アンナ・カレーニナ 1 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • トルストイの大作。あまり小説は読まないのだが、野口悠紀雄氏の『だから古典は面白い』の中で紹介されていた一冊であり、とりあえず手に取ってみた。
    面白い。登場人物ひとりひとりの心の動きの描写は、もちろん素晴らしいのだが、背景となっている帝政ロシアの貴族社会がどういうものであったのか、その生活様式や習慣、生活環境などが、よくわかるように詳しく描写されており、興味深い。都会と農村の生活の違いや、自然環境、貴族と労働者との関係など、新たな発見が多かった。かなりの分量ではあるが、話に引き込まれるため、どんどん読み進められる。翻訳も良く、読みやすい。

    「(リョービン(農村地主貴族))田舎の人間は、自分の手を働きやすい状態にしておこうと努めている。だから爪もちゃんと切るし、時には腕まくりだってする。でもこの都会の人間たちはわざわざ爪を伸ばせるだけ伸ばして、皿のようにでっかいカフスボタンまではめて、もはや手では何ひとつできないようにしている」p93
    「「恋愛結婚ですって? なんて古めかしい考え方でしょう。第一、いまどき恋愛なんていう言葉を使う人がいますかしら?」公爵夫人が言った。「仕方ないでしょう。そうした愚かな旧習も、まだまだ廃れてはいないのですから」」p345

  • 素晴らしすぎて読み進めるのが勿体無いと思いつつ一気に読んでしまった。名作っつー看板や最高の小説ベストで必ずトップ3に入る評判から想像していた以上に読みやすく面白い。何気ない感情の動きや思考の流れ、内面と外面が行き戻る波のように交差する感覚など「あるある!」っつー微細な感覚を簡単に描写していて驚愕。なんという観察力なのだろう。アンナカレーニナがようやく登場したシーンの描写が凄い。文字を読んでいるのに目の前に起きているかのような、スローモーションを伴った映画のワンシーンを見ているかのような!表現力が半端ない。

  • この時代のロシアの貴族達っておもしろいなぁ

  • 第1部と第2部を収録。全体の感想は4巻に書くつもりだが、ここでは最初の印象を少し。何と言っても、人物描写が素晴らしく、ストーリーも緻密に構成されているのが冒頭から伝わってきた。今まで本書を手に取らなかったことを少し悔やんだぐらい、作品の世界に引き込まれた。第1巻では、アンナとヴロンスキーの出会い、リョービンとキティそれぞれの失恋、アンナの夫への告白、キティのドイツへの療養までを扱う。ヴロンスキーの競馬の話は、登場人物の思いが重なり、アンナの夫への告白という流れまでが綺麗だった。巻末の読書ガイドは、19世紀半ばのロシアの貴族制、都市や農村といった社会の時代背景で興味深かった。

著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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