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感想・レビュー・書評
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アブダクション推論
観察データを説明するための仮説を形成する理論
言語学習の本システムであるブートストラップサイクル。既存の知識が新たな知識を生み、語彙の成長を加速させ、さらに言葉を学習するときの手がかりとなるバイアス自体、つまり学習の仕方を洗練させていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
認知科学と言語学のコラボレーションから言語の不思議に迫る良書。前半はオノマトペを中心に扱い、後半はアブダクションを扱い、それらの知見から言語の誕生・進化・習得に対しての仮説を組み立てていく。その組み立ての道程からも学びが多い。言語に興味のある学部生にぜひ読んでもらいたい。
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面白かった.人間の会話や行動がいかにアブタクション推論によって行われているか,考えさせられた.
言語を獲得する際に行う対称性推論が人間特有として生まれながらに備わっているという実験方法,結果も興味深かった.
アブタクション推論も人間特有であり,誰でもできることだからこそ,「言葉をそのままに理解する」ことができず,過剰な一般化や論理の飛躍が発生し,いくつかの社会問題も起こっているのかな....などと考えた. -
普段何気なく使っている言語
それがどのようにしてもたらされたのか
オノマトペはなぜ言語によって異なるのか
だが、共通するところもある
「当たり前」が「当たり前ではない」ことに気付かされる1冊。言語の捉え方が変わった -
タイトル買い。言葉を学習する人間(の赤ちゃん、幼児)に着目したオノマトペの話を興味深い。チンパンジーはアブダクション推論をしないから言語を学べない。でも個体差あり。これって進化の途中を感じさせるよなあ。
多言語の発音から意味を推量するというのが可能なのがすごかった。母音、子音って単なる音の差ではなかった!のにびっくり。
”人間は、アブダクションという、非論理的で誤りを犯すリスクがある推論をことばの意味の学習を始めるずっと以前からしている。それによって人間は子どもの頃から、そして成人になっても論理的な過ちを犯すことをし続ける。しかし、この推論こそが言語の習得を可能にし、科学の発展を可能にしたのである。”
人間が言葉に迷っていくというのは、本当だったのだ。過ちを犯し続けるのだ。 -
要旨はこれまでの今井先生の著書や「ゆる言語学ラジオ」で知っていたから大きな驚きはなかったが、オノマトペという身近でキャッチーなテーマから、一歩ずつ着々と、言語の本質・起源、人間が人間たる理由など、エベレストのような高いテーマへ進んでいく本書の流れは惹き込まれた。マクロな問いに挑む本もたまには楽しい。
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なぜヒトだけが言語を持つのか。
言語の発生とは。
それを考える上でオノマトペとアブダクション推論という人間特有の学ぶ力の重要性。
認知心理学者と言語学者の面白い言葉の不思議の物語。 -
話題の『言語の本質』を読んだ。最近仕事でLLM周りをリサーチすることも多かったので、原理的に自然言語の仕組みというか大胆な仮説を読み込む過程がエキサイティングだった。記号接地問題や言語の身体性、自分の知識が浅かった部分がアップデートされた気がする。