THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス [Kindle]

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  • 顧客は購買のプロセスを、自分が決めたタイミングで、自分が信じられる有益な情報を好みの方法で入手し、営業担当者に売り込まれることなく自分のペースで進めたい。そして、自分のことを理解してくれる企業から購入したい。

    ソリューション提案型の商材では、一般に3割程度の受注率があれば優秀と言われる。

    人間はグループに分けられたとたんに敵対しやすい生き物である。そして、対立する2つのグループの関係を良好なものにするためには、共同で作業をすることによって達成可能な共通の目標が有効。

    顧客ステージを設定する上で重要な概念:チャネル、施策・コンテンツ、移行判定基準

    「当分検討は中止します」という顧客には、一定期間メール配信を止める。逆に一度失注した企業から数カ月後に頻繁にサイトアクセスがあれば、すぐ営業に通知してフォロー。

    マーケティングコミュニケーションの目的は、見込み客を次のステージに進めること。

    例えば売上1000億円以上の企業は+10、特定業種は+5、部長以上は+10、サイトアクセスは+1、セミナー登録+5、出席+10、3ヶ月サイトアクセスもメール開封もなし−10、

    属性スコアの精度を高めることのほうが遥かに重要。

    WPダウンロード後は3日、無料トライアルなら1週間はあける。セミナー参加者は翌日に感想聞く。

    顧客のビジネス課題(ビジネスイシュー)、問題点(プロブレム)、解決策(ソリューション)、効果(ベネフィット)の4つを整理して顧客にヒアリングする。

    数字に強いとは、指標の意味が分かるということではない。大切なのはデータを鵜呑みせず、数字から今何が起きているかを想像する力だ。

    指標を見るときは、瞬間を切り取ったスナップショットではなく、トレンドを見ることを意識したほうが良い。

    世の中には経営に関する理論やベストプラクティスが溢れているにも関わらず、成功する会社とそうでない会社に分かれるのは、その「実行」で差がつくからだ。

    社員が何を大事にしているかを理解する(給与などの報酬/一緒に働く人、楽しさ、安心感/ミッション/自分のキャリアの成長余地)

    仕事のリズムを大事にする。同じリズムで仕事をすればするほど「ゾーン」に入りやすくなる。同じ特徴のものをまとめて対応することによって、格段に生産性が高まる。

    ナポレオンは「人間を動かす2つのテコがある。それは恐怖と利益である」と言った。私はこの2つに「尊敬」を加えたい。リーダーは「利益と尊敬と、少しの恐怖」で組織を動かしていくべきで、その円滑油が「笑い(ユーモア)」だ。(野村克也)

  • Saasに関する書籍で最も良書だと思います。

    著者はSalesforceに所属していた経歴があり、そこでSaasの基礎を学んでいます。おそらくSaasに関してはSalesforceが最もそのKnowhowを蓄えており、そこで得た知見がこの本に詰まっています。また、カスタマーサクセスに関しても触れられています。

    Saas、カスタマーサクセスを学びたい人には必読かと思います。

  • エンタープライズ向けのソリューション活動において、非常に参考になる考えだった。
    読み込む。


    ■受注を確実にする8つの質問
    1)ネクストステップは何か。次のアポはいつか。確定してない場合は何待ちか?
    2)この会社は何をしている会社か。この会社のお客様は誰か。この会社にとっての競合はどこか。
    3)意思決定のキーパーソンは誰か。なぜその人と判断しているのか。
    4)役職は関係なく、「絶対に進めたい」と思っている人がいるか
    5)顧客が今期に発注する理由は何か
    6)予算を持っている人は誰か
    7)顧客の企業文化は
    8)もし、何もしなかったとしたら?


