新書345 第四の消費 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734457

感想・レビュー・書評

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  • 元パルコの著者により、第一の消費から段階を経て第四の消費に至る時代と生活者の流れが分かりやすく記されている。第四の消費に至っては、必需は薄く、必欲も薄れている中で、情報の価値が高まっている。物も保有することで情報価値が持続するのであれば、物の価値も高いということになる。311を経て、社会的つながりを重視する考え方が増えたが、これは今後も継続する。そして第四の消費を背負うのは我々団塊ジュニアなのである。
    文化のフロー・ストックの話、非正規雇用者の話、お寺と神社の話、いずれも納得できる多彩な話の展開にぐんぐん引き込まれた。マーケティングよりも広く社会学の深さを感じさせる一冊。
    プライバシーとセキュリティの檻から抜け出て、ソーシャルやコミュニティと語り合い、楽しさよりもうれしさを共有するように生きていきたいものである。

  • 2005年から消費は新たな局面(個からソーシャルへ)に入った、と説く。
    消費の流れを時代を追って解き明かしていて、
    僕たちのような業界にいる者にとっては、一読の価値があると感じた。

    ただ、僕は生い立ちの影響か
    巻末に記されたインタビュー、
    空き地を芝生に替え憩いの場にする”商店街活性化プロジェクト”や
    シャッター通り活性化策といった内容に魅力を感じた。
    次は山﨑亮氏の本を読んでみようと思う。

  • 昔は車が必要だったけれど今は必要ない…と思い込んでいたのだけれど、実は逆なのか。必欲品から必要品へ逆走しているというのが面白かった。

  • 読み進めると第一から第三までの詳細な分析がちょっと長く感じる。早く第四の部分、この本の核心の部分を読みたいと思ってしまうが、いざこの部分に触れだすと長かった第三の消費までの部分が生きてくる。第四の消費の解説が忽然とあらわれてきて、感動的でもある。

  • 消費は時代とともに変わっている。自分も含めて大げさなのもは欲しくないと感じている。
    この本には、消費の変化についてわかりやすく、そしてこれからのヒントになることがたくさん散りばめられている。
    人口減少社会を悲観するだけではなく、発想を転換していかに生きるか、そんなヒントをたくさんいただいた。
    ぜひ多くの方にこの本を読んでいただき、前向きに人口減少社会を捉えていきたいと思う。

  • よく調べられてる。温故知新。

  • SNS社会における最重要概念<シェア>。これが、「消費活動」の最新事情ににも当てはまることを、明晰な時代考証・社会検証によって説く良書。社会保障システム的には1人の若者が3人の老人を支える将来の日本。しかしこれを3人の老人が1人の若者を支える社会・街作りに発想を転換させた時、どんな未来図が描けるのか。古市 憲寿氏が『絶望の国の幸福な若者たち』で浮き彫りにさせた現代日本の若者たちのありようを、消費という僕らの日常行為に転写し、古市 憲寿氏がとりあえず状況だけを論じたその先の社会の姿を、具体的に示してみせる。この2冊は互いに補完関係にあるような感想を持った。

  • 日本の消費社会はどのように変化し、
    かつ今後どうなっていくのか、
    各時代の特徴を具に拾い上げて分析している本。


    第1章 消費社会の四段階
    第2章 第二の消費から第三の消費社会への変化
    第3章 第三の消費社会から第四の消費社会への変化
    第4章 消費社会のゆくえ

  • 本書は、マーケティングの専門家による、近代以降の日本の消費社会変遷史。
    消費社会の変化を丁寧に辿りながら、日本人が何を求めてきたのかを見つめ直している。

    高度成長期には、家族中心の消費があって、こぞって隣近所と同じものを買った。
    それが、モノが充足し、個人の主観から他人とは違うものが価値を持つ時代となる。
    そして、現在に至って、ものを買えば幸せになれる時代が終わったという。

    著者は近代日本の大衆消費社会の始まりを第1の消費社会、敗戦以降高度成長期までを
    第2の消費社会、個性的なものを求めた10年ほど前までを第3の消費社会、
    そして、消費というもの自体の意味が変わりつつある現在の状況を、第4の消費社会と名付けている。

    確かに、物が売れない時代である。これまでの経済を支えてきた自動車も急速に魅力を失っている。
    背景には、経済や雇用などの社会の変化も影響しているのだが、消費に対する日本人の考え方が変わってきてることは否めない。

    モノを得ることによる自己実現からの脱却という意味では、ある意味シラケており、
    また成熟してきているのだと思う。
    そんな中で、シェアやつながりを求めることに価値が置かれる。

    企業のマーケティングとしては、いかにここに焦点を当てることができるのかが問われてくるのだろう。
    単にモノを作って売るといったことからのシフトは、人間社会の大きな変化の兆候であると思う。

  • 久しぶりに、三浦展さんの本を読んだ気がする。三浦さんの日本社会分析の視角、手法は昔から一貫していてこの本はその集大成的な感がある。それだけに私には読みやすく、すんなりと受け入れられるのだが、しかし、例えば第四のシェア消費の社会が日本でどこまで浸透していくか、それほど強い説得力もないと感じた。感性的には私自身も大いに賛成で自分自身の消費性向がこの様に変容しつつあると実感しているのだが、東京的感性に偏向してるのではないかと、やはり感じてしまうのだ。とは言え、これからの日本社会を考えようという人には、是非にとお勧めする本である。

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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