デッド・オア・アライヴ

  • 講談社 (2013年12月19日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 33
4

まーちさんのレポを読んで薬丸岳さんの短編に
夏目刑事が登場するのを知って早速手にしてみました



7人の著者に与えられたテーマは
「デッドオアアライブ(生死の危機)」
さらに各作品の登場人物が2013年9月7日正午の
帝国ホテルに同時に存在するという時空間のミステリー



薬丸岳:不惑
結婚式のビデオ制作ディレクターをしている窪田には
12年間眠りつづけている恋人がいる
そして今日行われるある結婚式で窪田は復讐を企てていた。
夏目が窪田の真意にたどり着いた時
そういう事かとため息とともにとても切なかったです。



竹吉優輔:イーストウッドには助けはこない
学生時代にカタギの世界から足を踏み外し、非合法に近い
金貸しの仕事を手伝うコージ。その道に入るきっかけとなった
叔父を仲間とリンチする羽目になるが。
コージの人生に何かと関わってきたダメダメな叔父
私もそう思っていたけどロマン溢れる叔父さんに
読了後、清々しさを感じました。



高野史緒:悪魔的暗示
1918年、帝国ホテルのシガーラウンジ、少年はアメリカの
スパイたちの会話を耳にしていた
ロシア帝国崩壊で闇と消えたロマノフ王朝の秘宝の行方は
う〜ん複雑。



横関大:クイズ&ドリーム
ホテルにチェックインした川尻は、突然部屋を訪れた
お面をかぶった男に「これからクイズを出し合い
それに答える、負けた方がこのカプセルを飲む」という
ゲームを強制され。
緊迫感溢れる展開と結末はアメリカドラマを
1本見たような感じでした。




遠藤武文:平和への祈り
帝国ホテルのエントランスでケサランパサランを見かけ
そのあとを追った作家。日比谷公園の林の中で
「我が名はミカエル」と名乗る天使と出会う。
ミカエルに試練を与えられた作家の右往左往する
姿はそういう立場になるとそういうものなのか・・と
違和感がありつつも不思議なお話でした。




翔田寛:墓石の叫ぶ声
帝国ホテルのロビーで倒れた雨宮勇吉という老人は戦後
ずっと9月1日に泊まりに来る常連だ
ホテルマンが聞いた、雨宮の過去と墓石の秘密とは
真実はどこまでも残酷で切なかったです。



鏑木蓮:終章〜タイムオーバー〜
ナノバブルと呼ばれる微細な気泡を水耕栽培に活かす
事業を興し、37歳の女性社長として手腕を振るう日下凜子
ある夜、一人で酒を飲んでいると身体をしびれが襲い。
小さな綻びから言葉の毒となり自分に返ってくる
そっちのタイムオーバーか・・・と力が抜けました。




どの作品もおもしろかったです。
アンソロジーはあまり手にしないのですが
新しい作者さんに出会え気分転換になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年4月30日
読了日 : 2014年4月30日
本棚登録日 : 2014年4月30日

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