- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022734457
感想・レビュー・書評
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東京オリンピックのテレビ放送の第一声「日本中の青空を集めたような快晴です。」というのが、とてもかっこいい。
Found MUJIには一回行ってみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
消費社会の変遷、これからの消費について。
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マーケティング史の流れが判る。第四の消費における保険マーケッターの立ち位置があまりイメージできなかった。無印良品は、やはりすごいブランドなんだと感じた。
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日本の消費の形が、モノを所有する消費(高度成長期)から、モノを所有しない消費へとに変わった。Haveに価値があった時代からbeのための消費でもある。長年雑誌の編集に携わってきた筆者が見た、日本の消費の移り変わりを世代や当時の文化・経済とリンクさせながら記述する。教科書的な記述ともとれるが、読み物としてとても興味深い。小さい子には難しい本だが、社会科の勉強の教材としても役立つ。
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本書は、長年消費と社会の関係を分析してきたという筆者が、昭和からの大衆消費のトレンド(第一~第三の消費)を振り返りながら、今後の消費(第四の消費)の展望を述べたもの。
<ポイント>
①第一の消費(1912~1941年)
○大都市に限定した「モダン」化(e.g. モボ(モダンボーイ)、モガ(モダンガール))
・大正の三大洋食:カレーライス、とんかつ、コロッケ
・カルピス発売(19年)、新宿三越(29年)、新宿伊勢丹(33年)
②第二の消費(1945~1974年)
○近代工業化の進展による家庭への大量製品の普及 (「大きいことはいいことだ」)
・三種の神器-昭和30年代:洗濯機、冷蔵庫、テレビ
-昭和40年代:3C(カー、クーラー、カラーテレビ)
・鉄筋コンクリート造りの団地に住む洋風化したライフスタイル(昭和30年代~)
③第三の消費(1975~2004年)
○消費の個人化(家計から個計へ)
・軽薄短小がナウい(e.g. ウォークマン、パソコン、軽自動車)「家電から個電へ」
・物からサービスへ(e.g. 外食産業)
・量から質へ(e.g. ブランド志向、健康志向)
④第四の消費(2005年~2034年)
○社会とのつながりやシェアを大事に(社会重視、シェア志向、シンプル・カジュアル志向)
・情報社会と利他志向(e.g. Facebookへの書き込みと「いいね」への満足)
・エコ志向、日本志向、地方志向(e.g. すだれや打ち水など伝統的な生活、自然と親しむ暮らし)
※環境問題に関心がある人は、
①日本のことが好き(85.2%)、
②初詣に行く(65%程度)、
③来年以降も使えそうなデザインの、丈夫で長持ちしそうな、基本性能が良い物を買う(50%程度)
(カルチャースタディーズ研究所「現代最新女性調査」2010
:首都圏20~39才の女性を対象) -
よくまとまっており非常に面白い。
第一の消費社会(1912~1941)
大都市限定の大衆消費社会。
国民全体の1割~2割の中流階級が消費を楽しむ。
洋風化した生活様式のスタート。
第二の消費社会(1945~1974)
アメリカ型の大量生産大量消費社会。
大量生産品の全国への普及拡大。
消費単位が核家族。
第三の消費社会(1975~2004)
低成長期。
消費単位が家族から個人へ。
量から質へ。ブランド志向。
モノからコトへ。
自分らしさの追求。
個人間格差の拡大。
第四の消費社会(2005~2034)
生産年齢人口の減少。
非正規雇用者の増加。
個人志向から社会志向。
所有からシェア。
ブランドからシンプルカジュアル。
人とのつながりの重視。
集中志向から分散志向。
・・・と4つに分類し、それぞれの消費社会とその変遷について分析。
そして、第5の消費社会に変遷するための準備として、
・地域社会圏モデル
・都市型狩猟採集生活
・住み開き
を提案する。 -
消費社会の変遷がよく分かった。
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大正元年から終戦までを第一の消費、終戦からソニーがベータを出した’75までを第二の消費、そこからクロネコヤマトのサービスが始まるなどし冬のソナタが放映された’05までを第三の消費、大手企業が軒並み赤字に喘ぐ昨今までを第四の消費としている。
物質を尊んだ第一の消費、溢れかえった第二の消費、幸せの意味を探した第三の消費を経て、そして3・11を超えて我々はどこへ向かおうとしているのか。フランス語で消費とはconsommation(コンソマチオン)というそうで、それには不思議なことに「完成」「成就」といった「材料を使い尽くすことで料理が完成する」ような感覚を孕んでいるという。
これを見たとき、コンセプトの重要性を説いた”コンセプトのつくりかた”という本を思い出した。青臭く言えば、お仕着せでなく、あなたも私も幸せを感じる独自性のある消費を模索するあり方こそ第四の消費の正体ではないだろうか。
巻末には、セゾングループであの「無印良品」を立ち上げた辻井喬氏の特別インタビューが読めて凄くいい。飽くまで(自分たちの立場のために)お仕着せを通そうとし、考える力を否定する中央政権や報道のあり方をコテンパンにしてくれてホッとする。 -
この本には危険な内容が書かれている。
資本主義経済が前提としていた消費行動を場合によっては否定することになる。
「個人志向から社会思考へ」
「利己主義から利他主義へ」
「私有主義からシェア志向へ」
そう、かつてヨーロッパを席巻した妖怪の復活を暗示させるのだ。
そしてそれが妄想と言い切れないところが恐ろしい。