はじめての課長の教科書

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887596146

感想・レビュー・書評

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  • <2020/4/25>
    実際に管理職になり改めて読み直した。実際にこの境遇におかれたことで理解が深まる箇所がかなり増えた。特に発刊から10年以上が経過し、より一層「動き回る管理職」であることが標準の時代になったと実感している。これは「MBWA(Management By Wandering Around)」、現代で求められている管理職は動き回る管理職であり、現場を動き回り、直感的に情報を集め、次を予測する、という意味で示されている。他方で「人間社会は、合理的な機械のようなシステムで運用されているわけではありません。当然、課長の仕事にも合理的と言えないものもあります。(中略)逆に割り切って、ゲームのように手早く切り抜ける」ことも主張されており、事の緩急・軽重をつけることの大切さにも言及している。


    <2012/09/13>
    著者のプレゼンテーションを聞き、スライドを見るように本書を読んだ。「課長・・・」という表題からは、管理職になるのはだいぶ先の話であり、まだまだ読むべきでないものと連想させられていたが、それは間違いだった。この本は、20・30代の働く人々こそ、早めに読むべきだろう。他のビジネス書と次元が違う。学術的根拠に基づき焦点化したポイント中のポイントを極めてシンプルに要点を表現している。学術知と実践知の理想的な融合の一つの形だと思う。

    職場でフロー体験を得られる機会はそう少ない。まれにあったとしてもあまり長くなかった。没頭する環境を得るための場として、大学院における研究に一つの効用があると感じる。本書で紹介される5点すなわち、①やることの目的と価値が明確になっている、②活動を自分でコントロールできる、③活動の難易度がちょうど良い、④活動中に邪魔が入らない、⑤活動の最中、その成功と失敗が明確になる、を見ると現在の職場でこれらを全て満足させることは至難だ。ただ1つか2つの条件は工夫次第で調整できる。職場でフロー状態にもっていくための手段を考えていきたい。

  • 欧米ではあまり必要性を論じられない中間管理職である「課長」について切り込んで、具体的な処世等を記載した良書。なかなかこの手の書籍は無いので面白かった。
    書いてあることは当たり前に感じられるけれど、体系的にまとめられていて、悩んだときに立ち戻るために読むといいと思う。

  • 「課長のあるべき姿」を書いた書籍がたくさんあるなかで、
    本書の特徴は、多面かつ多層から成り立つ考察にあります。

    例えば「コーチング」を説明する項目で、
    「ストレスはどのようにコントロールすべきか」という話に発展し、
    更に「ストレスの程度ごとに人のパフォーマンスはどうなるか」という研究を引き合いに出します。

    終始この調子で、非常にロジカルで有機的な結論を導いていきます。
    これを可能としているのは、著者のインプットの多さです。
    著者の作品を読むのはこれで3冊目ですが、
    この方ほど勉強している作家はそういないと思います。

  • ミドルマネジメントに関する本。

    マネージャーに必要な能力について書かれており、様々なマネージャーに仕える中で、担当者からの目線で理想的なマネージャーについて考えることがあるが、一文の
    「どれだけ多くの仲間を助け、仲間からの信頼を集められたのかを誇れるようになれば、その人物は世界中どこでも通用する。」
    などを読むと、小手先だけではマネジメントはうまくいかないことを改めて認識する。

    参考になった点を以下に列記。
    読む時期によって参考になる点は変わる気がする。
    ・部下のプロフィールを熟知する(モチベーションを上げる)
    ・会社内での情報の流れ(課長に最も情報が集まる)
    ・例外への対応は課長の仕事(末端社員は報告すべき例外を例外として正しく認識できる力が最低限求められる)
    ・コンセプトを創造する結び目が中間管理職
    ・動き回る管理職が求められている
    ・部下のストレスを管理する
    ・コーチングスキルは普段の会話で意識することで高められる
    ・社内政治とは利害が「限られた昇進ポストと予算」で対立する、複数の勢力による「権力争い、政争」

  • 中間管理職になってすべきことに少し触れることが出来る。一般的な内容が多いため臨場感にかけるところもある。

  • 中間管理職について広く浅くまとめた本。読み応えはライト。

  • 管理者としての心得を勉強しようと読んでみました。
    ホントは、管理者の掌握すべき業務範囲を知りたかったのですが、この本はよくあるように「どのような心構えをするか」をいうことを焦点にしています。

    共感を得られた点を一つあげると、部下を叱るときのやり方。
    ① 事実を確認する
    ② 何が原因で問題が起こったか部下に考えさせる
    ③ 問題に気づかない場合は、誠意を示しつつ問題を指摘する
    ④ 部下への期待を示し、感情をフォローする

    感情をフォローするために、部下への期待を言葉で示せ、というのはちょっと勉強になりました。私は普段、なかなかうまくほめてあげられないので。

  • ● 課長の大事な仕事は、部下のモチベーションを管理する。部下が自分が会社から大事にされているという実感を持って仕事ができるかどうかが重要。部下を一人の人間として扱い、能力だけでなく、もっと人間性に興味を示してやる。

    ● 課長は異なる価値観がぶつかるポジションにある。異なる価値観をそれぞれ理解し、通訳する能力が必要。

    ● 課長は情報伝達のキーパーソン。課長のところで現場情報と経営情報が交差する。

    ● 中間管理職は、ルーティーンワークを徹底的に教え込み、ルーティーンから外れる例外を素早く発見できる仕組みを作り上げるのが第一。例外が発見されたら、それを社内でどのように解決するかを考える。