    エンタープライズ市場は「予算を作り出す」「コラボレーション」「個別カスタマイズ」「個別トレーニング」「接触頻度を高めて関係深化」「独創性・コンサルテーション」。SMB市場と全然違う。


    数字には、「主観が入り得ない数字」と「主観が入る数字」の2種類が存在する。そこは意識する。



    THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
     
    ■新規リードはいつか頭打ちになる
    ・そもそもB2Bの検討型・工学商材では、リード各段階で具体的に検討しているのは全体の10%程度、25%はパートナー、学生、競合など将来的にも購買に至らない層、そして残りの65%は、「将来購買の可能性はあるが、今すぐではない」という人たちだ。裏を返すと、65%のリードは時間がかかっても戻ってくる可能性があるということだ。
    ・一度商談まで進めても、途中で失注するものもある。受注した後も本来であればアップセル、クロスセルの可能性があるのに、営業のフォローが追いつかずに放置顧客となってしまうこともある。つまり、ビジネスを続ければ続けるほど、このような商談に至らないリード、失注、未フォローの既存顧客の数は増えていく。ここから再び商談化のプロセスへとリサイクル(循環)させる流れを作り、再度見込み客にできれば、劇的な効果が見込める。
    ・大切なのは「失注と未商談リード」はこれ以上リード獲得コストがかからないということ。つまり、大幅にマーケティングコストを圧縮できる可能性がある。このような課題に対するソリューションとして登場したのが、マーケティングオートメーションだ。
     
    ■顧客とのエンゲージメントが重要な時代に
    ・ワンダーマンの調査によると、アメリカの消費者の79%は「購入検討前でも、企業は『あなたを理解し、気にかけていますよ』ということを積極的に示すべきだ」と考えている。
    ・顧客の6割以上は「購買の意思決定において、価格以上に顧客体験が重要であると考えている」という調査データもある。だからこそ、メッセージやコンテンツが顧客の関心にマッチしていること、顧客にとって最適なチャネルとタイミングで届けることが求められる。
    ・2015年のフォレスターのレポートによると、B2Bバイヤーの75%は営業担当者から買うよりも、ウェブサイトで買う方が便利だと考えている。
    ・つまり、顧客は購買のプロセスを、自分が決めたタイミングで、自分が信じられる有益な情報を好みの方法で入手し、営業担当者に売り込まれることなく自分のペースで進めたい。そして、自分のことを理解してくれる企業から購入したいと考えている。優れた顧客体験は、価格や商品そのものよりも重要な意思決定の基準になっているのだ。
     
    ■データ分析から顧客の行動を理解する
    ・顧客接点がデジタルにシフトしていくことによって多くのデータが蓄積し、オンラインの行動データを分析することによって顧客の行動や嗜好を読み解くことが可能になった。そして、マーケターはテクノロジーを駆使して、顧客を理解し、マーケティングのプランを立案し、顧客との中長期的な関係を構築するようになっていく。
    ・SFAだけを使っている場合、使命、住所、電話番号といった属性情報、営業が入力する商談情報、オフラインの顧客活動履歴しか管理できなかった。部門や役職などの属性情報は変更されることもあるし、活動情報は人が入力するため、どうしても抜けや漏れや主観が入ってしまう。これではその顧客のことを知るためには十分な情報とは言えない。
    ・一方、マーケティングオートメーションを活用すれば、オンラインの行動をトラッキング可能となり、ウェブサイトの訪問履歴、クリックの情報、動画の視聴履歴、メールの開封・クリック・モバイルアプリの閲覧情報など様々な行動データを取得することができる。顧客のデジタルシフトが進めば進むほど、集まるデータが増加し、より精度の高い顧客プロファイル分析が可能となる。流入したリードを素早くフォローするだけのやり方から、一人ひとりの顧客とのエンゲージメントを高め、営業が接点を持つ前に顧客に選ばれる存在に進化するために、マーケティングオートメーションは欠かせない武器なのだ。
     
    ■パズルを解く1本の線「リサイクル」
    ・リードから商談になる過程で「今は商談には繋がらない」と判断され、商談にならなかったリード。商談として進めたが失注したロスト商談。顧客になったがフォローが漏れているためにアップセルの機会を失っている既存顧客。これらを再度検討プロセスに戻す、つまり「リサイクル」することによって新規獲得では追いつかない、必要なリード数を補うことが可能になる。
    ・しかもこのリサイクル対象の箱に溜まっていくリードは、事業年数が経てば経つほど加速度的に増えていく。このたった1本の新しい線を意識するかしないかで、まるでビジネスの組み立て方が変わってくるのだ。
     
