- 笑う警官(新装版)道警シリーズ (ハルキ文庫)
- 佐々木譲
- 角川春樹事務所 / 2024年2月8日発売
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道警シリーズのシーズン1が、今年発売された「警官の酒場」で完結。
ずっと読み続けてきたシリーズだったので、最初から読み直したくなって読み返しているところ。まずは、「警官の酒場」で登場したピアニストさんのことをすっかり忘れていたので、彼女が出てきたはずの「憂いなき街」を読み返して、それでも飽き足らず、シリーズ第1作目の「笑う警官」を再読しました。
いやーーー、面白かった!
大体のストーリーは覚えていたので、結末は分かっていたのだけれど、これから長いシリーズになった道警シリーズの登場人物たちの「最初の頃の姿」や「人物紹介」などをじっくり堪能させてもらいました。
そして、ストーリーも素晴らしい。
道警シリーズは、タイムリミットがある、緊迫した捜査を題材にすることが多い気がしているのだけれど、第1作目のこれも、時間経過はほぼ1日。信じている同僚の命が危ない、という状況で、主人公の佐伯の頭の良さと人望の厚さが際立っているストーリーでした。
道警シリーズ1〜3作は、「現場警察官」対「警察組織悪」という構図。
組織の話にもなるので、ちょっと難しい部分もあるのだけれど、それだけに深みがあって面白い。
と言うわけで、たくさん積読が溜まっている状況ではありますが、道警シリーズの再読、続いてしまいそうです。
(図書館で借りたものも多かったので、えいや!とKindleで買い直しました。本への出費は別腹!?)
2024年4月25日
- 憂いなき街 北海道警察 (ハルキ文庫)
- 佐々木譲
- 角川春樹事務所 / 2015年8月18日発売
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佐々木譲さんの「憂いなき街」再読。
佐々木譲さんの新作「警官の酒場」に出てきた女性ピアニストが、過去作に出ていた人だと分かったんですが、どんな話かすっかり忘れている!ということに気がつきまして、「憂いなき街」を再読することにしました。
読んだはずなのに、あんまり覚えていなかったー! 読み返してよかったー!
津久井の純情の物語だった、という感想だけは覚えていたんですが、あぁ、そういえばそういうことがあったんだよな、と。
道警シリーズ、作品としては11作、20年にわたる作品になっているけれど、ずっとメンバーが変わらないということを考えると、実際には数年の間に起こった出来事、という感じの想定なのでしょうね。時事ネタ的に北海道内でのサミットの話があったり、コロナ禍の話があったりはしたけれど、その時系列はリアルに寄せずに読んでもいいんだろうと、勝手に推測してます。
津久井の純情、あれから数年で伏線回収できたのだと思いたい。
さて、「憂いなき街」を再読したら、いろいろな伏線に気がついてしまったので(新宮の合コン話とか!w)、道警シリーズ、最初から読み直したら、もっといろいろなことに気がつけるのでは?!と思い始めてしまいました。
読みたい本が山積みになっているのに、これから10冊ほど再読に充てられるのか?私?
2024年4月25日
- 葬送のフリーレン(13) (少年サンデーコミックス)
- 山田鐘人
- 小学館 / 2024年4月17日発売
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「葬送のフリーレン」13巻読了。
前巻からの続きの「女神の碑」の一連のストーリーが終了し、フリーレン一行は帝国領へ。途中の町で、いろいろなことに出会して、それぞれ過去を思い出し、少しずつ勇者一行のメンバーへの想いを強くする。
と言う感じ。
また新しいエピソードが始まって、その途中になっているので、次の巻が待ち遠しい、と言うところ。
2024年4月25日
- ダンジョンの中のひと : 1 (webアクションコミックス)
- 双見酔
- 双葉社 / 2021年2月18日発売
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KindleUnlimitedで見かけて、ちょっと面白そうだなーと手に取った1巻。
面白かったー。
ダンジョンに1人で挑戦し続けるシーフの探究者が主人公。冒険者がたどり着いた最深部である地下7階に入ったところで、モンスターとの戦い中に壁が壊れて…
ダンジョン管理者の部屋に入っちゃった!?
え?管理者って?コントロールルームって?えええ?
