愛蔵版 冷静と情熱のあいだ (文芸シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048732932

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代に付き合っていた順正とあおいが、悲しい出来事があって別れてしまうんだけど、2人ともお互いが忘れられなくて、何年もの時を経て約束の場所で再開する。

    再開までの2人の物語をそれぞれ2人の作家さんが書いていて、別々の本になっているんだけど、こちらは両方のストーリーが一緒になって交互に進んでいく一冊。

    先に順正の物語だけを読んでいたので、その間あおいがどうしていたかすごーく気になって図書館に行き手に取りました。

    これは絶対同時に読んだほうがいい!!

    本当の恋愛みたいに、すれ違っている部分とかもどかしいんだけど、2人がすごく想いあっていて、特に同じ女性だからか特にあおいの順正に対する気持ちが切なくて引き込まれました。

  • いまさら、ですが読みました。そしてのめりこみました。あいかわらず江國さんの文章は好きです。辻さんの作品は初めてでした。
    bluかrossoか、どちらからにしようかと決めあぐねて、rossoとbluが交互に1章ずつ書かれている、この愛蔵版に。

    とっても大人の純愛、と思いながら、共感してしまう部分とか、自分のことみたいに胸が苦しくなる場面とかあって、
    私も大人になったかな、とか思ってみたり。笑

    未来に向かって、前だけ向いて走り続ける。それももちろん素晴らしいけど、
    周りがどんどん進んでく中で、自分だけ止まってるように思っても、過去に縛られてるようでも、
    あおいみたいな、順正みたいな生き方を、人生の中で経験してみたいな、と思いました。
    昔の恋人が忘れられなくて苦しい、なんて憧れることではないから難しいんだけど、期間限定な感じでw

    イタリアに、行きたい。


  • 日本・ミラノ・フィレンツェを舞台にした物語です。


    最近は、ひとつの物語の中に、いろんな視点が混じってて、ああこの人この時こう思ってたんだ!っていう発見ができる小説が好きです。
    この話は、一つの物語を別の作家さんが書くという異色なかんじです。
    こういうやりかたを一番初めに始めたのは誰なんでしょう?
    江くにさんも、辻さんもちょっと誰もが受け入れて読みやすいタイプの本ではないと私は思うけど、この話は好きになれました。

  • 久々の再読。
    「左岸」がなかなか図書館で借りられないので、こっちをかりてみた。

    昔読んだ時より、色んな気持ちが理解できた気がします。
    恋愛における美しさも醜さも。。

    終わり方と景色の描写がやっぱり好きでした
    みんながフィレンツエ行きたい気持ちがわかるわ
    やばい。ベタながら行きたい…


    でもやっぱり順正はちょっと女々しいと思う(笑

  • ついに買ってしまった愛蔵版!!!


    冷静と情熱のあいだ、大好き。
    愛されても満たされない、愛したい人は忘れたい、久しぶりに会って何かが違う
    男性と女性ってやっぱ思考回路が違うんだと思います。

    江國さん、辻さんの恋愛小説は綺麗すぎて現実味がない、という評価もありますが
    そんなことないよリアルだよ!と思います。

    ってそんな偉そうなこと言う前にもっと大人の恋愛模様を知らなければ笑

  • 【冷静と情熱のあいだ】を読んだ。

    この小説はご存知の方もいるかと思うが、ひとつの恋愛を男と女のそれぞれの立場から書くという、文壇

    界では珍しい、コラボレート作品である。しかも2冊同時発刊というのだから凄い。

    よって2冊の結末は同じなのであるが、男女によって結末への向かい方の違いや考え方の違いが浮き彫り

    にされ、非常に面白い作品であった。

    この作品には3種の読み方がある。1つは女性側の主人公である「あおい」の物語(ロッソ)を先に読む

    方法。2つ目は男性側の主人公である「順正」の物語(ブリュ)を先に読む方法。そして3つ目は2冊の

    本を1章づつ交互に読む方法だ。

    僕は(ロッソ)を先に読み、その後(ブリュ)を読んだ。読み終わってみると、その読み方が正解であっ

    たように思う。

    ストーリーは、大学生の時にお互いに、この人しかいない、と思い狂おしいほどに恋に落ちていたあおい

    と順正が、あることがきっかけで別れてしまう。別れてしまったあとに別々の人生を歩みだす2人だった

    が、自分の体の一部だったような相手への想いはお互いに何年経っても消えることはなかった。もう2度

    と会うことはないだろうと思えば思うほどそれぞれの心の中で相手への想いは強くなるばかり。

    いまある生活のそれぞれのしがらみや人間関係の中で更に増大していく昔の恋人への想い。

    2人はそれぞれの生活の中で、遥か昔に交わした「あおいの30歳の誕生日にフィレンツェ(イタリア)