    ■分業から共業へ
    ●協力せざるを得ない目標を与えよ
    ・必要なのは「通常と逆の流れ」をつくること。カスタマーサクセスは顧客と接する中で、何に困ることが多いのかを研究し、製品開発やマーケティングメッセージに反映させる。あるいは、営業が提案活動の中で期待値の設定を誤っていないか、顧客満足を高めるためにはどのようなリソースやプログラムが必要かといった情報をフィードバックする。
    ・営業はインサイドセールスに対して、実際に訪問した時の内容をフィードバックし、インサイドセールスの商談作成時のコメントと乖離があればフィードバックする。
    ・インサイドセールスは実際にリードと会話して、顧客がコンテンツやイベントに対してどのような感想を持っているか、どのようなキャンペーンを実施すると効果的かなどをユーザーの生の声としてマーケティングにフィードバックする。
    ・こうした双方向の流れが実現した時に、売上向上という共通目標に対して共同作業をする感覚が芽生えてくるだろう。
     
    ●チーフ・レベニュー・オフィサー(CRO)がリードする時代
    ・そしてこれらの組織を率いるには、強力なリーダーシップが必要だ。この数年、アメリカで増えつつある「チーフ・レベニュー・オフィサー(CRO)」という役職はその解決策になるかもしれない。
    ・これは、会社全体の売上に責任を持つ立場であり、マーケティング、営業、インサイドセールス、コンサルティング、カスタマーサクセスなど、売上を生み出すプロセスに関わる全ての部門を率いる役割だ。
    ・大切なのは顧客のライフサイクル全体を俯瞰して、関連部門をどのように機能させるかだ。人を採用してカバーするのか、テクノロジーの力で自動化するのかなど、常にチューニングしながら全体最適を図る役割が必要となる。売上(レベニュー)を生み出すモデルを創造し、実践するリーダーがCROという存在である。
     
    ■レベニューモデルの創造
    ●実戦で通用するモデルとは
    ・実践で使える「レベニューモデル」の導入について説明。実践で通用するというからには概念だけでもダメ、プロセスだけでも不十分だ。プロセスを動かすのは、最終的には人間。いくら科学的なプロセスを導入しても、そこに介在するのが人である限り、ヒューマニティを無視しては絶対に機能しない。
     
    ●最新の「レベニューモデル」
    ・まず、ターゲット市場に対して「認知拡大」するところから始まる。マーケティングの入り口は必ずしもウェブサイトだけではない。フォーム入力や名刺の獲得などを通じてコンタクト情報を取得すると、「リード獲得」のステージに移る。ここから「リード育成」と「育成対象外」のステージに分かれる。せっかくリード獲得できたものは、すべて等しくフォローしなければと考えがちだが、ターゲットから外れるものに関してはパワーを割いてはいけない。情報提供を通じて育成されたリードは、リードスコアリングやインサイドセールスによって、商談に繋がるかどうかのクオリフィケーション(マーケティング・インサイドセールス・営業の各部門で合意した基準による検品作業)が行われ、「有望リード」に絞り込まれる。
    ・その後、実際に営業が「アポイント・訪問」を実施し、クオリフィケーションが正しいことを確認して「商談」のステージに移る。契約後は「オンボーディング」と呼ばれるサービス提供や活用のフェーズに入る。顧客になってからは、コンサルティング、カスタマーサポート、トレーニング、コミュニティ、カスタマーサクセスなどが一体となって顧客体験を支えていく。
    ・SaaSの利点は製品・サービスそのものが顧客接点になるという点だ。そのユーザーの活用状況がトラッキングできるため、顧客の解約リスクなどを検知するといったヘルスチェックにも活用できる。そこで満足度が高まった顧客は契約更新や「アップセル・クロスセル」に繋がり、アドボケーターとなるロイヤルカスタマーがその会社のブランディングにつながる評判をクチコミで伝え、それが新しいリードや市場への認知に貢献してくれる。
    ・そして最も重要なパーツが「リサイクル」だ。「リード育成」から「有望リード」へのクオリフィケーションで落ちてしまったもの、アポイントに至らなかったもの、商談まで進んだが失注したものなどを全て「リサイクル」というステージに格納し、再度検討プロセスに戻してあげる。直線型ではなく、このような循環型のモデルを構築することができれば、ビジネスは雪だるまのように成長していくだろう。
    ・顧客ステージを設定する上で重要な概念が3つある。それが「チャネル」「施策・コンテンツ」「移行判定基準」である。
    ・コミュニケーションとは、伝えたいメッセージを「コンテンツ」化し、オンライン・オフラインを問わず様々な「チャネル」を通じて行われる。この過程でデジタルな「チャネル」を通じて顧客のデータを収集し、よりパーソナライズしたコミュニケーションを行う。