で、管理者さんにスカウトされて、ダンジョンの運営側に就職することに!
ダンジョンの裏話を知る、という、ちょっと普通のダンジョンものとは視点の違うストーリー。
絵も、割とほんわかとしているし、続き、読み進めてみようかな。
1巻だけでもKindleUnlimitedに入っているといいですね。新しい漫画に気軽に出会える!
2024年4月21日
- 走る奴なんて馬鹿だと思ってた
- 松久淳
- 山と溪谷社 / 2019年6月15日発売
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作家の松久淳さんのランニングエッセイ。
30代後半から定期的に不調な期間が訪れるようになって、医者に診てもらうも、特に大きな病気はないと言われ続け、そして「陽の光を浴びて運動した方がいいですよ」と言われ続ける…。
そこで、一念発起して外をちょっと走ってみたのがきっかけで、ウエアやサングラスを揃えてみたり、走るコースを考えるのが楽しくなったり、だんだんランニングにのめり込んでいき、数年でフルマラソンに出るまでになってしまった、ということが面白おかしく描かれているエッセイでした。
ランニングアプリで記録したランニングの軌跡を眺めて悦にいったり、新しいコースを発見して楽しくなったり、シン・ゴジラの上陸した道筋を走ってみたり、なんとなく、「その気持ち、わかるーーー!」と思いながら読めました。
文体もとても読みやすくて、シャレも効いてて、ほんと、面白かった。
なんかね、人って、こういう風に趣味の世界にずるずると足を取られて、絡め取られていくんですね〜。
2024年4月21日
- ふしぎの国のバード 11巻 (HARTA COMIX)
- 佐々大河
- KADOKAWA / 2024年4月15日発売
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「ふしぎの国のバード」11巻読了。
明治時代に実際に文化を調査するために日本に来ていたイギリス人女性イザベラ・バードさんをモデルにした漫画の11巻。フィクションも含まれているとのことだけれど、通訳1人と同行して女性が1人で記録を取りながら旅するなんて、きっとと勇気のいることだったでしょう。
前巻で、やっと蝦夷(北海道)に上陸したバードさんと通訳の伊藤。伊藤の雇用をめぐって、植物ハンターのマリーズといざこざがあったけれど、1ヶ月だけ伊藤を借りる、ということで決着。その1ヶ月の間に、アイヌの文化を調査しようと、蝦夷の内陸部に向けて旅を続ける、というのが今回の巻。
言葉の通じないアイヌの人々との信頼関係を築けるのか!?
2024年4月19日
佐々木譲さんの道警シリーズ最新作「警官の酒場」読了。
帯に「第1シーズン完!」と書いてある。これでひと段落になるのか、と、ちょっと心して読みました。道警シリーズはこれで11作目。
今回も、今までのメンバー、佐伯+新宮、津久井、小島が活躍。警察組織に反旗を翻したことがある佐伯は、相変わらず小さな窃盗事件ぐらいしか与えられないが、頭の回転の良さと誠実さで大きな事件へのヒントを掴んでいく。
今作で描かれているのは闇バイトによる犯罪。
いつものように、メンバーたちが活躍して、事件を解決して、そして、第1シーズンの終わりにふさわしく、それぞれがそれぞれの決断をする。
あぁ、もう、この4人が今までのように協力して活躍することはなくなるのか、と思うと寂しい。
続きを書く予定があるのかどうか、と、ちょっとググってみたら、佐々木譲さんと角川春樹さんの対談記事を見つけまして、そこには、ちゃんと第2シーズンの構想が!
今までのように、同じ署内で事件を追うことにはならないでしょうけれど、きっとちょこちょこと他のメンバーも出てきてくれるんじゃないか、と期待しよう。
2024年4月16日
- きりこについて (角川文庫 に 19-1)
- 西加奈子
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2011年10月25日発売
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西加奈子さんの「きりこについて」読了。
ちょっと前に、西加奈子さんの「くもをさがす」というエッセイ闘病記を読んで面白かったので、ちゃんと作品を読んでみようと思っていたところ、知り合いから「きりこについて」が面白かったよ、という情報をいただきまして、読むことにしました。
「きりこはぶすである」(「ぶす」は太字!)
