クローズド・ノート (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4826
感想 : 621
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043886012

感想・レビュー・書評

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  • 数少ない、大好きになった小説。世界観はもちろん、会話のひとつひとつまで好きになってしまう。

  • 素晴らしい作品です
    登場人物が魅力的な人たちばかりです
    万年筆にこだわった記述や会話も面白い
    読者にはちゃんと気づかせているのに主人公だけがいつまでも気づかない
    という逆叙述トリック(笑)という手法で、
    いつ気づくんだろ?
    という期待を抱かせながら一気に読ませます
    重くなく、軽くなく、読後感、すごくいいです
    習作でなく、秀作ですね
    ーーーーー堀井香恵は、文具店でのアルバイトと音楽サークルの活動に勤しむ、ごく普通の大学生だ。友人との関係も良好、アルバイトにもやりがいを感じてはいるが、何 か物足りない思いを抱えたまま日々を過ごしている。そんななか、自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でその ノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。

  • すっごい引き込まれる小説で、あっという間に読み終わってしまった。

    雫井さんの小説は「日常+ちょっとの現実っぽくない部分」って感じで、共感を重ねながら読むことができるし(読み進めやすい)、かつ「続きが気になる…!」っていう所が程よく出てくるからあっという間に読んでしまう。(語彙力)

    あとがきで、伊吹先生の日記の一部が作者のお姉様の実際の言葉であったことが分かって涙が止まらなくなった。
    すごい生徒思いで素敵な先生だと思いながらも、どこかで「小説の中の話だから」と片付けていたからだと思う。

    何かに全力で打ち込んでいる人って本当に美しい。

    香恵の「寂しさにも寂しさなりの色をつけたい」って言葉が個人的にはとても好きだった(p397)。

  • だから?というのが読後最初に感じたこと。
    主人公に感情移入するのがこれほど難しいのは年をとってしまったからなのか。

    山場は本当にどこだったのか、よくわからなかった。

  • 星5にしたけど、共感や感情移入できない人にはそんなに刺さらないかも。

    まず、伊吹先生は立派な人だ。比べて自分は教師として、理想を語っているものの、やっぱりそれに対する努力が全く足りていなかった。
    あとは自分の気持ちについて。好きな人のことを考えないようにするのは難しい。きっとそれは今後も変わらないだろう。でも、そればかりになるのはやっぱり良くはないんだ。自分の余裕のなさを感じた。余裕のある人間になりたい。

    それから全人類に向けて。
    人間、感情で生きてるから、想いが変わったり移ろったり、冷めたりすることもある。しょうがない。
    でもだからって、いい加減に付き合って言い訳じゃない。
    「今自分が関わっているのは1人の人間で、その人の、1度きりの、今しかない瞬間に触れている。」そんな覚悟を持って欲しい。きっとこの考えは、世間一般のそれとはズレていて、ただの理想論なのかもしれない。
    それでも、今隣に誰かがいるなら、よく考えてみてほしい。
    『言葉と気持ちが等しい人間として、その人の前に立ってください』



    追伸:
    決していい加減な気持ちじゃなかったってことはよくわかってるよ。とっても大事にしてもらいました。
    この本すごく面白いからオススメ。

  • 設定は面白いけど感動はしなかった。

    日記のわりには誰かに読ませる前提の説明的な文章で、そのように日記を書く人もいるのかもしれないけれど、なんか都合の良さを感じて没入出来なかった。
    最後に全文覚えてて暗唱するのも少し気持ち悪いし、あんなに狡猾で意地悪な女性がそれで涙ぐんだのも謎すぎる。

    友達の彼はホントにクズだけど、上着が汚れた時の反応とかが人間的で笑った。

    別に…事件で残念なイメージがある映画も観ました。
    映像化にあたり名前とペンネームに分けたのは納得。先生の声で違う読みをされたら変だし、主人公の声で読むという方法もあっただろうけどクドかっただろうし。
    友達の彼はもうちょっと若い人が良かったかな。
    社長の少し横柄なイメージも、職人気質な感じにしたかったんだろうけど、小説のイメージではバイトさんに優しく語りかける感じに思えたから少し不満。

  • 主人公は香恵でも隆作でもなく、伊吹。後書きにあるとおり、筆者のお姉さんが遺されたものが、話の中心。だから、脇役の香恵と隆がどうなろうが、正直どうでもいい(その話が本筋だからどうでもよくはないんだけど)。伊吹という名でお姉さんの証を世に送り届けた筆者に心を動かされた。

  • 物語が繋がった時、失われた人の空白の大きさに切なくなった。「今が幸せだ」という伊吹先生。その1年の締めくくりである、子供達とのお別れの日にこの世を去る事になって、どれほど無念だったろう。1人1人の顔を見て進級する子供達の背中を押したかったろうな。
    想いの人との距離もあと少しだったのに、思いの丈を伝える事なく死別だなんて夢にも思わなかったろう。
    何もかもこれからという、未来ある人だったのに。

    ノートを読んだのが彼女で良かった。
    失った人は戻らないけど、想いや気持ちは繋いでいける。

  • 感情移入しづらかったけど、終わり方はとても好き。途中に出てくるマンドリンの曲を聴きながら読んだ。
    -
    「人間は道具を使うことによって進化したのよ。それへのこだわりがなくなったら人類じゃないわよ」
    96ページ

  • 読み終わってここまで心が温かくなる本は
    初めてかもしれん……
    自分自身が小学校の先生をしていて
    しかも今年の担任が4年生だから
    伊吹先生にとても共感するところがあって。
    全力で仕事しているところ
    全力で恋をしているところ
    とても素敵だな〜と思ったし
    わたしも頑張ろ〜と思った。
    この本を読んで元気づけられる人は
    たくさんいると思うから
    もっともっと色んな人に読んでもらいたい!
    雫井脩介、こんな本も書けるんやな……すごい。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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