- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041304020
感想・レビュー・書評
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雰囲気、トリックはもちろんのこと、磯川警部が良い
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岡山県と兵庫県の間にある盆地、鬼首村(おにこべむら)。その村の伝承である「手毬唄」に詳しい多々良放庵が、嵐の夜、一人暮らしの庵からぷっつりと姿を消した。後に残った大量の血痕から見つかったのは、毒草の「お庄屋殺し」。
行方知れずの放庵の行方を、休暇で来ていた金田一と磯川警部が地元の警察と探す中、事件は世にも奇怪な連続殺人事件へと姿を変えていく。果たして犯人の目的は?7年前の未解決事件との関連はあるのか?
内容を知っていても、真相に迫る部分は鳥肌が立ちました。寝る前にの読むことは、おすすめできません。 -
たまたま古本屋で安く見つけた。また、この作者の作品はある程度読んでみようと思っていた。
日本の古い慣習や田舎の独特の閉鎖的な人間関係などがうまく描かれており、興味を引いた。最後の最後では金田一耕助は何もかもがお見通しだったのか!と少し笑ってしまった。
文体が方言混じりなため、少し読みにくく感じた。
この点は本作の暗い田舎らしさを表現するのに欠かす事はできないと思われるので、完全に否定できるものではないが、読み進めるのに苦労したことには変わらない。
ただ、我慢して馴れてくると苦に感じなくなった。
読書は粘り強く読み進めると面白さを感じられることが多々あるが、その事を改めて気づいた作品だった。 -
◆読書記録2冊目
◆No.073 -
昭和30年、人里外れた鬼首村に静養に訪れた金田一耕助。昭和6年の村の事件、殺された村人と行方不明の詐欺師、入れ替わりの疑念を聞く。滞在中、庄屋さんが殺され、訪れたという元妻は亡くなっていたことが判明。更に三人の娘が相次いで殺され、村の古い手毬歌の状況が再現される。
超常的と思われる状況が示され、進行とともに事実がすこしづつ示されていき、更にまた事件が起きる。そして間をおいて、最後に謎も動機もきちんと解き明かされる。超正統ミステリーでした。 -
すでに映画を見ていたので、話の展開に驚きはなかった。リカの最期は映画と違った。そこは映画の方がよかった。
文章に昭和初期の雰囲気・人間関係がよく出てると思う。きっとこんなだったんだろうと思う。 -
★★★★☆ 3.8
2020/07/31 00:34
やはり横溝正史の金田一耕助シリーズは最高ですなあ。昭和の時代背景もさることながら、現場となる中国地方・瀬戸内海の村々のおどろおどろしい雰囲気が堪らない。
いつも読んでて全く推理のことを忘れてしまうのは隙がないからなのか。よく考えてみれば本格ミステリのように公平にストーリーが進んでいるわけではないのかもしれない(言い訳)。いやどうだろうそんなこともないか。
ただ何故か推理を忘れてしまうというのは本当。読み終わって「ああ、1番好きなシリーズだな」としみじみ思う。 -
四方を山に囲まれた鬼首村。まず示されるのは数え唄の形の手毬唄、昭和7年に起きた事件の焼け爛れた顔の被害者…想像できる物語の展開に期待し、金田一氏と磯川警部に一気に物語の世界に連れ込まれる。村の二大勢力、恋愛事情。恋はどんな時代でも物語の主役だ。たくさんの小さな伏線がそれと気づかせずに散りばめられ、このページ数を一気に駆け抜けた後、金田一氏によって凄い勢いで収束する。そう、いつもながら全てが終わった後で…。やるせなさとつかみどころのない時代の恐ろしさ。悲劇は時代によって生まれたと言ってもいいのかもしれない。