- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784039638908
作品紹介・あらすじ
芸術に生き、つよい絆でむすばれた兄と弟、いせひでこが魂をこめて描くゴッホとテオのものがたり。小学校高学年から。
感想・レビュー・書評
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ゴッホの弟の目線で語られている。
それぞれに苦悩があったのだなと考えさせられる。 -
画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853-1890)の37年間の生涯に、弟エオドルス・ヴァン・ゴッホ(1857-1891)に宛てた700通近くの手紙を通して、絵本作家<いせひでこサン>が語り紡いだ “私の中のゴッホとテオの物語”・・・〝兄の死後、テオがオランダの母に宛てた手紙の言葉 ― 「兄さんは、僕のすべて、僕だけの兄さんだったのです!」が、この絵本を制作する間、心を離れることがなかった〟・・・作者の「あとがき」より抜粋。 憂鬱な青色と晴れやかな黄色が印象的な弟テオの心の軌跡。
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作家が愛する画家へのオマージュ
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空がきみをかくしている。
それとも黄金色の麦の波の中なのか。
風がないのに穂がゆれている。
空の青と日の照り返しがあんまりまぶしいので、
棺を運ぶ友たちの顔が笑っているようにみえる。
空の高いところで鳥が鳴いた。
ヒバリだー
実った麦。刈りとられる麦の穂の匂い、きみの匂い。
でも、きみはどこにいる。
(中略)
小麦の穂がどんどんのびて、
まあたらしい雲が麦畑から生まれるー夏。
ふたりでヒバリの歌をきく。
雲の影をおいかける。
そんなとき、きみが麦の波間にみえなくなるのが、ぼくはひどくこわかった。
でもきみは手をふりながらいつも笑っていた。
世界に何も怖れるものなんかないようだった。
あのときのように、きみは今、
麦の穂にかくれているだけなんだろうか。
以下、とても美しい詩情あふれる文章と深い青色を基調とした絵に圧倒されました。
この絵本はいせひでこさんが描いた、ゴッホと弟のテオの物語です。
どうしても描きたかった兄と弟の物語だそうです。
兄の死後テオがオランダの母に宛てた手紙の中のことば「Ce frere etait tout pour moi!ーにいさんは、ぼくのすべて、ぼくだけのにいさんだったのです!」がこの絵本を制作するあいだ心をはなれることがなかったそうです。
テオがゴッホに対するような兄を自分自身のすべてだといいきれる兄弟関係は素晴らしく、二人の今生の別れは涙を誘います。
表紙は黄色いひまわりと少年の絵ですが、中身は深い深い濃紺でとても澄みきった美しい色使いです。 -
いせ ひでこ (著)
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ヴィンセント ヴィンセント ヴィンセント……
テオドルス テオ テオ テオ……
あゝ。。。。。。言葉がでない。 涙……
きみはみえない翼をひろげる。
世界には何も怖れるものはないかのようにーーー
きみは自分を解放した。
ひまわりの声をきき、麦のことばをきき、星の歌をきいたにいさん。
きみは、ぼくらのあの空に帰っていったのかい。
きこえるかい、空の高いところで鳥がきみのことをうたっている。ーーー「にいさん」「にいさん」
「にいさん」て。
ああ、ぼくのたったひとりの、ぼくだけのにいさんーーー
麦畑の中にきみの空がある。
空の中にぼくらの麦畑がある。
そこらは金と青の風の匂いでいっぱいだ。
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想いの弔い、の一冊。
いきなり心を奪われた。
なんて繊細で、なんて輝かしくて、なんて愛に満ち溢れた作品なんだろう。
目に飛び込む豊かな色彩が、弔いの色が、文字が、絶え間なく心を掴んで揺さぶってくる。
幼少期の春夏秋冬、かけがえのない時間。
