- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022734457
感想・レビュー・書評
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業界の昔話にかなりのページを費やしており、肝心の「第四の消費」に行くまでに読み疲れた。この本は「消費社会の変遷」とでも名付けて、もっと第四の消費」に的をしぼった著作希望。後半のインタビューには、なかなか良いものもあるので。
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久々に新書で内容の深い、考えさせられる1冊でした。
これまでの消費動向の変遷を紹介しつつ、今後どのような消費スタイル・生活スタイルになっていくかを考えています。
消費がどういう傾向だったかを知ることはその時代背景を見事に映し出すものだと感じました。また、他の著書であった、ソーシャルメディアの発展と今後の可能性、ボランティアの拡大、地方分権などの流れも同時に納得できる内容であったといえるでしょう。
そのため、今後とも時代の方向性を見据えながら行動していくことが求められるでしょう。
●消費社会の4段階と消費の特徴
<第一の消費社会(1912-1941)>
・消費は私有主義だが、全体としては国家主義
・洋風化、大都市志向
・文化的モダン
<第二の消費社会(1945-1974)>
・消費は私有主義だが、家、会社重視
・大量消費、大都市志向、アメリカ志向
・一家に一台
<第三の消費社会(1975-2004)>
・私有主義かつ個人重視
・個性化・多様化・差別化・ブランド志向・大都市志向・ヨーロッパ志向
・量から質へ、一家に数台
<第四の消費社会(2005-2034)>
・シェア志向、社会重視
・ノンブランド志向・シンプル志向・カジュアル志向・日本志向・地方志向
・つながり、数人一台
●第三の消費社会の矛盾
・感性による個性化は人々を分断させる傾向にある
・個性化の背景には階層化があったので、人々をさらに分断し、孤立化させる傾向にあった
・高度消費社会は過剰な物質主義を蔓延させ、エコロジー意識・省エネ意識などを忘れさせる
●第三の消費社会から第四の消費社会に向けての5つの変化
1.個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
2.私有主義からシェア志向へ
3.ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
4.欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
5.「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ
・近代化志向の社会=今よりも今が進んでいる、正しいと考える社会、より近代化した国が偉く、大都市のほうが偉いと考える
・定常化社会(広井良典氏)=近代化を相対化して考える。時間軸よりも空間軸が重要
時間軸=タテのつながり=歴史、伝統
=お寺の役割(祖先崇拝の場所、自分の存在が先祖代々からつながっていることを確認する)
空間軸=ヨコのつながり=人間関係
=神社の役割(氏子という地域社会の構成員を祭りなどを通じてつなぎあわせるための核となる場所)
●第四の消費社会において、企業や行政、市民自身がどうしていくべきか、その原理、原則
1.ライフスタイル、ビジネス、まちづくりなど、社会全体をシェア型に変えていく。
2.人々が、プライベートなものを少しずつ開いていった結果、パブリックが形成されていくことを促進する。
3.地方独自の魅力を育て、若い世代が地方を楽しみ、地方で活動するようにする。
4.金から人へ、経済原理から生活原理への転換を図る。
●新たな試み
①「地域社会圏モデル」
②「都市型狩猟採集生活」
③「住み開き」
<この本から得られた気づきとアクション>
・消費は、社会を映す鏡のようなもの。その変化に敏感になり、次の時代を読むことは大切。
・加えて過去からの流れを知ることも有益であり、そこから変化の前兆を読み取る力を身に付けたい。
・そのためには、様々な情報を得て、自分なりの解釈と仮説を持って何事にも臨んでいくことが求められる。
<目次>
第1章 消費社会の四段階(第一の消費社会(一九一二~一九四一年)
第二の消費社会(一九四五~一九七四年) ほか)
第2章 第二の消費社会から第三の消費社会への変化(第二の消費社会と第三の消費社会の違い
消費の高度化、個人化 ほか)
第3章 第三の消費社会から第四の消費社会への変化(第四の消費社会と基本としてのシェア志向
シェアというライフスタイル ほか)
第4章 消費社会のゆくえ(消費社会の変遷と世代の対応
第五の消費社会に向けての準備 ほか)
巻末特別インタビュー 「無印良事」の時代へ(辻井喬氏)(消費者の第一の解放―一九六〇年頃
消費者の第二の解放―一九七〇年代後半 ほか) -
消費をよくもここまで、分かりやすく、時間軸を系統立てて、考えて、記述していることに感動。とても面白い。
メルカリ売却 -
大正から現代までの消費社会の変遷を四つに分類して考察。今の消費社会はシンプルかつシェア志向に向かっているというのは納得。自分の好きな無印良品も取りあげられており、なるほど時代に合った消費の形態を提示していたのだとますます好きに。コミュニティデザインという分野も興味深かった。
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自分の場合は、第三の消費までの部分が共感できた。第四の消費には乗り遅れつつあるのかも。300ページほどあり、新書としては「大著」だが、インタビューや年表など立体的な構成になっているのは良かった。あとがきで著者が書いていた「この三倍の量の消費社会論を書いてみたい」という本が出たら、ぜひ読んでみたいと思う。
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第一の消費社会(1912-1941)を一部の洋風化、第二の消費社会(1945-1974)を大量消費、第三の消費社会(1975-2004)を個性化・多様化そして第四消費社会(2005-2034)をモノからつながりへとして消費社会の過去を振り返り未来を展望する。
お馴染みの世代論に統計資料を用いた過去の説明はもうお家芸です。今後の展望については、前著の「これからの日本のために 「シェア」の話をしよう」に引き続き、地方の再生、シェアハウスなども事例を織り込み、絆とシェアそして歴史と文化に活路を見出せと説く。
コミュニティデザイナーの山崎亮氏を始めとしたインタビュー記事も収録されていて、地方再生の事例などなかなか興味深い。少子高齢化は地方が先端をいっているのだ。 -
戦後の物が無い第一時代→高度経済成長期の第二時代→個の、第三時代→そして2005年~の第四の消費スタイルの動きは、東日本大震災により加速する。
確かにリーマン・ショックや震災が人に与えた影響は大きかったし、SNSにより今までとは違ったつながり方で行動するようになった。
要は、いかにそれに早く気が付くかだ。
12/08/17-85 -
消費という切り口から、20世紀初頭から今までの日本社会を4期に分割してその変遷と未来像を描いたもの。
コミュニティデザインや新しい公共、シェアという文脈は、そういった世界に縁の薄い人々にとっては少々抵抗のあるキータームだ。
しかし、この本を読むとそれらの概念やイデオロギーが既存の社会的パラダイムの主流上に配置されることが明らかになる。
左翼的言説と捉えられがちな21世紀のバズワード達を、20世紀の大量生産大量消費社会、あるいは高度成長・バブル的な価値観の社会の文脈上にわかりやすく位置付けたという点でこの本は価値がある。歳上の諸先輩方が自分の経験から将来を見通し、若者が自分の地点を歳上の人々の文脈から理解するのに好適な一冊。