新書520 下流老人 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.45
  • (38)
  • (96)
  • (122)
  • (29)
  • (6)
本棚登録 : 1140
感想 : 142
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736208

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『1:収入が著しく少「ない」
    2:十分な貯蓄が「ない」
    3:頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)』

    な老人はたくさんいる。
    国民年金のみの生活は生活保護以下の貧困レベル。
    (厚生年金があっても世帯構成によっては貧しい)
    貯蓄があっても親の介護、子の扶養、医療費などで食いつぶすため
    多くの人がここに落ちるリスクを抱えている。

    これまで老人が豊かだったかどうかは疑問だが、核家族化、少子化により孤独な老人が増えたと理解した。

    個人レベルでできることは貯蓄する、負債となる土地などを手放す、生活保護がもらえるのであればもらう、地域コミュニティに参加して人脈をつくるなど。

    行政レベルでは対策を打ち出せていないように見えた。

  • ・「普通」から「下流」に陥るパターン
    ①病気や事故による高額な医療費の支払い
    ②高齢者の介護施設に入居できない
    ③子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもりで親に寄りかかる
    ④増加する熟年離婚
    ⑤認知症でも周りに頼れる家族がいない
    認知症+一人暮らし+悪徳業者→下流老人

    ・「責任」と「権利」=社会保障の意義全体
    →「責任」たくさん働いてお金持ちになるか、ほどほどの生活で良いかは、個人の責任に応じた自由
    →「権利」健康で文化的な最低限度の生活を営むこと、個人の生命が守られることは、すべての人に与えられた権利。
    それを守るために税金の存在意義があるので、税金をたくさん使う者は「悪」であり、容認し難いという認識を根本的に変える必要がある

    ・みな一様に救うべき→財源が豊富にある場合の理想論?
    教育、福祉、介護と異なる分野が連携して横断的な施策を打ち出す必要がある

  • 私達夫婦も既に仕事を辞めて、昨年、旦那が詐欺にあい、
    お金をだまし取られてしまいました。幸い今のところ貧困に陥ってはいませんが、もしまた何か起きたら危ないですね。
    生活保護をもらっている人の事を、私の父が見くだしたような感じだったことを思い出しました。でも、私は消費税も払っているし、必要なら堂々と申請しようと思います。

  • 忍び寄る「老後崩壊」の足音。
    年収400万でも将来、生活保護レベルの暮らしに?!

  • 高齢者にばかり税金を使うのではなく、若い世代に投資すべきだと思っていた。しかし、予期しなかった様々な要因によって、誰でも下流老人になってしまうと知った。そのため、高齢者支援も必要であるし、生活が苦しくなった際は生活保護も積極的に活用すべきだと強く感じた。自分も十分に下流老人になる可能性があるため、今からしっかり対策していきたい。

  • 将来ほとんどの人が下流老人となるという言葉にはインパクトを覚えた。
    生活保護制度があるにも関わらず、日本は生活保護を受ける人に冷たい視線を与える。
    それによってなかなか申請することが難しいというのもよく分かった。
    ぎりぎりまで我慢をし、どうにもならなくなった時には死の直前ということもあるという。

    しかも、下流老人になるのは貯蓄がなかったから、怠惰な生活を送っていたからではないということもこの本を読んでよく分かった。

    さぁ、ここから自分はどうするか。
    自分の老後のためにいかに蓄えておくか。
    歳を取ると、病気などによって莫大なお金が急に必要になることもある。
    一生安心して暮らしていけるようにするためには、今から考えて行動していかなければならないと思った。

    そして生活保護制度を見直し、本当に困っている人が安心して申請できる世の中になってほしい。

  • 要はある程度稼いで納税し、ある程度蓄財していたとて、いろんな要因で老後資金不足に陥り困窮することは他人ごとではないということを、事実や事例をもとにこんこんと説明されている。非常に丁寧で納得できた。

