新書345 第四の消費 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734457

感想・レビュー・書評

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  • 新書にありがちな時代の一部を分かりやすく切り取るだけの内容ではなく、消費論と言える密度があった。

    この方の本は「ファスト風土化する社会」の印象が強く、また「これからのシェアの話をしよう」(未読)という本を出したのを見て、「あー時代に乗るだけの本を書いてしまったのか」と誤解してしまっていた。とても恥ずかしい。

    戦後の消費が、都市部を中心とした消費、家族で大量生産品を手に入れていく消費、個人化していく消費、そしてシェアによる消費、と変わってきた、特にシェアの話は色々な所で語られ始めてきている。
    しかしこの本は、それぞれの時代背景の綿密な考証とともに消費の変化が語られるので、とても説得力があり、わかりやすい。

    「ユニクロは所有することによろこびがある商品ではなく、自慢もできない。それは物を所有することにはさして関心がないという表明。ユニクロは物というよりサービスであると考えた方が適切」といった指摘が、個人的にはとても分かりやすかった。

    • だいさん
      >時代に乗るだけの本
      私もそのように思いますが、自分の言葉で表現できるのはすごいと思いました。
      >時代に乗るだけの本
      私もそのように思いますが、自分の言葉で表現できるのはすごいと思いました。
      2013/06/22
  • 消費者論、マーケティングの第一人者による消費構造論。

    少数の中流階級が消費を楽しんだ第一の時代。
    高度成長の波に乗り、家族を中心とする消費が進んだ第二の時代。
    消費が個人化に向かった第三の時代を経て、消費はいま、「つながりを生み出す」第四の時代に入った、というもの。

    僕の人生を振り返っても、確かにテレビやエアコン、ビデオレコーダーが我が家にやってきて世の中は毎年豊かになるなぁという実感があった時代(=第二の消費時代)、自分の個室にテレビ、オーディオ、ビデオ、パソコン、電話の子機があって、個人の趣味や志向が最大化された時代(=第三の消費時代)を超えて、こうしてソーシャル的なもので誰かとつながろうとしている時代は確かに来ているもんなぁ。

    もちろん、第四の消費社会が到来した前提条件として、第三の消費で重要だった音楽や電話、カメラみたいなもんが全部iPhone1台でどこでもパーソナル空間をつくれるようになったという要素は大きいんだが。

  • 消費社会&マーケティングの通史。筆者によればこれでも書きたいことを網羅できているわけではないようだが、紙面が尽きた、でもこれはこれで出来は良いのでは、と。
    所有からシェアへの社会の変化を、様々な事例や対談を交えながら解説していく文章に引き込まれた。
    個人的には、所有とシェアの比率について前者がまだまだ大きい気がしている。しかし、エコロジー的観点に日々触れていることも確か。徐々に後者へのシフトをしたり、そもそもモノに頼らない頭を使ったシンプルな生活を送っていけるよう心掛けていこう、という想いを強くした。

  •  高所得の若者が好んでユニクロを着る。家や車はシェア。遊園地そのものが楽しいというよりは、「友達と遊園地に行く」ことが楽しい。
     こうした「モノの所有ではなく、人とのつながりに充足感を求めるような新しい消費(=第四の消費)」社会の到来を論じた本です。

     80年代から、DCブランドで着飾る、雑貨を買い揃える、フリーターという生き方を選択する人が増えるなど、消費を通じて「自分らしさ」を追求する時代が続きました(だいたい05年くらいまで)。

     しかし、多くの人は「人並みでありたい」という思いももっている。すると、差異化と同調を同時に求める矛盾の間で、誰もが「何が欲しい(=自分はだれなのか)」を見失う状況が生起してしまったのです。加えて、個々の感性に基づく「自分探し」によって嗜好がタコツボ化したので、人々は孤立・分断されてもいました。

     こうした孤独で際限のない「差別化」に人々を傾倒させ、疲弊させた消費(「第三の消費」)へのアンチテーゼとして登場したのが、つながりを志向する今日の「第四の消費」というわけです。

     とにかく全体を通じて「分析・説明が丁寧」です。おかげで同時代的な感覚のない時期の話でも、すんなり読み進めていけます。
    また、日常生活ではあまり触れない(?)統計資料が多く織り込まれ、日々感じる時代感覚が数値として実際にみることができるのも、本書の魅力の1つです。

     一方、筆者が「第四」(ないし「第五」)と区分する時代を、あまりにもユートピア的に語りすぎているかな、との感もあります。
     例えば、後半部でシェア型ライフスタイルが紹介されていますが、ちょっと「ジ○リ的」というか、「人と人のつながりが強まることって、そんなに良いことばかりでもないんじゃないの?」と思うわけです。

     もっとも、「つながり」重視の生き方が支持されているとの実感は確かにあります。
     こうした人生観のトレンドみたいなものが、先行する時代との連続性のなかでどう位置付けられるのか。本書はこれを考えるうえで、かなりの良書だと思います。

  • これからの時代と今までを消費の視点で書かれた本。面白かった。人生、いかに多くではなく、結局のところ自分がいかに満足し充実した気持ちになれるか、そこが大事なのだと感じた。

  • 著者によれば、第4の消費とは、2004年から今後30年間続くとされる、つながりをもとにした人生の意味を求める消費である。

    本書では、第1消費から第2、第3消費、第4消費の変遷の様子が述べられ、特に第4消費については、その行方、企業の対応などが述べられており、非常に示唆に富んだ内容となっている。

    今の時代はよく、シェアの時代とか言われますが、なぜそう言えるのか、人口動態から、未婚率、単身世帯の増加、雇用形態の変化からその理由が述べられたりして、なるほどと思える内容でした。

  • 山崎正和『柔らかい個人主義の誕生』に関しては、所謂「衒示的消費」について論じたものという印象だったのだが、「時間消費」(≒「第四の消費」)についても論じていたということにはあまり認識していなかった。再度読み返してみたい。

  • 三浦展氏は、元パルコ従業員、80年代の日本の消費を最先端で見、作り上げてきた人物だ。

    本書は、産業革命以後の日本の消費社会の変遷についての実証的な論考である。

    第一の消費社会(1912-1941)
    第二の消費社会(1945-1974)
    第三の消費社会(1975-2004)
    第四の消費社会(2005-2034)

  • #読書記録 #第四の消費 つながりを生み出す社会 を#読了です 2回目となる読了だが、第1消費社会は「一部の裕福な層に偏った消費社会」第2消費は「大量生産大量消費社会」そして私が所属する「第3の消費社会」ここでは個性の発揮と依然として残る所有によって気持ちが満たされるという考え方を持った世代、そして2005年頃からの第4の消費社会こそ「つながり」が中心の社会。震災以降に意識の変化もあり、コモディティ化した社会と人口減少の中でこの流れは必然だったのかもしれない。時代の流れとこれからの流れを読むには最適な一冊 #ツゲ読書 #柘レビュー ★★★★★ #読書好きな人と繋がりたい #気がつけば1週間に1冊のペースで読書できてる #読了メモ2019

  • vol.155 21世紀消費論!消費では幸せになれない社会で一体何を売る?
    http://www.shirayu.com/letter/2012/000310.html

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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