二人が見つめるその風景。
ゴッホがその風景で特別なものをみつめる傍らでテオはゴッホをきらきらした瞳で見つめていたんだね。
これはまぎれもなくテオが捧げるゴッホへのありったけの想い。
その想いを天へと放ち静かに弔ったんだね。
鮮やかな向日葵が哀しみと共に目に焼き付くテオとゴッホの物語。 -
胸が裂けるような叫びが伝わって来ます。
にいさん
2008.03発行。字の大きさは…大。
絵も、文も、大好きな、いせひでこ(伊勢秀子)さんです。
画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホと弟の画商テオドルス・ヴァン・ゴッホについて描いた絵本です。
この絵本は、弟テオが兄ヴィンセントを回想したものです。
兄の葬儀、そして小さかった二人、麦畑で遊んだ思いなどを綴り、兄が画商に勤め、また、いろんな勤めに就くが、誠実に生きようとすればするほど、節度のない過剰な人間とみなされて居場所を失って行った兄の生きづらさと、白い画布以外に自分らしく生きられる場所がないという痛切な叫びが伝わって来ます。
胸が裂かれるようです。
兄は弟に、社会の無理解という牢獄の扉を開けるカギは、兄弟として友人としての愛なのだと訴え続けています。テオは生涯かけて、その兄の想いにこたえようとしました。
いままで見てきました、いせさんの絵とは、全く違います。いままでの絵は、水彩画で、透明なあおを基調としたものなどでしたが。今回の絵は、油絵です。それも、おもく、沈んだ、重圧感が感じられる絵です。
2021.01.31読了
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【令和3年(2021年)1月に読んだ本】
1月に読んだ本は、32冊です。
今月読んだ中で一番感銘を受けた馳星周さんの「雨降る森の犬」は、父が亡くなり、母がボーイフレンドとアメリカに行って、一人残された中学生の雨音と、力強くて、優しいく、賢いが強情なスイス原産の大型犬バーニーズ・マウンテン・ドッグの雄犬ワルテルの心温まる物語です。最後は、泣いてしまいました。
今月のベスト本は、下記の9冊です。
★★★★★5つは、下記の1冊です。
雨降る森の犬 ―――――著者/馳星周
★★★★☆4つは、下記の8冊です。
にいさん ――――――――――――著者/いせひでこ(伊勢秀子)
日本の美しい幻想風景 ――――――著者/パイインターナショナル
静かな木 ――――――――――――著者/藤沢周平
あおのじかん ――――――――――著者/イザベル・シムレール
白い馬 ―――――――――――――著者/東山魁夷
本所おけら長屋(十五) ―――――――著者/畠山健二
焦眉 警視庁強行犯係・樋口顕 ―――著者/今野敏
南アルプス山岳救助隊K-9 風の渓 ―著者/樋口明雄
※令和2年(2020年)1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト本をのせています。 -
いせワールドに浸りました。
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テオの想い
猫は、絵描きならではの視点だと思ってます。
伊勢英子の「ふたりのゴッホ ゴッホと賢治37年の心の軌跡」(新潮社)もお薦め、、、
猫は、絵描きならではの視点だと思ってます。
伊勢英子の「ふたりのゴッホ ゴッホと賢治37年の心の軌跡」(新潮社)もお薦め、、、
コメントいただいたのに気付かずすみません。。
なるほど絵描きの視点ですか!
その発想はなかったので参考になります。
お勧めいただい...
コメントいただいたのに気付かずすみません。。
なるほど絵描きの視点ですか!
その発想はなかったので参考になります。
お勧めいただいた「2人のゴッホ…」も読んでみたいです。
ありがとうございます(^^)
お気になさらずに、単なる猫のお節介ですから、、、
いせひでこ(伊勢英子)は、画面構成力・色使い・デッサンどれも素晴らしい描き手で...
お気になさらずに、単なる猫のお節介ですから、、、
いせひでこ(伊勢英子)は、画面構成力・色使い・デッサンどれも素晴らしい描き手です。是非色々読んでみてください、、、