    生活保護レベルでの生活を余儀なくする「下流老人」は増える一方であると筆者は語る。

    一番感じたのは、「下流」が「不幸」には紐づいてはいないということ。
    医療を受けれない、まともな食事を食べれない、満足した住居に住めない。
    そこに文句を言う生き方自体に違和感は感じた。
    日本のインフラや社会保障制度自体、他国と比べて水準が高いものであることは間違いない。

    「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とはよく言ったもので、これから下流老人だらけになるのだとすれば、同じ境遇で同じ生き方で死んでいく同志が増えていくということであり、その中でどのようにコミュニケーションを図り、楽しく生きていくかに注力したほうが効率も良いのではないか。

    自分にも困窮してのたれ死ぬ可能性はあるという自覚を得たとともに、結局はコミュ力がものを言うとしか言えないなという感想でしかない。孤独は不幸。たとえ野垂れ死ぬとしても、周りにだれか一人でもいてくれたならこれ幸いである。

  • ■下流老人がみて「ああなりたくない」というマインドが若者にできてしまい、それが貯金→消費抑制→経済悪化になってしまう
    ■親世代が下流老人になることで、それを支える現役世代まで共倒れとなってしまう。このように下流老人によって現役世代にも影響が出てしまう。
    ■この国が抱える種々の社会問題、こと貧困に関しては蜘蛛の巣のようにあらゆる方面にリンクしているのだ。そこで「下流老人に対する支援より、子供の支援を充実させるべきだ」とか「他に重要な政策があるのだから、我慢してもらうしかない」といった一面的な感情に基づいた二者択一論は、意味をなさないどころか、社会全体に貧困の綻びを拡大させる恐れすらある。
    ■下流老人は、誰にとっても他人事ではないということ
    ■平成25年の給与所得者の平均給与は414万円。平成9年は467万円。15年間で50万円以上も年収が減っている。そして非正規雇用と相まって今後もこの減少傾向は続いていく。
    ■関係性の貧困を克服することが重要。繋がりを大事に。

  • 下流老人

    オペレーションZの参考文献リストにあり、兼ねてから興味があったため、購入し、読んでみた。
    下流老人とは、筆者である藤田氏の造語であり、生活保護受給レベルで生活を行っている老人のことである。実は、日本には生活保護受給レベルでありながらも生活保護を申請することなく、極めて低い収入で暮らしている老人が存在する。それらの人々は、まずは自らが生活保護受給レベルにあることに関しての認知もなく、さらには社会的な繋がりも持たずに生活している為、実際に孤独死してしまう方もいる。
    本書では、下流老人になってしまった方々のこれまでの経緯と、生活保護についての知識、そして、今後非正規雇用として高齢者となる日本の現在の若年~中年層に向けて、警鐘をならす。
    本書で興味深かった点が、下流化してしまう老人は、多くの場合もともと正社員として働いており、それなりの貯蓄もあった人々であるということである。彼らは、病気による医療費支出や、引きこもりの子供の養育費用等、ある種のアクシデントにより、下流化してしまうのである。また、親の介護をきっかけに介護離職したことにより、年金保険料の未納期間がかさみ、結果として年金が極めて少ないというケースもある。
    多くの人々は、普通の暮らしぶりをして、老人となるのだが、上記の様なリスクを乗り越えられず、下流化するのである。私はこれまで、保険会社、保険ブローカーで働いてきたが、やはり生命保険や就業不能保険で救えるのではないかと職業柄考えてしまう。本書では、保険の様な自助ではなく、公助を充実させることを提唱しているが、ある種、保険に入っていればこの人々は救えるのではないかと考えることはある。
    私はどちらかと言えば個人に対して保険を売るのではなく、法人に対して、法人の従業員向けの保険制度を導入することを生業としているが、最近では介護離職期間中の収入補填の保険商品などもある。介護と仕事の両立ということが本商品で促進されれば、介護離職期間の年金保険料の未納を原因とする年金の減少を押されることが出来るのではないかとも思う。

  • 帯のコメント見て恐怖を覚え手に取る。老後破産は誰にでも起きうる問題で、他人事では無い。今現在、社会保障でまかない切れないとなれば、国の見直しも必要なのだが難しいだろうね。著者が見てきた実態がリアル!将来を見据え、生活の見直しを始めよう!

