竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇I】 (行舟文庫 GSた 1-2)

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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (594ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909735102

作品紹介・あらすじ

世にも怪しい名短篇の世界。今なお読者を魅了する10の傑作!
山田風太郎から小松左京、中井英夫まで――一九四五年から七五年までの三十年間を対象に、大胆な着想と奇妙な味わいで今なお読者を魅了する十篇の傑作変格ミステリを、作家・竹本健治が選び抜いた珠玉のアンソロジー第二弾!SNS上で募集した「変格ミステリ作家クラブ」会員作家による作家・作品への「偏愛コメント」も収録。

◎収録短編=香山滋「処女水」、大坪砂男「天狗」、橘外男「陰獣トリステサ」、山田風太郎「死者の呼び声」、土屋隆夫「経営者入門」、日影丈吉「鵺の来歴」、陳舜臣「方壺園」、戸川昌子「塩の羊」、小松左京「共喰い―ホロスコープ誘拐事件」、中井英夫「空しい音―愛読者をさがす登場人物」

感想・レビュー・書評

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  • 錚々たる顔ぶれ選ぶの難儀したか。男女の胸中染みる香山滋『処女水』バカミス貫く大坪砂男『天狗』呼び声聞こえそう橘外男『陰獣トリステサ』キレ良い土屋隆夫『経営学入門』読みたかった陳舜臣『方壺園』既読だけど圧巻戸川昌子『塩の羊』が良い。

  • 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』(文庫判) | 行舟文化
    https://www.gyoshu.co.jp/items/61844947

  • 変格だけあって普通のミステリとは違う。
    印象に残ったのは
    『陰獣トリステサ』
    『方壺園』
    『塩の羊』

  • ミステリ方面には今一つ疎いので本格/変格の差異も理解してるとは言えないのだが、「変格ミステリ」とは即ち、こういう作品群を指すのだろう、と。前半はミステリというより怪奇、猟奇味の濃い作品が並び、後半は陳舜臣「方壺園」のように後の新本格に繋がるような作品(選評の受け売りそのままw)、その合間に大坪砂男「天狗」や土屋隆夫「経営学入門」など(敬意を込めて)バカミスと呼びたくなるヘンテコな作品が収められている。600㌻余りある本書の1/3を占めるボリュームの中篇、橘外男「陰獣トリステサ」のインパクトはこの現代でも強烈だけれど、つとに有名なエログロ猟奇そのものの主題よりも、ラスト2㌻の皮肉極まりない展開が個人的に印象に残る。小松左京「共喰い―ホロスコープ誘拐事件」は何となく筒井康隆のスラップスティック短篇を思わせる。ひょっとしたら麻雀や酒宴の席とかで筒井さんに対し、小松さんが放った「お前のドタバタ作品みたいなの、俺だって書ける」みたいな軽口がきっかけだったり……と妄想(一応合理的に着地するのがこの人の作品なのだけれど)。
    最も色々と厭な味なのは戸川昌子「塩の羊」。WW2の疵がまだ色濃く残る時代であったが故の作品だけに、描かれる悲劇、否惨劇はただ重苦しい……と同時に、登場するチーズやヨーグルトの味は……想像したくない。

  • 竹本健治が選者を務める変格ミステリのアンソロジー。戦前編に続く戦後篇の前編。終戦から1975年までの作品を集めたもの。
    戦前編はいかにも変格というラインナップだったが、本格vs変格という対立が過去のものとなった戦後だと変格というより異端・異色であったり、周縁作的な作品を寄ったバラエティに富んだラインナップになっている。
    収録作の中では大坪砂男の「天狗」が良い。また小松左京の「共食い—ホロスコープ誘拐事件」は後の西澤保彦の先駆けともいえる奇想とナンセンスが面白い。
    あと、中井英夫の「空しい音—愛読者を探す登場人物」は「虚無への供物」の登場人物が喋くるだけの短編で「虚無への供物」を読んでない人間にはさっぱり判らんが、読んでる人間にはニヤリとできる怪作。

  • 2022/06/25読了

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著者プロフィール

1904-75年。東京生まれ。47年、「オラン・ペンデクの復讐」を「宝石」に発表し、デビュー。48年、「海鰻荘奇談」で第1回探偵作家クラブ新人賞を受賞。映画『ゴジラ』の原作者としても知られる。

「2017年 『海鰻荘奇談 香山滋傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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