    のドゥオモで待ち合わせをしよう」という口約束を果たすために準備を整えていく。お互いが、遥か昔に

    交わした、たった1度の口約束など喧嘩別れした相手が覚えているはずもない・・・と自分に言い聞かせ

    ながらもその日に向かっていくのである。そして迎える運命のその日。半信半疑のまま約束の場所に向か

    う2人に待ち受けていた運命は・・・。

    簡単にまとめてしまえばこういう話だが、少し簡単にまとめ過ぎてしまった。なんせ、10年間という長

    い恋の物語である。約束を交わした日から10年。別れてから8年だ。長すぎる空白の時間。

    その8年間がそれぞれの立場で1冊の本に収められているのだ。

    同じ結末でも男女によって見方は変わる。1冊目で結末を知ってしまっても2冊目で相手がどのような気

    持ちでその日を迎えるのか、ページをめくる手が止まらなかった。

    同じ昔の恋の引きずり方でも男と女とではかなり違う。一概に言えるものではないと思うがやはり女のほ

    うが美しい。前向きな引きずり方と悲観的な引きずり方の違いであろうか?

    作者の力量という点を吟味しなくてはいけないが、江國 香織のほうが情熱的な書き方をしていたように

    思う。辻 仁成のほうは同じ男として共感できる点は多々あったが、主人公がどうもくどい。弱すぎる。

    文体は素晴らしいのだが、内容がどうも芸術家的恋愛感、つまり哲学的概念に寄り過ぎて、もう少しレ

    ベルを下げてもよかったのではないかと思う。ただ、コンセプト的に「順正」の性格がはじめからこのよ

    うに設定された上での構成だとするならば、辻 仁成の描く世界は崇高かつ人間的苦悩を見事に描き出し

    たとも言える。

    結末に向けて2人はそれぞれに自己完結の世界でひしめき合う。ここにも男の自己完結の仕方と女の自己

    完結の仕方の違いが出ていて非情に面白い。

    全体を通すと(ロッソ)の物語であおいが包み隠したまま終わる謎を(ブリュ)で明らかにしていくとい

    う構成からして、やはり(ロッソ)→(ブリュ)という読み方が正しいだろう。だが、読み方は人それぞ

    れだし、感じ方も人それぞれである。お互いが1冊単位で完成度の高い作品なので、片方だけ読んで終わ

    ってもそれはそれで充分楽しめる作品である。

    個人的には最後の最後の結末、つまり(ブリュ)での順正の最後に取った行動で読み終えたという充実感

    が味わえた。

    世界中の恋する男女に読んでみて欲しい1冊、いや2冊であったと思う。

  • <poka>
    江國香織の文章はもともと嫌いではないのだが、Rossoではやけに女っぽいというか女くさくて、余韻を持たせるような文末がまとわりついてくるような感じだった。

    またストーリーは主人公・あおいの感情を追いかけただけで単調。

    しかしそれが主人公の過去を引きずり、あとちょっとのところで吹っ切れない状況をうまく表現しているともいえる。

    Blueの辻仁成は対照的にとてもよかった。主人公・順正の感情の描写 やストーリーの厚みに作者の力量を感じた。

    初めは順正やまわりの人々の過去に焦点があてられる。そこに彼の仕事「修復士」という絵画の過去と向き合う仕事が重なる。そしてしだいに過去と現在と未来の間で心が揺れ動く。

    列車に飛び乗りあおいより15分だけ先の未来を手に入れるところで物語は終わる。

    これまで過去にとらわれてきた順正が初めて未来に目を向けてあおいに会うことになる。ふたりの過去は修復されるだろう。

    たぶん映画は観ない。配役が悪すぎる。

    <だいこんまる>
    Blueの方がよかった。「修復士」という職業と、順正の生き方がオーバーラップしていてよかった。

    最後はハッピーエンドのようなニュアンスだったけど、うまくいかないと思うんだけどなあ…。女って現実的だもん。

    こういうロマンティックなお話はどうも苦手ですぅ。。。

    でもまたイタリアに行きたくなっちゃった。

    映画は観ないだろうな。イメージが崩れるから。

  • 限定版?の赤青が合わさった本。
    これを読んでフィレンツェに行きたくなった人沢山いると思う(その中のひとり・・・)
    読んだ当時、かなり影響を受けた。女性の方に。順正はだめだ(笑)

  • 江国香織サンと辻仁成サンの合同作品で一番好きな恋愛小説。
    同じ経験が、女性視線と男性視線で書かれている。こんな綺麗な恋愛は無いなとおもいつつ憧れたりする

  • 4回目。

    なぜだか、ふと、読み返したくなる本。

    この版は江國香織と辻仁成の章が交互に
    織り成されているから、

    赤と青を別々に読むのとはまた違った
    趣があってよいです。

    イタリアの風景の描写とか
    ふたりそれぞれ違った視点で
    捉えられているのとかも
    比べてみたり出来ておもしろいし。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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