から始まる不思議な小説。主人公である「きりこ」が飼っている猫(ラムセス2世)が執筆したという設定の物語。「体は容れ物に過ぎない」んだから、みんな思うように生きたらいいんだよ、というのが主題? それにしても、なんだか、ちょっと現実ばなれした、不思議な魅力のある話でした。
ってか、エッセイとおんなじ勢いで書かれている「小説」に、なんだかびっくりしました。登場人物たちはみんな関西弁で喋っていて、え?そんな設定?と最初は思うことがたくさん出てくるのに、読んでいるうちに、それが「当たり前」のことに思えてくる自信満々の流れに、主人公「きりこ」と同じ勢いを感じました。西加奈子さんという人は、「きりこ」と同じオーラを纏っているのかもしれない。
いやー、すごい。
がぜん、西加奈子さんという作家に興味が湧いてきました。
他の本も読んでみよう。
2024年4月12日
- 北海道警察10 樹林の罠 (角川春樹事務所)
- 佐々木譲
- 角川春樹事務所 / 2022年12月18日発売
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佐々木譲さんの道警シリーズ「樹林の罠」読了。
道警シリーズ、好きなんですが、最新作をチェックするのをしばらく忘れていまして、3冊ほどたまっちゃっていました。一気に読むぞー!の2冊目。「雪に撃つ」に続けての「樹林の罠」です。
今回も、遊軍扱いの佐伯+新宮チームと、機動捜査隊の津久井と、少年課の小島が、それぞれの受け持った事件に、実は隠れたつながりが!?という展開。
佐伯も、津久井も、小島も、職務に対して、そして被害者に対して、真摯な向き合い方をしていて、読んでいて気持ちがいい。
そして、今回は、情報共有だけではなくて、現場で協力するみんなの姿が見られてハラハラワクワクさせられました。
物語のプロットとしては、いつも似た感じなのかもしれないな、とは思うのだけど、登場人物たちの魅力が物語を成立させている気がします。あとは、テーマが毎回興味深い。今回は「盗伐」。そんな犯罪があるのか!という気づきを与えてくれました。
それにしても、佐伯、かっこいいですね。
どうやら私は、情に厚く、真摯な正義感を心に秘めた「イケオジ刑事」が好きみたいです。道警シリーズの佐伯とか、ノルウェーミステリー作家ホルストが描くヴィスティングとか、(書籍ではないけれど)イギリスのドラマ「刑事フォイル」のフォイルとか。
いやー、かっこいい!
よし、次は、最新作の「警官の酒場」を読むぞっ!
2024年4月11日
- 雪に撃つ 北海道警察 (ハルキ文庫)
- 佐々木譲
- 角川春樹事務所 / 2022年5月18日発売
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佐々木譲さんの道警シリーズの新刊「警官の酒場」が発売されたというニュースを見て、あれ?もしかしたら読んでないのがあったかも?と確認してみたら、すでに気が付かずにスルーしていたのが2冊も発刊されていたことに気がつきました!!
というわけで、その1冊「雪に撃つ」をKindleでポチり。
あっという間に読み終えました。相変わらず、魅きつけ方がうまい!