    ● 課長は管理職の最下位のポジション。係長から課長になれるかどうかがキャリアの山場。

    ● 部下の失敗は課長の失敗。部下が何かあったら課長に守ってもらえるという安心感を持って仕事ができるようにする。

    ● 部下は人前で褒める。こんな風に褒められたらうれしいだろうということを考える。

    ● 部下をしかる時は、こっそりと人がいないところで叱る。人格攻撃にとらえがちなので、自分や役員も失敗したなど、過去の失敗談をすると聞き入れやすい。

    ● 部下の叱り方(4フェーズ)
    1.事実関係を確認する。
     動機が正しく、ミスであれば問題ない。ミスならば部下に考えさせる。
    2.問題に至った原因を究明する
     → 部下が気づかない場合はヒントを与える
    3.気づかないなら直接原因を伝え叱る
    4.感情のフォローアップをする
     → へこむので、次のPJの話など明るい話題をふること

    ● リーダーシップ試論の専門家で、医師でもあるテオ・コンパノール教授(アントワープ大学)が提唱するストレス管理の理論
    ①ストレスが低すぎる
    ②ストレスをかけるほどパフォーマンスが上がる
    ③ストレスをかけるほどパフォーマンスが下がる
    ④ストレスが多すぎる
    ストレス・レベルをゾーン②とゾーン③になるようにコントロールすることがストレス管理の本質。
    課長自身や家族のストレスも含む。

    ●コーチングの前提は「問題の答えはその人の中にこそ存在する」

    ●3つの心構え
     1.人の価値を認め、可能性を信じる
     2.秘密を固く守り、信頼性を築く
     3.コーチングですべてが解決できると思わない

    ●3つの禁止事項
     1.アドバイスや指示、提案は行わない
     2.YESNOで答えられる質問はさける
     3.なぜと聞くときは非難の意味を込めない

    ●仕事に没頭する状態
     1.やることの目的と価値が一致している
     2.活動を自分でコントロール
     3.活動の難易度が調度よい
     4.活動の邪魔が入らない
     5.活動の最中に成功と失敗が明確になる

    <オフサイト・ミーティングの工夫>
    ・全員、私服で参加する(仮装、コスプレというのもあり)
    ・お互いをファーストネームで呼び合う(あだ名でも良い)
    ・「ハンカチ落としゲーム」からミーティングを始める
    ・皆で手品の練習をする(先生が必要)
    ・天気の良い日に、野外でバーベキューをしながらミーティングをする
    ・全員、長い自己紹介をする(各人30分以上が目安)
    ・失敗自慢大会(これまでに最も恥ずかしかった経験の話)をする
    ・スナック類や菓子、飴などを食べながら話をする
    ・前職の話をする(転職者が多い職場の場合)

    <オフサイト・ミーティングのルール>
    ・「自分はこう思う」という語り合いをする(議論をしない)
    ・話している人以外の人は、聞くことに徹する
    ・十分な時間を確保して、勤務時間中に行う(最低でも半日以上が望ましい)
    ・特定の誰かを批判することにならないような大きなテーマで語り合うのが望ましい
    ・テーマから外れてしまうような話も容認する(批判はなし)
    ・結論が出なくて当たり前
    ・多少の合理性が犠牲になっても、チームのメンバーがお互いに心の壁を取り払って話し合えるような状態
    にあることが理想的です。たった一度の人生で、偶然とはいえ同じチームのメンバーとして長時間を共にすることになったのですから、仲良くなれないなんて変でしょう。

    ●予算管理のルール
    1.悲観的な視点から立てる
    2.すべての数値に対して、説得力あるストーリーやデータから立てる
    3.一度決まった数値目標は100%守る

    ●人事評価のルール
    1.部下のモチベーションを上げるコミュニケーションのツールとして利用。できれば全員に高い評価。
    2.低い評価で驚かさない。できればサインを出しておく。
    3.低いときはあまり理由はいらない。今後の期待を話す

    ●問題社員に対してはどのように対処するか部長や人事が見ている。

    ●Cクラス社員に対しては自分ができることはできると思わない。できる仕事をみつけてきてあげる。

    ●心の病を持つ部下が表れる。女性社員に対して、元気がなさそうな人がいたら教えてもらうよう言っておく。また、メンタルヘルスの対応策を学んでおく。

    ●ベテラン係長は課長を攻撃してくる。これを回避するには優秀な若手係長と競わせることで、攻撃先が課長ではなくなる。

    ●自ら課長というポジションの権威付けをする。

  • ひよっこには課長なんてまだまだ先の話ですが、会社の姿を理解する一つの手段としては良書でした。

  • 「あたらしい戦略の教科書」の後にこちらを読んだ。会社組織の中で課長は最下位の管理職。現場に最も近い中間管理職。部長の部下は粒ぞろいの課長だが、課長の部下は優秀な係長から問題社員までバラツキが大きい。。。誰も教えてくれない課長の仕事術。

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著者プロフィール

株式会社リクシス創業者・代表取締役副社長。
1972年東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。
TIAS School for Business and Society
経営学修士号(MBA)首席取得。
商社にて新規事業開発に従事後、オランダの精密機器メーカーに光学系エンジニアとして転職し、オランダに約9年在住する。
帰国後はフリービット株式会社(東証一部)の取締役(人事・長期戦略担当)を経て、2016年、ビジネスパーソンのための仕事と介護の両立支援サービスや人工知能を用いた高齢者支援サービスを提供する。
株式会社リクシスを共同創業。
認定NPO法人カタリバ理事、プロ野球選手会顧問なども兼任。
過去には事業構想大学院大学特任教授、新潟薬科大学客員教授なども歴任している。

「2021年 『リーダーシップ進化論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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