言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 内容はとても専門的なのだが,個人的にはあまりそそられなかった.
    本書のタイトルは「”オノマトペ”が言語の本質」としても良いのでは?というくらいオノマトペに割かれるページ数が多かった.
    ChatGPTなどのLLMの限界や可能性を知るうえで本書が重要な情報を提供してくれることを期待して読んだので,その観点で得られるものがあまりなかった.

  • この本を呼んだら世界の見え方が変わる!
    との触れ込みで呼んでみたけど、そうでもなかった。
    オノマトペの仕組みから始まって、言語とはどんなものなのか、人間はどのように言語を習得してゆくのかを示した本。

    人間はA→B ならB→Aを理解できるけど、チンパンジーはA→Bまでしか理解出来ないってのは面白かった。

    私 エサ 欲しいとか、私 散歩 欲しいみたいに犬にボタン押させて、言葉を話させるボタンがあるけど、あれはどうゆう原理で成り立ってるんだろう?
    動物は自分の起こす行動しか認識出来ないらしいし、ただボタンの順番を覚えてるだけなのかな?

  • この本を読みたかった理由は記号接地問題をもう少しきちんと理解したいからでした。AIには本当の理解ができない。それは接地していないからという記号接地問題。これをもう少し学びたかった。ただ、最初にオノマトペの話が延々と続き、あとは試験もあって、遅々として進まない状況が続いたのだけど、試験も終わって、やっと読み終わって、そしてやっぱりとても面白かったです。

    言語を習得するということは、人間の五感を使いながら自分の中に言葉の意味のスキーマを作っていく作業が最初にあるというのが基本。まず母国語をそうやって肌感覚でいろいろなWordの持つ意味を会得しながら、さらに新しい語彙を習得していく。赤とオレンジ、どこまでが赤でどこからがオレンジなのか。そういうのを含めてスキーマが造られていく。新しい言語を習得するときは、母国語のスキーマがあるために母国語に一度置き換えながら新たなスキーマを作っていくわけだけど、そこは母国語を習得するというのとは結構違うということかな。いずれにせよ、知識のスキーマを作っていくというのは非常にわかりやすい。新しい分野の勉強をするときも、字面は追えるのだけどなんだか腹落ちしないというか理解がついていかないところがあるのだけれど、本を数冊読み終わったくらいから、しっかりと理解がついていくという経験は何度もしている。そういう知識体系ができていくと、そこをベースに知識を拡張していけるというのは何ともわかりやすい。

    あと、人間が、ホモサピエンスという種が言語を取得できたのはアブダクション推論のおかげというのはとても説得力がある話だ。人間は対称性推論をするけど、チンパンジーは対称性推論が行えない。言語の学習には、記号と対象の間の双方的な関係を理解し、どちらかの方向(例えば記号A→対象X)の結びつきを学んだら、その結びつきの逆方向(対象X→記号A)に一般化できると想定する必要があるらしい。ここが人間が言語を取得できた大きなポイントであるというはとても勉強になりました。

  • 話題の本だったが、私には難しすぎる。というかここまでの興味はない。

  • アブダクション推論
    推論しながら学び、学習方法も学びながら、体系立てていく営み

  • とても、とても読みやすかった。

    普段自分が頭の中で考えていることを
    言語化され、定義されるのは快感があるなと思いました。

    私は、この手の新書を読むのがとても苦手で、
    読んでいると自分の頭の悪さや、
    学生時代に国語がてんで苦手だったこと、
    文字を読むのが遅いから、
    読むのが嫌になった過去があることなど
    色んなことを思い起こし、
    その度に「私はやっぱりダメなやつだ」
    と思う感覚に陥ることが多かった。

    今回この新書を選んだのは、
    ・読書量を増やしたい
    ・偏らず様々なジャンルの本を読みたい
    ・知識を増やしたい
    などの思いに駆られ、その上で何を読めばいいか
    迷っていたときに、ブクログの新書大賞を受賞された
    本作がたまたま目に止まっただけでの話。

    単純な理由で選んだからこそ、
    この本の面白さに倍、驚いたんだと思いました。

    具体的なエピソードとしては、
    「あ」は「い」より大きいものを指すことが多く、
    それは英語の「a」「i」とも少なからず対応し、
    それらの理由として、発声の際の喉の動きの大小が
    起因している部分もある、という話がとても感慨深かった。

    日テレの「世界の果てまでイッテQ!」で、
    出川哲朗さんが英語圏の国で街の人たちに質問をして、
    お題に出された答えを出すというコーナーがあって、
    私はそれを見るたびにクスクス笑ってしまう。

    出川さんは英語話者でなく、質問を投げかける
    英語話者に対してはカタカナ英語や日本の英語風で質問し、
    その回答の断片でだいたいの予想をつけて、
    なんだかんだで答えに行き着いてしまう。

    この前の放送でも、目的地の寺院について、
    "「ツルツルボーイズ」が「メニメニ」いるところ"と
    説明していた。ここにオノマトペが1つと
    造語のオノマトペが1つ使われている。

    この言葉から、本書が分析している
    "子供の言語の理解には、オノマトペが必要だ"という
    事実を垣間見た気がした。

    オノマトペ研究をする著者の言語に対応するアプローチは、
    段階を踏んで深く深く掘り下げて解説されている。
    "対称性推論"や"アブダクション推論"などの
    話に至るまでに、たくさんの具体例を含めて
    分析されたこの文章、忘れないでいたいと思いました。

    最後に、この感想すらうまく書けない自分に対し、
    まだまだ勉強を続ける意味があると思わせてもらえました。

  • ■感想
    ◯疑問に思って、そのたびに解を見つけ出そうとしている。姿勢がすばらしい。読んでいて楽しい。
    ◯過剰一般化バイアスを持つことが、人間に本質的に備わった力であるのが印象的。間違いも犯すけど、ブーストラッピングサイクルで学んで知識を更新する基盤にすることもできるとあった。

  • 【企画展示】姫路大学学生の 読みたい本 読んでほしい本
    姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→
    https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00003826

  • 記号設置問題はついぞ理解できずじまい。
    オノマトベの実例や子供の言葉獲得への例がとても楽しい。
    言葉って単に記号かと思っていたけれど、おもしろいね。猫のにゃあにも種類があるし、鳥のさえずりにもしゅるいがあるけど、言葉とは言わない理由がわかりました。

  • ヒトはどのように言葉を学び、その過程でオノマトペはどれほど重要な役割を持っているのかを解説した良書。後半のAIとの言葉に関する話の展開も大変興味深かった。

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著者プロフィール

今井 むつみ(いまい・むつみ):1989年慶應義塾大学社会学研究科後期博士課程修了。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。慶應義塾大学環境情報学部教授。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。著書に、『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)、『言葉をおぼえるしくみ』(共著、ちくま学芸文庫)、『ことばと思考』『英語独習法』(ともに岩波新書)、『言語の本質』(共著、中公新書)などがある。

「2024年 『ことばの学習のパラドックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今井むつみの作品

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