  • 経済が停滞すると必ずと言っていいほど報道が増える老後の生活について。下流老人がメディアを席巻した時には読まなかったこの本を何となく読んでみたくなった。

    問題提起が色々あるけれど、社会化(?)能力が老後を左右する重要な要素であることは他でもよく言われることで、改めて重要なのだと、ケアの最前線にいる著者の言葉で再認識できた。

    何かひとつだけ、能力を爆発的に増強してもらえるとしたら、コミュニケーション能力を爆上げしてもらおうと思った。想定外が起こるか起こらないか、予測が出来ないから想定外であって、それなら防貧となる稼ぐ力より、防貧にも対策にもなる社会の中で孤立しない力が欲しいと思った。

  • 若いうちに読んでおいてよかった。不安な気持ちにもなるが、これから自分がどう行動して行けば良いか考えるきっかけになりました。
    キーワードのひとつは「意識」。いまの生活でなんとなくやっていけるだろうくらいに思っていると、痛い目を見る事になるかもしれない。
    好きな事・やりたい事を仕事にするのか、金銭・福利厚生面を重視するのか。。
    仕事について悩んだ時に、岸見一郎さんの「アドラーに学ぶよく生きるために働くということ」と併せて読むのがオススメです。

  • 出てしばらく経っているせいか、特に新しい情報は無かった。

  •  かつての一億総中流社会が、いまや一億総老後崩壊に。実際の貧困に直面している方が異口同音に語るのは、老後の貧困は「想定外」であったということ。けして他人事ではないし、我々現役世代が老人になるころにはさらに悪化しているだろう。対策はもちろん資産を築く。と、ともに、人間関係も築いておくことがリスクヘッジになる。

  • 年金が足りなくて、多くの人が貧困状態に陥るという警告
    そのとおりなんだけど、対策が取りにくいんだよね。
    人数の大きな集団に対して、手厚い資金供給はむりと思う。
    長寿の対価として、相対的貧困層の増加はやむをえないんじゃないだろうか。

  • 老後が不安になった。いくら貯金があっても、事故や病気などの医療費が家計を圧迫するとのこと。保険を見直します。

  • 2019.3.1読了

    職場の方にお借りしました。
    病気になったらどうしようという不安を持たないようにした方がいいんだろうな。

  • 湯浅誠の反貧困社会に似た感じの語り口。

  • ●老後破産の予防・自己防衛策は、①健康維持、②貯蓄、③人間関係、しかない!

  • 社会
    政治

  • 下流老人の問題は、個人の選択やモラルではなく、社会構造の問題。ゆえに下流老人対策は若者の対策(就労支援や賃金上昇、住宅対策)を含まなければならない。老人を若者と対立させる論調が多い中、すべては連関しているという視点は重要だ。

  • まえがき、目次、第1章を読み始めた印象として、2点。
    老人は「保護対象」という視点に偏っている。『LIFE SHIFT』、引退延長、生涯現役という視点が欠落している。
    著者は統計に弱い。「平均値」を問題視しておきながら「中央値(Median)」や「最頻値」を使わない。一部の富裕層が平均貯蓄額を押し上げているのは周知の事実で、老人の貧困化をクローズアップするなら、「平均値」を否定しても意味はなく、「中央値」と「最頻値」で説明すべき。
    このような統計も扱えない社会学者が持論を振りかざしても、論拠が乏しいと言わざるを得ない。