札幌雪まつりの前夜祭から1日目にかけて起こった事件を描いた小説。
道警シリーズのいつものメンバー、佐伯+新宮、津久井、小島が、それぞれに違う事件の捜査を始める。けれど、それぞれの事件に少しずつ関連が見えてきて、札幌市内をそれぞれが動き、それぞれが真実を少しずつ掴んでいって…、というハラハラする展開。
今回扱っているのは、外国からの技能実習生にまつわる問題点。あまり知られていない分野だけに、興味もわく。
ストーリーの作り方もうまいけれど、わたくし的には、登場人物たちの活躍が嬉しい。シリーズであるからこその、「知っているキャラがいつものように動いている」という安心感。そして、少しずつ時間が経って変化していく彼らの生活や心情。
佐伯と小島の関係に、ちょっと気になる展開が起こりそうなので、引き続き「樹林の罠」を読む予定。
2024年4月5日
- ナースのチカラ plus【電子単行本】 2 (A.L.C. DX)
- 広田奈都美
- 秋田書店 / 2024年3月14日発売
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「ナースのチカラplus」2巻読了。
訪問看護ステーションに勤務する看護師たちの物語。
「ナースのチカラ」(11巻完結)の続き。1巻も読んでいたんですが、ここに登録するのを忘れていました。「ナースのチカラ」よりも、登場人物たちの内面や物語にスポットが当たっているような感じがします。まだどんな方向に進んでいくのかわからないけれど、訪問看護の利用者のエピソードや、看護師たちの奮闘ぶりを知りたいので、続きも読んでいこうと思ってます。
2024年3月31日
- ライジングサンR : 14 (アクションコミックス)
- 藤原さとし
- 双葉社 / -
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「ライジングサンR」14巻読了。
前の巻では、噴火した山に救助に入ったレンジャー部隊が、生存者を見つけられずに、遺体を1体だけ乗せて帰還したところまで。
本来なら、生存者のみしか救助できないところを、主人公・甲斐が、家族のところに戻してあげたいという一心で連れ帰った。遺体を連れ帰ったことに対する規則や考え方に対しての考察もあったし、生存者を見つけることができなかったことで気持ちが落ち込む隊員たちのメンタルケアに対しての話や、遺体を触ることができなかった隊員の心情など、辛い物語が続いていました。
14巻では、SNSでの自衛隊への批判や、遺族からどう思われるのかという葛藤などを抱える隊員たちの心情が描かれていました。
そして、救助開始から二日目。山にある4つの山荘に、分散して救助に向かう隊員たちがみたものは…。そして、救助を待つ生存者たちは…。
全体的に辛い話になっているけれど、頑張ってくれている自衛官たちに感謝しながら読みました。
物語が少しずつしか進まないのが焦ったい〜。あっという間に読み終わり、そして、次巻がもう待ち遠しい。
2024年3月28日
- 今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校
- ぱやぱやくん
- KADOKAWA / 2023年7月28日発売
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ぱやぱやくんの書籍「今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校」読了。
以前に「陸上自衛隊ますらお日記」を読んだことがあって、面白かった記憶があったので、ふと見かけたこちらも買って読んでみました。
この本は、「防衛大学校」での日々を描いたもの。
知らない世界を知ることができて興味深く読みました。
厳しい世界で鍛えられた学生たち。
学生時代の辛かったことや、その中で得られた感動などを、読みやすく、そして楽しく書いてくれています。
防衛大学校も自衛隊も、私の人生の選択肢の中には上がったことはない道だけど、その道を進んだ人の話を聞けるのは面白い(興味深い)。
また、ぱやぱやくんの本、読も〜。
偶然ですが、この本を読み終わった今日、自衛隊のレンジャーを描いた漫画「ライジングサンR」の14巻が発売され、予約購入だったので、自動的にKindleに配信されました。自衛隊に憧れでもあるのかな、私。
2024年3月28日
- 永遠と横道世之介 上
- 吉田修一
- 毎日新聞出版 / 2023年5月26日発売
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2024年3月25日
- 「十二国記」アニメ設定画集
- 山田章博
- 新潮社 / 2024年3月15日発売
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「『十二国記』アニメ設定画集」購入!!!
端書(はじめに)に山田章博さんも書かれていましたが、「十二国記」を知ったきっかけがアニメである人が多いとのこと。何を隠そう、私もアニメから知り、その後、原作の「十二国記」にハマっていったという経緯でした。
そんなわけで、新しく画集が出るということで予約して購入。全部じっくり見てからブクログに登録しようかと思っていたんですが、これ、資料的価値も高すぎて、読むところも多すぎて、「読み終わらない」!
