- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022734457
感想・レビュー・書評
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消費傾向の変遷が非常に良くまとまっている良書。
近い将来の社会のあり方に対する示唆も記載あり、
「今まで」だけでなく「これから」を考えるのに参考になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ものを買えば幸せになれる時代」が終わり、「つながりに幸せを見出す(第四の消費)社会」へ変化している。
●第一の消費社会(1912~1941)
【社会背景】
日露戦争勝利後から日中戦争まで
東京・大阪などの大都市中流
中流の誕生
【人口】
人口増加
【出生率】
5
【高齢者率】
5%
【国民の価値観】
National
消費は私有主義だが、全体として国家重視
【消費の志向】
洋風化
大都市志向
【消費のテーマ】
文化的モダン
【消費の担い手】
山の手中流家庭
モボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)
●第二の消費社会(1945~1974)
【社会背景】
敗戦、復興、高度経済成長からオイルショックまで
大量生産、大量消費
全国的な一億総中流化
【人口】
人口増加
【出生率】
5⇒2
【高齢者率】
5%⇒6%
【国民の価値観】
Family
消費は私有主義だが、家・会社重視。
【消費の志向】
大量消費
大きいことはいいことだ
大都市志向
アメリカ志向
【消費のテーマ】
一家に一台
マイカー、マイホーム
三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)、3C(カラーテレビ、クーラー、自動車)
【消費の担い手】
核家族
専業主婦
●第三の消費社会(1975~2004)
【社会背景】
オイルショックから低成長、バブル金融破綻、小泉改革まで
格差の拡大
【人口】
人口微増
【出生率】
2⇒1.3~1.4
【高齢者率】
6%⇒20%
【国民の価値観】
Indivisual
私有主義かつ個人重視
【消費の志向】
個性化、多様化、差別化、ブランド志向、大都市志向、ヨーロッパ志向
【消費のテーマ】
量から質へ
一家に数台
一人一台
一人数台
【消費の担い手】
単身者
パラサイトシングル
●第四の消費社会(2005~2034)
【社会背景】
リーマンショック、2つの大震災、不況の長期化。
雇用の不安定化などによる所得減少
人口減少による消費市場の縮小
【人口】
人口減少
【出生率】
1.3~1.4
【高齢者率】
20%~30%
【国民の価値観】
Social
シェア志向
社会重視
【消費の志向】
ノンブランド志向
シンプル志向
カジュアル志向
日本志向
地方志向
【消費のテーマ】
つながり
数人一台
カーシェア
シェアハウス
【消費の担い手】
全世代のシングル化した個人
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三人の高齢者が一人の若者を支える
第四の消費社会への試み
1.ライフスタイル、ビジネス、まちづくりなど社会全体をシェア型に変えていく
2.人々が、プライベートなものを少しずつ開いていった結果、パブリックが形成されていくことを促進する。
3.地方独自の魅力を育て、若い世代が地方を楽しみ、地方で活動するようにする
4.金から人へ、経済原理への転換を図る
①地域社会圏モデル(建築家・山本理顕)
戦後日本の「持ち家政策」により、外側との関係が希薄に。所得の多くが住宅に吸い取られ、一方で家庭は内部から崩壊。
必ずしも家庭を前提としない、そこに住み人たちの相互関係を中心原理にする
経済成長のための道具と考えるのではなくて実際にそこに住む人たちの生活を最優先する
②都市型狩猟採集生活(アサダワタル)
なぜ家を借りたり買ったりしなければならないのか
⇒ホームレスの生活スタイルに注目
コミュニティの在り方のヒントがあるのではないか
③住み開き(アサダワタル)
シェアハウスからシェアタウンへ⇒自分を開き、家を開く
●人生の意味を求める消費
物、空間をつくっては壊してきた第二、第三の消費はまさに「浪費」
使いすぎる消費、使い捨てる消費は浪費
使った後に疲れきって余力がないのは消耗
第四の消費は、自分を完全なものにする、自分を回復させる、あるいは充実した時間を過ごすためのもの。適度な適切な消費。
時間や人生の消耗ではなく、時間と人生の充実⇒人生の成就
楽しさからつながる嬉しさへ
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つながりに価値を見出す・新しい公共の役割には実感を伴って共感できる。
プランナーマッチングの潮流が到来していることもこの時代を表しているのだろうか。
第2第3の社会で作り上げられた郊外住宅地は今後どうあるべきか、このままではどうなるか、考えなければならない、先送りに出来ない問題だ。
自分はこれからの社会でどんな役割を果たしていきたいのだろう。 -