  • リードを獲得してからロイヤルカスタマーにするまで、プロセスに沿った要諦がまとまっている。新しい考え方とも言えるし、今のテクノロジーを踏まえれば当然のやり方とも言える。それが分かりやすくまとまっていた。
    特にtoBで昔ながらのやり方に限界を感じている人にはおすすめ。

  • セールスフォースジャパンを育て上げた福田さんによる、営業とマネジメントについて書かれた本。セールスフォースジャパンをあそこまで育てた結果を出している方なので説得力のある内容だったが、各プロセスで注力しなければならない項目が多岐に渡り、漏れなく実行することが困難に感じた。自分が各プロセスにいる時にその段落だけ読み返して具体的に実行していきたい。

  • ざっくり読んで、FS, IS, CSの役割の違いを理解した。

  • インターネットを THE MODEL で検索すると4分割されたプロセスのシンプルな図が出てくるが、本書を読んだ印象はそのシンプルさとは異なり、試行錯誤で作られたプロセスについての考え方が書かれている。
    また、本書で扱う範囲は営業のモデルに限らず、経営に関する他の要素にも触れていて、広い領域で応用が効きそうである。

    本書の立場は、「おわりに」の冒頭に書かれている文章を引用するとわかりやすい。

    > 本書は、戦略、プロセス、人材・組織・リーダーシップという観点で、私自身の経験を交えながら、自社にとっての「ザ・モデル」を創るためのヒントを解説してきた。(おわりに)

    6章では本書が執筆された時点で筆者が最新としている「レベニューモデル」が紹介される。これは認知拡大から商談成立後のサポートを含むプロセスを細かく分解した絵になっていて、そのプロセスを大まかに「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」と4つに分けて考えている。
    4つの各プロセスを移行する判定基準を本書では移行判定基準と呼んでいて、この図は検索して見つかる図に似ている。ただし実際に紹介されているプロセスは、リサイクルやブランディングなどプロセスを逆行する要素も含んでいるので、同一視はできない。

    共業についての記述があり、これらはモデルの構造には絵として表現されていない要素で、参考になる。モデルの構造は本書の主題でありもっとも理解するべき点だと思うが、その背景にある考え方も併せて認識しておきたい。

    > 実戦で通用するというからには概念だけでもダメ、プロセスだけでも不十分だ。プロセスを動かすのは、最終的には人間。いくら科学的なプロセスを導入しても、そこに介在するのが人である限り、ヒューマニティを無視しては絶対に機能しない。(実戦で通用するモデルとは)

    > 「逆の流れ」を作ること。... 双方向の流れが実現した時に、売り上げ向上という共通目標に対して共同作業をすると感覚が芽生えてくるだろう。(分業から共業へ)

    第4部「3つの基本戦略」では「市場戦略」「リソースマネジメント」「パフォーマンスマネジメント」、第5部「人材・組織・リーダーシップ」では「人材と組織」「リーダーシップ」というテーマについて書かれている。これらはモデル化はされていないものの、経営に関する筆者の視点が書かれていて参考になる。

    本書で推薦されていた『経営は「実行」』という本も後ほど読んでみたい。

    > 経営とはメンバーを採用し、チームを作り、リーダーシップを発揮してみんなを導いていくこと。世の中には経営に関する理論やベストプラクティスがあふれているにもかかわらず、成功する会社とそうでない会社に分かれるのは、その「実行」で差がつくからだ。(マネジメントとしての骨格を作ったもの)

  • 2024/01/22
    2024年1冊目。SaaS業界のバイブル的な本。一度読んでおくべき。

  • 再読してたらしい

  • 営業のプロセスに疎かったので(元々興味がなかったのですが)、お勉強。
    営業を科学的に行うといいのが良いですね&外部の方とやり取りしていると、The Modelは常識になっているっぽいことを実感中

    新しいことをする際、
    違いに目を向けるより、共通点に目を向けてそれを利用することのほうがはるかに有意義
    というのが印象的。確かに「根本は同じですよ」と言いながら進めると同意を得て進めやすい

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