ということで、「読了」ではないけれど、登録しておきます。
キャラクター設定画に添えられている山田先生の注釈の多さと、その字の美しさに、ほぅ、となりながらも、日々眺めております。
アニメ、また見直したくなってきたなぁ。
DVDもちゃんと買ってあるので、いつでも見れます。うふふ。
20年の時を超えて、続きをアニメ化する、なんて話はないんでしょうか。青年になった泰麒が動いている姿(そう、特に『白銀の墟 玄の月』のあのシーン!)が見たい。
2024年3月21日
- 無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記
- 山本文緒
- 新潮社 / 2022年10月19日発売
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山本文緒さんのエッセイ「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」読了。
何をきっかけにこの本を知ったのか忘れてしまったのだけど、闘病エッセイであることを知っていて読みました。そして、著者がもう亡くなっていることも。
先日読んだ西加奈子さんの「くもをさがす」を読んだ時にも思ったんですが、その作者の著作を読んだことないくせに、闘病記だけ読むって、なんか、失礼ですよね。ほんと。ごめんなさい。
2021年4月に膵臓がんステージ4b、余命4ヶ月だと診断された著者が、5月から、亡くなる数日前まで書いていた日記。そのときどきの感情を、取り乱すこともなく、割とたんたんと綴ってくれている日記。
闘病記を読むと、ちょっと重たい気持ちになる。まだ死をそんなに意識したことがない私に、死が近くにある感覚を抱かせる。
でも、この本は、たくさんのヒントをくれたように思います。自分の気持ちをたんたんと書くこと、状況を客観的に把握すること、時にはつらい気持ちに落ち込むこともあること、それでも、自分を観察する自分がいることが、何らかの安定をもたらすかもしれないこと。
人はいつか死ぬことだけ決まっているけれど、それがいつなのか、どんな状況なのかは全然想像がつかない。もし、私が病気で死を待つ状態になったら、日記を綴ろう、と思いました(実際にはできないかもしれないけど…)。
静かになった世界で、王子様の声が聞こえていますように。
2024年3月21日
- クスノキの番人 (実業之日本社文庫)
- 東野圭吾
- 実業之日本社 / 2023年4月7日発売
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東野圭吾の「クスノキの番人」読了。
感動できるヒューマンドラマでした。家族の絆について考えさせられました。
どんな話か事前情報なしに読み始めたので、途中で「ここで殺人事件が起こるのか?」とか「クスノキの仕組みが科学的に解明されるのか?」とか、ちょっと邪念が入ってしまいましたが、最後まで穏やかに、そして心に響く物語でした。
東野圭吾さんなら「科学ミステリーだな」なんて思い込みで読み始めちゃってすみません。失礼な読み方ですね、ごめんなさい(笑)。
480ページという、文庫としては分厚い本でしたが、読み始めたらどんどんと引き込まれていきました。さすがですね。
苦労して育った主人公くんですが、基本的にはとても頭の良い青年でした。少し前に読んだ「ルポ誰が国語力を殺すのか」とか「ケーキの切れない非行少年たち」のように、他人の痛みがわからない青年に育たなくてよかった…、と、なんか変な方向からの感想も抱きつつ読みました。
2024年3月19日
- 『金の国 水の国』 DVD
- バップ
- バップ / 2023年7月12日発売
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劇場版アニメ「金の国 水の国」を観ました。
ほんわかと柔らかい映画でした。
原作の雰囲気、まんまで良かった!
漫画の方も読んでいまして、漫画の方もすごく良かった。
劇場公開された時にも気にはなっていたんですよね。でも、主役の2人の声が声優ではなく、顔の見える俳優が担当しているのが気になって、ちょっと二の足を踏んでいたんですよね。
AmazonPrimeに入っているのに気がついて、観てみたら、主役の声、全然気にならない!大丈夫だった!