力作。データ集としても参考になる。
消費から世の中のながれを掴んでいる。分析素晴らしい。切り口良い。
日本の将来を悲観することも無いと思えた。 -
時代は「楽しさからうれしさへ」
自分の足元と、未来へのヒントが満載! -
人とひとのつながりを求めるシェア化の時代《赤松正雄の読書録ブログ》
「先生、このまま逃げる気ですか」―世代間対決をテーマにしたある総合雑誌の対談で、御厨貴東大名誉教授は教え子の学生から、こう詰め寄られ、逃げるしかないと答えていた。団塊の世代の代表としての御厨さんと、今の20歳代の世代間対決は、年金ひとつとっても、未来に希望の持てない若者から団塊の世代は責めたてられるばかりである。
ところが、そう嘆いたり、批判するばかりが能じゃないと思うに至る本に出会った。三浦展『第四の消費』だ。これを読むと、あながちこれからの時代も捨てたものではないとの希望が蘇ってくる。今の時代を鋭く読み解く嬉しい本に出会い、幸せな気分に浸っている。第一の消費社会(1912~1941)は少数の中流階級が消費を楽しんだ時代。第二の消費社会(1945~1974)では、高度経済成長の波に乗って家族中心の消費が進む。第三の消費社会(1975~2004)は一転、個人化に向かう。そして今、第四の消費社会(2005~2034)は、つながりを生みだす社会へと変化する、と著者は予測する。
これからの時代を「人口が減り、経済力が低下する希望のない、暗い社会」と見るのではなく、むしろ問題が増大しているがゆえに別の新な動きが出てきていると捉える。かつて、私が30歳代の頃には、藤岡和賀夫氏の『さよなら、大衆。』や山崎正和氏の『柔らかい個人主義の誕生』などを読み、大量消費から個性化、多様化の流れを知り、知的興奮に酔ったものだが、あれから30年が経ち、新しい時代が幕を開けたのだ。そう、これは「日本消費社会30年転換説」でもある。
要するにこれからの時代を一言で、シェア化だ、と言う。これは第三の消費社会と比較すると分かりやすい。国民の価値観が私有主義で個人重視だったのが、分かち合い主義で社会重視になる、と。消費の動向は、個性化、ブランド志向からノンブランドでカジュアル志向へと変わる、と。キーワードはつながり、シェア。フリーターや非正規社員の大量化を否定的に捉えず、安定と自由のバランスをとった働き方へと変えて行く。既に、ユニクロでは地域限定正社員という制度を生み出し、ロフトでは週二十時間しか働かない人でも無期雇用という制度も導入している。働くということが、浪費、消耗ではなく、時間の充実、人生の充実向かうという時代の幕開けなのだ。それは、地方独自の歴史、文化を生かすことにも繋がる。
こういった時代に政治はどんな役割を果たすのか。中央の政治は外交・防衛といった分野に限定され、地方主権の時代がいよいよ幕開くことだけは間違いなさそうだ。 -
時代の流れをグラフで見るとわかりやすいもんだな。
消費ってその時代を物語っている! -
自分の生まれた高度成長期・・・著者の言うところの第二の消費社会から現在の第四の消費社会まで、懐かしさを感じながら読了しました。
物から人、エコロジー、シェア、地方など、何となく自分の周りに漂う価値観が見えるようになる、とても興味深い本でした。
ただし、読み終えるのに根性が必要でした笑 -
1912年頃からの一般消費者の消費傾向を第一から第四の消費まで分類し、それぞれの特徴を論じた一冊。
人間は社会環境の大きく、左右される生き物であることを深く認識いたしました。。。。 -
無印良品の好意度が高いほど、環境問題への感心が高く、日本文化への好感度が高いというオモシロい調査結果を見ました。巻末インタビューが辻井喬さんで無印良品の起こりが語られていて興味深いです。無印良品という言葉は田中一光さんによるものだそうです。
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第一の消費(national、洋風化、大都市志向)、第二の消費(family、大量消費、大きい事はいいことだ、大都市志向、アメリカ志向)、第三の消費(individual、個性化、多様化、差別化、ブランド志向、大都市志向、ヨーロッパ志向)を経て、第四の消費(social、ノンブランド志向、シンプル志向、カジュアル志向、日本志向、地方志向)へと価値観、志向が変わってきたことを消費社会の視点からまとめた一冊。単なる消費からライフスタイルを創造する為の創費、分衆の誕生を経て(第二から第三への変化)、共費というシェア志向の消費者による分散しつつ繋がる消費が生まれつつある(第四の消費)と分析。消費を通じてもっと人間的な関係を求める方向になっていくとまとめている。以下メモ。(1)楽しさからうれしさへ。第三の消費社会までの価値観は物に力点。第四の消費社会においては人に力点がある。(2)古いものを生かして繋ぐ、様々な人々のつながりを生み出す。たまむすびテラス、コムビニ(communication×community)、鹿児島マルヤガーデンズ(3)新しい共同体、つまり住まいと仕事を結ぶ新しい共同体…、そこに店も張り付いた形での小共同体がいくつか出来ている様に思います(辻井喬氏)。