔らかい。
    すばらしくよかった。

  • 妄想やイメージを膨らませるより、日常生活を切り取った歌が多い。読みやすくすっと頭に入ってくるが、日常の切り取り方に、自分も含めた世界全体を外から眺めているような、孤独を感じる。今生きているこの世界は何だろうか。死んでいくとはどういうことか。など、根本的な問いが歌の背後に感じられ、読んでいてたまに苦しくなるが、視点にユーモアがあるのでそこまで重い印象を受けない。

  • ユーモアと切なさと、ときにナイフを突き付けられたような言葉たち。ナイーブで柔らかなイラストと相まって、端的に心を揺さ振る。

  • そっと影を落とすような、ぎゅっとえぐるような歌ばかり。
    繰り返してページを繰りたくなる歌集。

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著者プロフィール

一九八〇年大阪府生まれ。歌集に『サイレンと犀』『たやすみなさい』『音楽』『うれしい近況』。共著に『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』『今日は誰にも愛されたかった』。がんサバイバー当事者による、闘病の不安に寄り添う短歌集『黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える』を監修。

「2023年 『現代短歌パスポート2 恐竜の不在号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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