そして、絵の雰囲気も、テンポ感も、原作の雰囲気そのままという感じで、とても好感が持てました。
ほんわかしている物語ですが、考えさせるところも多いので、いいアニメだと思います。
※DVDで登録したけど、実際にはAmazon Primeで。
2024年3月15日
- ルポ 誰が国語力を殺すのか (文春e-book)
- 石井光太
- 文藝春秋 / 2022年7月27日発売
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「ルポ 誰が国語力を殺すのか」読了。
興味深いルポでした。
世界の中でも、日本の子どもたちの「読解力」の低下は顕著らしい。世界の15歳児を対象に行われるPISAという学力テストで、数学的リテラシー、科学的リテラシーは上位にも関わらず、「読解力」は低迷しているとのこと。
なぜ、日本の子どもたちの「読解力」が低下しているのか、ということをターゲットに、
- 家庭環境
- 教育現場
- ネット環境
の影響を見るために、教育現場での取材、学校での子どもたちの様子、自殺を選んでしまった子供の調査、先生方への取材、文科省の担当者への取材、不登校児をケアする施設への取材、ゲーム依存症の取材、少年院に入っている少年少女への取材、そして、国語力を伸ばすために工夫をしている小学校、中学校への取材など、数々の実例を含めて詳細なルポタージュでした。
国語力(読解力)とは、「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」という四つの力の総合力。「国語の成績が悪い」というだけの問題ではない。
国語力が劣っているということは、相手の立場に立って共感したり、自分で考え、それを表明すること、ができないということ。例えば「いじめ」に関しても、表現する能力が少ないためにぞんざいな言葉でのコミュニケーションから誤解が生まれ、相手の立場に立って考えることができないから、きつい言葉を平気で投げつけることができる。「国語力のなさ」からいじめ問題も深刻化しているのではないかと。
国語力を「殺した」いろいろな「要因」を多角的に取材しているのだけれど、この著者は、「家庭環境でのコミュニケーション不足」が根底にある、と考えているように感じました。
言葉、は、生まれて育っていく過程で、親や兄弟と「会話する」ことで少しずつわかっていくもの(言語習得については今井むつみ先生の本とかを思い出す)。そこで「会話」がなければ、言葉の使い方を十分に知らないまま、学校や社会に出ていくことになる。
さらにその要因の1つには社会の格差の広がりもあると見ている。家庭環境の格差、収入が不安定なことが原因でネグレクトや虐待があったりする。その家庭には、十分は言葉のコミュニケーションは育たない。
「ゆとり教育」。政府や官僚のエリートたちは、家族とのコミュニケーションが円滑であった家庭の出身者が多い。彼らは、言語習得が未熟な環境があることを思い浮かべることができないがために、エリートたちが考えた理想の教育を考えてしまう。
構造的に是正するのが難しそうな問題ですよね…。
この本を読みながら、以前に読んだ「ケーキの切れない非行少年たち」を思い出していました。
あの本では、知的障害と健常者の間の「境界知能」(IQ70〜84)の人たちの話をしていたのですが、その特徴が、この本で問題になっている「国語力・読解力が身についていない」子供たちにそっくりだなぁ、と。
「ケーキの切れない…」を読んでいた時には、もともとの脳に障害があり、境界知能に当てはまってしまう子供たちがいるんだよ、というふうに理解して読んでいたのだけれど、もしかしたら、それは「生まれつき」ではなく「家庭環境による」発達不全、という側面もあるのではないかとも思えてきました(違うかもしれんけど)。
「境界知能」や「発達障害」と診断されている子どもたちの中にも、もしかしたら「言語によるコミュニケーション不足」による発達不全も含まれているのかも?
核家族が当たり前になり、隣に住んでいる人の顔も知らない社会に住んでいたら、就学前に言語コミュニケーションをとることができるのは親だけ、ということになる。これは、いわゆる「親ガチャ」!?
根が深そうな問題ですよね。
歳がば...
2024年3月15日
- BLUE GIANT DVDスタンダード・エディション
- 石塚真一
- 東宝 / 2023年10月18日発売
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Amazon Primeで「BLUE GIANT」を観ました。
(登録はDVDにしてますが…)
本当は劇場で見たかったのだけど、なんだかスルーしてしまって後悔していたんです。そして、原作の漫画の方も最初の数巻を読んで、なんだか主人公に対する回想が多くて、不安になって読むのをやめてしまっていたんです…。
でも、観てよかった。
そして、劇場で観なくてよかった(涙でべしょべしょになっただろうから…)。
そして、観なかった理由は、私の「ジャズ」に対する劣等感、というのか、敗北感、というのか、羨望感だったのかもしれない、とも感じました。だって、あんな天才の物語を見て、凡才は切ないですもん…。
漫画の誌面では表現されなかった「音」を、上原ひろみさんと、きっと彼女が信頼しているミュージシャンを集めて、本当の「音」として表現していたことの素晴らしさ。そして、音だけではなく、映像でのきらきら感を駆使して、ジャズがわからない人にも(そう、私!)わかりやすく表現してくれたことの素晴らしさ。
なんだか、本当に素晴らしい映画でした。
途中までしか読んでいなかった原作を、また読んでみようかと思いました。
ありがとう、映画化!
