オノマトペの話。
オノマトペは、ギリシア語でオノマ(名前)+トペ(作る)で名前を作るという意味。いわゆる擬音語。
音のアイコン性がある。gやzやdの様な濁音は程度が大きくマイナスのイメージを伴いやすい。ゴンゴン、ザクザク、ダンダン
発音のアイコン性。「あ」や「お」が大きいものと結びつき、「い」が小さいものと結びつく。口の大きさ。「おおきい」と「ちいさい」。これは赤ちゃんですら気づいている法則。
実在しないが、阻害音からなる「ザカド」「クシポチ」「テスッソ」は硬い響きを、共鳴音からなる「メレノ」「ヨヌルナ」「ワモンニ」は柔らかい響きを持つ。
上記は耳が聞こえない人でも、その感覚がわかる。ただし、何かを咥えさせて質問するとわからないらしい。
「かたい」はk、tという阻害音を、「やわらかい」はy、w、rという共鳴音を含んでいる。そのため、日本語を知らない外国人に「どちらがsoftでどちらがhard?」と聞くと、多くの人が正解する。
複数の言語で共通音がある。主食には、ぱ・ば・ま・ふぁ・わ、が使われることが多い。
鼻にはnが使われることが多く、舌にはlが使われる事が多く、粗いにはrが使われることが多い。
赤ちゃん言葉の「まんま」はトルコ語は「ママ」スペイン語は「パパ」
現代の普通語も、元々オノマトペだったものがある。「たたく」は「タッタッ」から、「ふく」は「フー」から(くは動詞化の古語)、「すう」は「スー」から。
「はたらく」も「ハタハタ」から。カラス、ウグイス、ホトトギスもそれぞれ、カラ、ウグヒ、ホトトギに、鳥を表す古語のスがついた。
オノマトペの動詞化。平安時代には「めく」を付けた。「ふためく」「がらめく」「そそめく」など。同じ頃、「ゆらりと飛ぶ」のように「と」をつける副使用法も一般化する。その後、「めく」はすたれて「つく」になる。「うろつく」「ふらつく」。江戸時代には「ぶらぶらする」など「する」が登場して現代っぽくなった。
2歳児は片方向しか解らないことが多い。バナナを黄色と言うが、黄色の積み木を取ってと頼むと違う色を取る。ガヴァガーイ問題。
「開ける」は多くの子供が過剰一般化する。トイレのドアを開ける。ミカンを食べたい時に開けてと頼む。日本語だと誤りだが中国だと正解。中国語の開は日本語と同様の意味に加え、電源を付けたり車を運転するときも使う。
入るも過剰一般化される。お風呂でバスタブに入る時も入ると言うし、バスタブから出る時も入ると言う。これは、「入る」を「跨いで移動する」と認識しているため。
小さい子供は知らない単語を聞くとモノの名前だと考える傾向がある。
小学五年生の調査で、1/2と1/3のどちらかを尋ねると半数は間違う。中学2年生に99/100>100>101/100 と 99/100>101/100>100のどちらが正しいかを選ばせると半数以上が間違う。
分数が接地していない。
コップとハニーディッパーが目の前にある状況で「ハニーディッパーを取って」と言われたら、躊躇せずハニーディッパーを手渡す。2歳以下の子どもでも、未知の名前は自分が名前を知らないほうのモノの名前だと思うのだ。これを相互排他性バイアスという。