    <目次>
    はじめに
    第1章 下流老人とは何か
    第2章 下流老人の現実
     ケース1 飲食店などで働くも、野草で飢えをしのぐ加藤さん(仮名)
     ケース2 うつ病の娘を支える永田さん(仮名)夫妻
     ケース3 事務職員をしてきた山口さん(仮名)
     ケース4 地方銀行に勤めていた藤原さん(仮名)
    第3章 誰もがなり得る下流老人 「普通」から「下流」への典型パターン
     【現状編】
     パターン1 病気や事故による高額な医療費の支払い
     パターン2 高齢者介護施設に入居できない
     パターン3 子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもりで親に寄りかかる
     パターン4 増加する熟年離婚
     パターン5 認知症でも周りに頼れる家族がいない
     コラム1:カネの切れ目が延命装置のスイッチも切る!?
     【近い未来編】
     コラム2:親が残した不動産に殺される!?(空き家問題)
    第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
    第5章 制度疲労と無策が生む下流老人 個人に依存する政府
     コラム3:下流老人の生き血を吸う「貧困ビジネス」
    第6章 自分でできる自己防衛策
     知識の問題(対策編)・・・生活保護を正しく知っておく
     意識の問題(対策編)・・・そもそも社会保障制度とは何か
     医療の問題(対策編)・・・今のうちから病気や介護に備える
     意識の問題(対策編)・・・何よりもまず、プライドを捨てよ
     心の問題(予防編)・・・地域社会へ積極的に参加する
     居場所の問題(予防編)・・・地域のNPO活動にもコミットしておくこと
     いざというときの問題(予防編)・・・・「受援力」を身につけておく
    第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
    おわりに



    2015.09.07 あゆみ書店で見つける
    2016.01.11 三省堂池袋店で見つける
    2017.01.25 読書開始。
    2017.01.27 読了

  • 新書

  • 収入が少ないため、十分な貯蓄がないため、頼れる人間がいないために、
    仕事を引退後、孤立してしまい、貧困に陥ってしまう、「下流老人」の話をまとめた本。

    「普通」から「下流」に落ちないために自分がいかにリスク分散をしていくかを考えさせられたし、老人だけではなく、若者も当事者になる可能性は十分あるので、
    ミニマルな生き方、横との繋がりを重視した生き方などを考えんとだと思った。

  • 近年、生活保護世帯が確実に増加している。特に、高齢者世帯で。生活保護支給の問題点や課題、使いにくさ、世間からの見られかた、一方で、住宅費の異常な高さに対する補助への欠陥等々。年金支給年齢が引き上げられ、年金支給額が引き下げられ、生活保護支給額も減り、文化的で最低限度の生活レベルも恣意的に引き下げられる現状について説明・解説されている。

  • 2018.6.13

  • 文字通り、今後年金生活が破綻して増えるであろう下流老人の話。

    たとえ定年まで普通に仕事をしてても、あっという間に下流社会に転落する危険性があることがよくわかった。

  • 日本の高齢者の問題、特に経済面に関する問題がよくわかりやすく書かれている。現在の若者の多くは下流老人と化す。非正規雇用がこんなに増えるとは誰も思わなかったし、婚姻率も下がり、老後を助けてくれる子供も生まない人々が増えてきた。即効性のある解決策は難しいであろう。しかし現実を理解することが何より大切である。

  • 「老後はなんとかなるだろう」という特に根拠のない楽観的な考えが、本書を読むとできなくなる。病気にかかったり、子供が引きこもりになったり、両親を介護する必要に迫られたり、失業したり、、、と100年時代には長く生きる分だけ様々なリスクがつきまとう。誰でも下流老人となってしまう危険性があることがわかる。また、生活保護の申請方法など社会保障の知識は、もしもの時に重要だと思うし、読んで損はないと思う。

  • 無茶気が重くなる。
    社会もそうだし、実際おかんもそうだし、俺自身もそうだし、子供たちもそうだ。

    将来に待つのは貧困。

    もっともこの本で示されている解決案が現実味があるかといえばそうでもなく、社会と経済が抜本的に変わらないとどうしようもない。

    根本にあるのが、高齢化、医療の進歩とか思わなくもないのだが、この歪みがどこかで吸収されることがあるんだろうか。

全142件中 31 - 60件を表示

著者プロフィール

1982 年茨城県生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。ソーシャルワーカーとして活動する一方で、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関し提言を行う。著書に『下流老人』(朝日新書)、『貧困クライシス』(毎日新聞出版)など。

「2018年 『未来の再建』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤田孝典の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×