ただ、1つだけ、ごめん、1つだけ、気に入らないことがあったとすれば、主人公・宮本大の声に俳優(山田裕貴)を使ったこと。山田裕貴は嫌いじゃない、けど、顔が浮かんでしまうんですよね。宮本大だと思おうとしているのに、頭の中に山田裕貴が浮かんでしまう…。
嫌いなんです、これが…。
「おおかみこどもの雨と雪」を観た時の忌避感と同じ…(宮崎あおいの顔が浮かんでしまう問題)。
演技どうこう以前に、中の人の顔が見える、のが嫌い。
ほんと、個人的な感想ですけどね…。
2024年3月9日
- バカの壁(新潮新書)
- 養老孟司
- 新潮社 / 2003年4月10日発売
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2003年に出版された「バカの壁」を読みました。
当時、話題になっていた本ですよね(歳がバレるがw)。もう20年前か。
「バカの壁」とは、自分が理解できる範囲と、その外を区切る壁。その「壁」の存在を知っているかどうかが重要なんだ、というような内容でした(私なりの解釈)。
話題になっていた本だし、たぶん読んだことないし、安く売っていたから読んでみるか、と手に取ったのですが、実は私、2009年に読んでいたようです。ブクログにも登録してました!いや、全く覚えがない。どういうこと?
それこそ、2009年の私には「バカの壁」が、全く理解できていなかった証拠でした。
2009年の私は「納得できる話題もあったけれど、全体的に何を語りたいのか掴めなかった。」などとのたまっておりました。バカじゃん。要するに、自分が知っている(理解できる)範囲外のことに意識がいっていない、理解できないことは「何を語りたいのか掴めない」と断ち切っていたわけですから…(情けない…)。
というわけで、痛烈に「バカの壁」を実感させていただきました。
養老先生に感謝。
この書籍は、編集部の方との対話をもとに、養老先生本人ではなく、ライターさんが文章にまとめたものとのこと。骨子がわかりづらいと感じたのは、話を完全に整理して載せているわけではないから、ということなのかもしれません。とはいえ、全部を読めば、通奏低音として流れている先生の考え方は伝わってきました。
実は、並行して、石井光太さんの「ルポ誰が国語力を殺すのか」(2022年)を読んでいるのですが、20年をへだてた2冊の本が、奇しくも同じことを語っているように感じました。言語能力が育っていないために、勉強ができないどころか、他人を理解できない若者たちが増えているという指摘。国語力が育っていないために、自分の考えを言語化できない、言語化できない=理解できない、理解できないことは「興味のないこと、理解しなくていいこと」と切り捨てる。「バカの壁」があることに気付けない。
「バカの壁」が出版されたのは2003年。「ゆとり教育」が始まった頃とも重なるんですね。「個性を伸ばす」ということについての苦言も書かれていたので、その当時の識者も「ゆとり教育」のあやうさを指摘していたということなんでしょう。2003年、私はすっかり「教育」の外にいたので、ニュースで言葉だけ聞いていた世代ですが、もっと真剣に考えていかなくてはいけない問題だったのかもしれません。
※あ、Kindleで登録しちゃった。本当は紙の本を買ったのでした。めんどいのでそのままでいいや…。電子書籍と紙の本で別の本として扱うの、やめてほしいなぁ…。
2024年3月8日
- SPY×FAMILY 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 遠藤達哉
- 集英社 / 2024年3月4日発売
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「SPYxFAMILY」13巻、読了。
前巻で、ロイドが超ピンチに陥っていたんですが、なんとか脱して、ハラハラドキドキな「日常系」(!?)にカムバックです(笑)。
戦後、東西冷戦、スパイ、身内の死、など、結構シビアな設定の上での物語なのに、しょっぱすぎず、甘すぎず、ラブコメ要素も加えて、さらには、なんだかホッとする日常系要素もあって、贅沢すぎませんか、この漫画!
