クローズド・ノート (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043886012

感想・レビュー・書評

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  • いろいろと先が読めちゃったけど…楽しめた!
    香恵がノートを読むシーンは、私も夢中になってページをめくりました。
    素敵だなぁ、伊吹先生。
    最後の言葉は、うるっときた。

    前から好きだったけど、改めて気付いた!
    『記録する』っていい!素敵!

  • 「犯人に告ぐ」「火の粉」と違った雫井さんの作品。

    途中で展開読めるけど、それでも最後は涙を誘う感じがええ!

  • 読んだのはだいぶ前ですが…

    この本を手に取った時は怖い系のミステリーかと思ったんですが、全然違って、ものすごく温かいお話でした。

    主人公(香恵)が暮らす部屋の前の住人が忘れていった一冊のノート(日記)を介して、その日記の主と対話し、そして同時に自分自身と向き合い成長していく様がよく書かれています。
    香恵の漠然とした不安や孤独感、人を愛する気持ちなどの描写が分かりやすくてすごく共感できました。

    そして万年筆のくだりがものすごくいい。
    すでにお気に入りの3本を持ってるけど、それでも欲しくなってしまいます。

  • 香恵の「一度きりの人生をひたむきに送ってるんです」というセリフ。

    一度きりの人生。

    当たり前の事実、何の変哲もないセリフかもしれないが、その絶対的一回性は頭ではなく、全身で体感するかしないかで人生の見え方はきっとガラッと変わる。

    そして、それを何よりも感じさせてくれるのはいつも周りの大事な人間の死だろう。

    香恵も会ったことはない、でも置き忘れたノートを通して誰よりも身近に感じていた伊吹の死によって、それを感得する。

    そんな背景がしっかり描かれているから、当たり前のちょっとクサいようなセリフも素直に力強く胸に響いた。

    (文庫版のあとがきによると)作中、不慮の事故で亡くなった伊吹先生は著者の、同じく不慮の事故で亡くなった長姉がモデルになっているらしい。
    おそらく著者自身もその時、人生の一回性の無情さ残酷さを痛いほど味わったんだろうと思う。

  • ひとりの女性が、仕事に、恋に、人生に、一生懸命に生きた。

    その女性の日記を、「良くないよなぁ」と思いながらも盗み見てしまう主人公。


    最初は興味本位だったけど、自分が夢見ていた小学校の先生をしていたその女性の日記は、いつしか、主人公の“人生の教科書”のような存在になっていく。


    この小説のハイライトは、主人公が心を寄せる男性と、大学前の銀杏並木を歩くシーンだと思う。

    ひとりの女性(の日記)から、何かを学んで、勇気を出して、一歩を踏み出した瞬間。

    それは、あまりにも美しい瞬間だと思う。


    そして、ひとりの人間が一生懸命に生きる美しさと、それによって伝わるものの素晴らしさを伝えてくれる。

    だから、ついつい泣いてしまうし、できればこの小説の世界に、いつまでも浸っていたくなってしまう。


    誰だって、日記の先生のように、仕事に、恋に、人生に一生懸命生きていきたい、と思うはず。


    そして、とりあえずそのための第一歩は、万年筆を買って日記を書くことなんじゃないか?

    と思わせてくれる一冊。


    前半、万年筆の説明が冗長に思えるのは、作者の実体験や思い入れによるものだと思う。

  • 教育大の大学生でマンションで一人暮らしする香恵が、クローゼットから見つけたものは、前の住人のノートだった。前の住人も教育大を卒業し、小学校の先生になった人、名前を真野伊吹という。最初は、人の日記のようなものを読むなんて…と思っていた香恵だったけれど、そこに書いてある伊吹先生の人間としてのやさしさとか、児童のことに一生懸命な姿を読むのが楽しみになってくる…というお話。
    設定はすごくいいと思う。人の秘密って、すごく知りたいし、すごく楽しいと思う。あたしだったら迷わず読むね(笑)。まあそれはいいとして、最大に残念なのが、最初の数十ページも読めば、ラストが分かっちゃうってことなんだよねえ。ラストはこうなるだろうなってことが読めてしまう。そこをクリアして、最初に分かってしまわなければ、楽しめるかもしれないけれど、「そうなのか!」という驚きがないというか何というか。もう少し、「分からない努力」があってもいいんじゃないかと思う。設定自体はすごくよかったのに、転がし方に問題のある作品。
    それと、ものすごく青春群像的なところがあって、さわやかなのはいいんだけれど、キャラクターに魅力があんまりないのも残念。フツーの大学生、っていうのを意識して香恵を描いているんだろうけれど、フツーすぎてパンチに欠ける。伊坂作品を読んだばかりだったので特にそう思うのかもしれないけれど、キャラが立ってないというか。ヒロインが恋をする相手役の隆作もイマイチ魅力が分からない。何を考えているのか分からない感じの男にしか見れなくて、それは香恵視点で描かれているからだろうけれど、この男に恋はできないなあ、あたしは。
    あと、伊吹先生の子どもたちへの愛情たっぷりなところがたくさん描かれているけれど、それは別にそこまで描かなくてもよかったんじゃないかと。安易に不登校も解決した感じだし。中盤、ものすごくだるい感じがした。
    最後に、「万年筆」を効果的に使おう使おう…という努力はあるけれど、うーん、途中からは万年筆の話なんてちっとも出てこなくなったし、結局読後に万年筆がほしくならない。やっぱ「小道具」は、読んだ後に「それほしい」と思わせるような使い方をしてほしいと思う。
    設定のよさと、青春時代に行った店…とか、結構大学時代を思い出しながら読める点はプラスなので、★は二つというところ。

  • 自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でそのノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。(e-honより)

  • あらすじ

    『火の粉』『犯人に告ぐ』の俊英が贈る、新たなる感動作!
    香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める。─Amazon本の概要より



    感想

    だいぶ前に一度映画で見たことがあり、ストーリーは朧気ながら覚えていたのですが、雫井さんの書くラブストーリーってどんな感じなんだろう、と思わず手に取ってしまいました。
    大学生の女の子が主人公なのですが、ちゃんと女子大生になれているのに驚きました!
    これを男性が書いたなんて思えない!
    青春を丁寧に優しく描いていて、振り向いて欲しくて、振り向いてくれなくて、切なくて、近づきたくて、大人になりたくて、かなわなくて…
    その後どうなったんだろ?
    素敵な物語に出会えてよかったです!

  • 一瞬の恋でもいいじゃないか。
    その一瞬のために生きてみるのもいいじゃないか。

  • 万年筆もええやん

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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