刑事マルティン・ベック 消えた消防車 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014790

作品紹介・あらすじ

ラーソン警部の目の前で、監視中のアパートが爆発した。猛火に襲われた人々を救うべく奮闘するも虚しく、建物は焼け落ちた。焼死者の中にはある事件の容疑者が。出動したはずの消防車はなぜこなかったのか?

感想・レビュー・書評

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  • マルティン・ベックのシリーズでこの作品が一番好きである。
    このシリーズは刑事たちが仲が良いのが特徴で、それぞれの刑事たちは家族との生活も楽しんでいる。
    取り組む事件は複雑で陰惨なものだが、刑事たちは話し合いとそれぞれの日常生活の中から事件解決のヒントを見つけていく。
    読み終えた後、タイトルを見返すと思わずほっこりする感じ。

  • このシリーズの面白さは、
    タイトルに刑事であるマルティン・ベックの名を冠しているのに、
    必ずしもマルティン・ベックを中心に
    描かれていないというところにあるのではないでしょうか。
    物語が進行する中で、
    登場する人物一人ひとりにスポットがあたる工夫がなされています。
    また仲間の刑事たちがみな、
    特別な才能があるわけでもない普通の男たちというのも
    読者をひきつける魅力の一つです。
    冴えわたった推理によって事件が解決されるのではなく、
    靴底をすり減らす地道な捜査の積み重ねと、
    時折垣間見られる刑事たちの私生活、
    彼らの性格が個々にきちんと描かれているのも、
    物語にリアリティをもたせる大きな要因ですね。
    派手なアクションもどんでん返しもありませんが、
    最後まで読む者をひきつける魅力があります。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 刑事マルティン・ベックシリーズ第5作

    あらすじ
     チームのグンバルト・ラーソンが手伝いで入っていた捜査。監視対象がいるアパートが突然爆発した。さらに、連絡した消防車も来ない。焼死した容疑者はギャングの下っ端のようだった。背後には大きな元締めもいる可能性がある。チームの面々はそれぞれの方法で、途中、休暇も取りながら地道に捜査していく。

     物語初め、爆発したアパートに突っ込むラーソンの様子でわくわくした。チームと言ってもみんなが仲良く協力的という訳でもない。好き嫌いもある。さらに、それぞれががさつ過ぎるか、マルティンのように繊細過ぎるかで、うまく会話がかみ合ってない。でもプロとして仕事はきっちりこなす。記憶力抜群、エースなの?のメランダーや、嫌われ者のラーソンと仲良くできるルン。マルメの優秀なモンソンとか、すごく楽しかった。…なのに5作で打ち切りなんて!なんで!続編を強く望みます。

  • シリーズ第5弾。相変わらずの面白さ。捜査の過程は地味で淡々としているけれどそこに面白さがある。刑事たちの人間性がよく見える。同僚との会話、家庭でのひとコマ。普通の人の普通の生活がそこにはある。このシリーズがこの先の警察小説に与えた影響の大きさを感じることができるのが嬉しい。だからこそシリーズの途中でこの新訳が途絶えてしまうのがとても残念。

  • 監視中の男の部屋が爆破した。自殺が他殺か、マルティン・ベックと同僚たちが、雲を掴むような事件の真相を追う。今回、ベックはあまり登場しない。仲間たちが活躍するのだが、プライベートも織り交ぜ、読者を飽きさせない。終盤、意外な結末となる。

  • 間違いない

  • 最後の終わり方、レンナルト・コルベリとベニー・スカッケが犯人逮捕に関わる展開は、シリーズ最終10作目「テロリスト」に通じるものあり。

  • シリーズ第五作も相変わらずの完成度。

    序盤は派手だが、その後は一進一退の膠着状態。手繰り寄せる手掛かりもなく、ただ分析結果を待ってる間にも、捜査チームの面々は、旅行やホーム・パーティーと、フツーに家庭人としての日々を送っている。使命感でがんじがらめになるのではく、単なる職業として淡々と職務をこなすそのスタンスがなんかいい。

    今回のベックはスーパーサブとでも言うのか、大いなる脇役といった感じ。センターに座った刑事のキャラはなかなかで、捜査チーム内での人間ドラマの味付けに一役買っている。反目し合ったり協力したりと、メンバー同士の位置関係に注目しながら読むのも一興かも。五作目ともなると、それぞれのキャラが立ってきていい感じに旨みが出てくる。

    謎解きは相変わらず地味。でもそつがない。余白を持って淡々と進んでいく筆致に余裕を感じます。多分このシリーズは全体の雰囲気や風味を味わうシリーズなのだと思う。もちろん捜査や謎解きも面白いけど、読了後にふっと感じる上質な旨みが何とも言えなくてついついリピートしてしまう。なのに本作で打ち切りとは。わけわからん。

  • 6月5日読了。図書館。シリーズ5作目。

  • 前の翻訳は、確か高校時代に読んだ。細かいところまでよく覚えていたのには我ながらびっくり。

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著者プロフィール

1935年、ストックホルム生まれ。雑誌記者・編集者を経て65年から10年間ペール・ヴァールーとマルティン・ベックシリーズを10作書き上げる。ストックホルムに詳しく、マルティン・ベックシリーズの陰の主役ストックホルムの町と人々の暮らしの卓越した描写はマイの功績。現在ノルウェー語、デンマーク語、英語の翻訳者。

「2017年 『バルコニーの男 刑事マルティン・ベック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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