2024年3月7日
- 南極料理人 [DVD]
- 沖田修一
- バンダイビジュアル / 2010年2月22日発売
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2009年の映画「南極料理人」を観てみました。
DVDで登録したけど、実際にはAmazonPrimeで。暇だから、なんか、映画でも見ようかなーとブラウズしていた時に見つけて、あ、面白そう、と。
面白かった!
南極観測隊の日々を綴った映画で、主人公は料理担当として派遣された西村淳(堺雅人)。
殺人事件が起こるわけでもなく、誰か1人が取り残されるなんてこともなく、謎の感染症でパニックになるなんてこともなく、大爆発が起こるわけでもなく、敵国(?)が攻めてくるわけでもなく、淡々と、そしてコミカルに繰り広げられる極限状態での男たちの生活。
こういう、ふんわりとして、それでいて、登場人物たちの心の動きが見える、極限世界だけれど、日常系なものって、映画にしてもいいんですね。
いやー、癒されました。
この映画は、個人的「癒しアイテム」に認定したい!
たぶん、また、観ると思う。
リピート確定です。
ん?あれ?監督は沖田修一さん?どこかで見た名前のような?
あ、「横道世之介」の映画の監督さんだ!
まだ「横道世之介」見てないんだった!見なきゃ!
2024年3月7日
- 人間をお休みしてヤギになってみた結果(新潮文庫)
- トーマス・トウェイツ
- 新潮社 / 2017年11月1日発売
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「ゼロからトースターを作ってみた結果」が面白かったので、トーマス・トウェイツが次なる挑戦をした「人間をお休みしてヤギになってみた結果」も読んでみました。
読んでみた結果(笑)、これもまた最高の面白さだった!と言いたい!
えー、実は、読み始めはちょっとテンション下がり気味でした。「トースターをゼロから作る」というプロジェクトはゴールが割とはっきりしていたのですが、今回の「ヤギになる」というプロジェクトは…なんというのか…ゴールがはっきりしてないなぁ…、と感じたですよね。
人間は悩む、だから動物になってしまえば悩まなくてもすむのでは?そうだ、ヤギ(最初の構想では象なのだが)になってみよう!、というのが発端。
ヤギになる、って、どこまで達成できたら「ヤギになった」と言えるの?というのがよくわからないですよね。脳科学的なアプローチもあれば、動物の骨格に関するアプローチもあれば、消化器官からのアプローチもある…。
うーん、これ、ゴールがはっきりしないまま走り出してるけど、大丈夫か?本当に面白いのか? と思いながら読んでいたんですが、後半、俄然面白くなってきました。
そうか、これは、人間とヤギ(だけでなくその他の動物たち)との違いを浮き彫りにするためのプロジェクトなのか!と。
後半になって、病気で死んだヤギの解剖に参加させてもらえることになった著者。骨格について、消化器官について、実際に解剖してからの考察が深い。
文庫版を購入して読んだのですが、文庫なのにカラー写真のページがとても多く、興味を惹かれる本でした。
これだけ真剣にバカっぽいことをできる人ってすごい。
トーマス・トウェイツさんの次なるプロジェクトは進んでいるんだろうか?
楽しみ。
そして、次なる挑戦が形になった時には、また村井理子さんに翻訳をしてほしい! 村井理子さんの翻訳、素晴らしいですね。ブロガーっぽい書き口を、違和感なく日本語に置き換えてくれているのがすごい(多分、言語が違うと意味をなさないダジャレとかが使われていると思うのに!)。
これを機に、村井理子さんの著作も読んでみようかしら、と思ったりしたのでありました。
※追記
人間と動物の脳の話のところで、興味深いことが書かれていたので追記。
動物は家畜化されると脳が小さくなる、とのこと。そして、人間も、数万年前と比べると脳が小さくなっているらしい。ということは、人間も家畜化されているということか? そう、人間は、自分たちを自分たちでルールを作り安全性を確保するための社会を作ることで「家畜化」したのだと。
脳が小さくなっているという話は聞いた(読んだ)ことがあったけれど、それを「家畜化」と結びつけたことがなかったので目から鱗でした。
人間は、自主的に「家畜化」されていたのか〜。なるほどね。
2024年3月2日