- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898152850
感想・レビュー・書評
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読んでいると、穏やかなんだけど、どこか不思議な気持ちになる物語でした。
ひとつひとつの短い物語が語られ、少しずつ”甘い水”に関わる人物が増えていく。
でも、それぞれの物語や人物が繋がりそうで繋がらなさそうで、、、ちょっと混乱します。
ミトンさんのお話を読んでいると、甘い水の謎が少しわかる。
でも、わかるとまたそれは切ない。
自分にもう少し読解力があれば、もっと魅力的な一冊になっただろうなと思います。
【「私たちは、地下から湧き出る甘い水を飲むだけで生きのびている。」
ここはどこだろう。なぜここにいるのだろう。
見えない力に強いられ、記憶を奪われた女性の数奇な運命。
〈甘い水〉をめぐって、命とはなにかを痛切に描いた渾身の最新長篇小説】詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たゆたう物語。振り返ると、よくわからない。
わからないところにすとんと落ちて、満足。 -
椅子の部屋、地下通路、砂の街、十五番目の水の部屋…閉ざされた奇妙な世界を行き来しながら、途絶えることのない感情のざわめきが、静かな輪唱のように、徐々に解き放たれていく―現代を生きる私たちの寓話。見えない力に強いられ、記憶を奪われた女性の数奇な運命。“甘い水”をめぐって、命とはなにかを痛切に描いた著者渾身の最新長篇小説(「BOOK」データベースより)
既読の本を返した後、何気なく返却本のコーナーを眺めていたらこの本が目に入りました。
ちょうど東さんの『私のミトンさん』を読み終わった後だったので、「あら、東さんの本だわー」と手にとってパラパラ読んでみたら、
わーーー、ミトンさん登場してるーーー!
どうやらこっちのほうが先に出版されていたようで。
順番は逆になったけれど、またミトンさんに会えてうれしいなぁ。
アカネやミキヒコおじさんの気持ちがちょっとわかったよ。
中身はちょっと不思議な物語。
ワタクシも一応〈お母さん〉なので、ソルとレミのお話が一等お気に入りでしたが、幾度も名前を変えてもグリンを求める、フランの姿にも惹かれるものがありました。
こちらにも、小さな人たちの歌が流れていたので覚書。
やわらかい土
躍るあしあと
にじみだす水
どこでも唄う
眠るゆびさき
ねじりあう布
夢なんて見ない
くびすじに塩
雲ばかり見て
果てのない底 -
不思議で不安な感じ。
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季刊真夜中で連載の途中を読んで気になったので読む。
光がさす時間も限られ住む所も決められ、記憶もなく、
ただ甘い水だけを飲んで生きていく人の話だったので、
なんだか途中だけ読むと意味がわからなくて・・。
甘い水、小さな人、個人としての名前でなく機能重視の
物質的名前を持つ存在の人、などが出てくる不思議な話。
物語がずっと続いている訳ではなく、地上?地下?天上?など
詳しく書かれていないけれど、場所は違うが同じような時間と
環境に住む人々の話が交互に書かれている。
夢物語のような話もあれば、現実っぽい話しもあって、
とにかく作者の世界に引き込まれる。
でもどの世界もが、すべてあいまいで、ちょっと読後感悪い。
結局本として何を伝えたかったのか、いまいちわからなかった。
いしいしんじさんの不思議な物語の繊細な女性版って感じかな。
でもいしいしんじさんの物語の方がはるかに秀逸かも。 -
不思議で、抽象的な話は、どこか不安を煽る。
物語全体を自分の中でどう解釈して、消化して良いのかがわからず、読み終わった後もどうにもすっきりしない。
著者がこういう話を書くのが、少し意外でもあった。
「瓶にヒビが入ったように、目から水が出てきた。
これは、なに。
誤作動だ。私、間違ってる。壊れている。変だ。どこから、変になっていたのだろう。私から流れ出る水が止まらない。ヒビ割れがひろがっていく。私の水がなくなっていく。シバシ、これはなに。説明してください。最初から最後まで説明してください。私が失ったものを教えてください。私からうばったものを返してください。いいえ、なにもしなくていいから、とにかくここに来てください。今すぐ来てください。来なさい。来い、今すぐ、来い。
来い。」 -
地下から湧き出る甘い透きとおった赤い水を飲むだけで,生き延びる。1日のうち光のある時間は,8時間と決められ,地上の人間から,水も光も操作されてる地下生活者者。1人が消えるとまた1人が現れる。次々に命と云うか人生が引き継がれてその都度,名が変わる。
36時間不眠で活動する市長は,サイボーグなのか?小さな島の最後の生き残りの1人は,身長50センチメートルほど,という奇妙な人物設定も,SFファンタジーのような不可思議な世界観を感じさせる。
この地球上で生きる,ありとあらゆるものたちの掛け替えのない命の尊厳が,伝わってくる爽やかな読後感だ。 -
うーん面白いけれどラストがイマイチ
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不思議な話。寂しくて、向こう側に行きたいのに行けない感じ。
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SFかしら?と思わせて、ファンタジーというか心象風景というか。
穏やかで寂しい不思議な世界が広がってゆきます。
人が「部品」のように役割を決められた世界。
でもやはり部品にはなりきれない。
人には心があるから。